057 葛葉毅「聖霊 vs 人類 その1」
セーヌ川沿いの河川敷を疾走する2台の大型バイク。 モーターショーで見かける様な未来的デザインの真っ白なボディに跨がるのは、同じくSF映画に出てくる様な白のプロテクターを全身に纏った二人のライダー、…?
…と、其処にタンデムでぶら下がっているのは、何故だかスク水に黒のジャケットと言う出で立ちの小柄なツインテール美少女??
毅とイボンヌは、欄干の柵一杯に錠の括り付けられたアルシュベシェ通りの橋の上でバイクを停めた。
流石に早くから交通規制しただけの事は有って、辺りには強制的に乗り捨てさせられた無人の車が渋滞の列を成しているだけで、何処にもヒトの気配は無い。 まあ、仮に誰かが居たとしても、砂嵐の様に飛び狂う群生層飛蝗の大群の中では、おそらく1分たりとも無傷では居られないだろう、
葛葉:「ミリアム、本当に大丈夫なのか? そんな格好で?」
ミリアム:「平気、あたし、虫には刺されない体質なのよ。」
ツインテールの少女は、バイクのシートから飛び降りると、窮屈だった手足をネコの様に伸ばして柔軟する。
ヘルメットも被らず、手足も素肌を晒したままなのだが、どうやら肉食飛蝗達はミリアムを避けて飛んでいるらしい。
イボンヌ:「ミリアムの身体からは常に静電気が漏れているの、多分其れが飛蝗を遠ざけているのでしょうね。」
と、…先行していた筈の2台のD-Body(一人乗り戦車?ロボット?)が、セント・ミシェル・ノートルダムのRER(地下鉄の一種)駅から突然飛び出して来て! (注、緊急時ルートとして地下鉄の線路を使って移動してきた)
6.7L ディーゼルターボのドスの利いた排気音を響かせて、後先おかまい無しに、渋滞停車中の車の行列の上を6輪駆動で踏み潰しながら、毅達の元へ近づいて来る!
ブレーキー大佐:「ワリイ、途中で地下鉄と御見合いしちまってよ、遅れた。…敵の様子はどうだ?」
イボンヌ:「大きな変化は無い様ね、飛蝗の生産速度も落ちてないわ。」
イボンヌのフルフェイス・ヘルメットのスクリーン隅に、ノートルダム寺院裏の公園のベンチに座って、身体中を飛蝗に集られている修道女姿の老婆の映像が、望遠ズームで映し出される。




