056 藤森楓「イーヴィル×アイ その4」
キャサリン:「蜂蜜もらって来たわ、カナダ産だけど、良い?」
キャサリン!もう、もらって来たの? まだ、心の準備が、3日位かかるのに!…
背広女 :「早くしなさい! こうなったら皆でこの子を抑えつけて、ズボンを脱がせて!」
ガタイのでかいボディガードが何人も襲い掛かって来て、当然私はガン泣き状態なのに、誰一人として助けてくれる人は居ない!
藤森:「ちょっと、ちょっと! …ヤダァ! イヤぁ!!…変態!」
三条:「みなさん、待ってください!」
その時!ひときわ高い、可愛らしいソプラノを、茜が張り上げた!
三条:「分かりました、お姉様、私がやります。他の人には見えない様にして、…それなら、良いでしょう?」
何だか、茜の目が、心なしか、…ギラギラしている??
藤森:「茜、あんた、それ、…友達として、言ってるんだよね、…」
三条:「当然です!」
背広女:「全く手間のかかる子ね、仕方ない、誰か早く、シーツ持ってきて!」
一応、女性だった背広女が、最後の最後で女子の貞操を、思い出したミタイだけど、…私は、一抹の不安を、拭いきれない。
三条:「大丈夫、茜を信じてください! 絶対に痛くない様にしますから。」
何だか、茜の鼻息が、心なしか、…ホンホンしている?????
藤森;「茜ぇ、この事は、絶対誰にも、言わないでよ。…」
三条:「当然です!」
私は、涙目になりながら、シーツを敷いた床に恐る恐る腰を下ろし、…
茜が私の両脚の間に潜り込んで来て、上からすっぽりと、ビロードの幕が被せられる。
茜の柔らかくて冷たい指先が、優しく、手際良く、私の下着を脱がして行く。
その白魚の様な細い両手の指に、蕩ける蜂蜜を塗りたくって、…私の、、の間に、、を滑り込ませて、…
藤森:「あぅ!…」
三条:「御姉様、少し、力を抜いて下さい。」
そんな事言ったって! …無理、勝手に身体が、緊張する!
藤森:「うぅ!…」/藤森:「やぁ、だ、…」
蜂蜜に蕩けた、冷たい茜の指が、…私の、… …を、… …に、…
藤森:「あかね、馬鹿ぁ、…その、触り方、…ぃやぁ、…」
あああああぁ…、頭が、おかしくなりそう。…こんなの絶対変! …私、両手をきつく握りしめて、両脚をもじもじさせながら、…それなのに、身体が、言う事を聞かない。変!変よ!… 真っ赤なビロードのオペラカーテンの中で、…一体何が、どうなっているの?…
三条:「お姉様、茜に全部、…任せて、…」
私は、ギュッと固く目を瞑って、口を結んで、…呼吸が、出来ない、…
自分の想い通りにならない、柔らかで、優しい、侵略者が、…
自分の意志とは関係なしに、…次第にそれは、いつしか私自身をも、丸め込んで、いく、…
濃厚な、蜂蜜の、甘い匂いが充満して、…もう、それしか見えない!
もう、何も、かも、…
どうでも良いや、…
藤森:「…ぁ、」
何故だか、私、涙が溢れて来て止まらない、…過呼吸が止まらない、…
多分、それは、悔しさとは、恐怖とは、…違う感情、…
そして、…
キャサリン:「なんなの? これ!」
背広女:「なに、この、気持ち悪いの??」
口の中が、擽ったくて、…私、こんなに歯の裏側が敏感になった事って、…きっと無い、
生まれて初めての感覚、だよね、
そして、茫然朦朧とした、虚ろな私の涙目に映る、ピンクの、…ウミウシ?
藤森:「…へ?」
私のポシェットの中にしまっていた筈の青磁のツボが、いつの間にか転がり出していて、その中から、驚くほど柔軟で、鮮明なピンク色のウミウシが、…蜂蜜の匂いに釣られて這いずり出て来て、開けっ放しのカナダ産クローバー・ハニーの広口瓶に、…
頭を突っ込んでいた。
そうか、アメミットの奴、とっくに自分の壺の中に還ってたんだ、…何時の間に?かな、…よくわかんない、けど、…
でも、それなのに、…
藤森:「ぁ、…いや、…もうだめ、」
コンマ何秒か、意識が飛んで、…不自然な体勢で、腰が宙に、浮く…!
藤森:「あかぇ、…駄目、…二回連続くぁ、…ヤバ、ぃ!…」
あれ、此処、何処だっけ? 確か、パリの何処か綺麗なロビーで、…
ま、いっか、…
強制的な虚脱感が意識を切り離し、脳味噌が洗濯機で漂白されたみたいに他人事になってる。
だから、漏らしちゃったのは、…
どうしようもないよね。
三条:「あぁん、御姉様ったら、…」
飛沫を顔面に浴びて、漸くシーツの裾から顔をだした茜が、…直ぐ傍に置いた蜂蜜の瓶に、ピンクのウミウシを発見する。
三条:「あれ? アメちゃん、何時の間に? …出たの??」
私は、全身をほおり出したまま、両手で顔を隠しながら、何時までも泣き続けていた。
言っとくけど! 絶対! 私は、ユリじゃ無いッ…んだから!!!




