055 藤森楓「イーヴィル×アイ その3」
三条:「あのう、すみません、…」
胃液の逆流する様な絶体絶命の緊張感の中に、ユルフワカールなFカップ美少女が、緩やかな微笑みで割って入る。
三条:「私は、御姉様を解剖しちゃうのは不味いと思うんです。」
背広女:「これは一人の人間の問題じゃ無いの、この償いは、後で何でもする、だから、個人的な感情で、今決断して為すべき事を見誤らないで!」
背広女は血走った眼で、面倒臭そうに突っかかる!
三条:「そうじゃないんです、だって、御姉様の中にはランクAの「悪霊」が居て、それが「ヒエログラフの呪い」で閉じ込められてるんですよね、だとすると、御姉様のお腹を切って解剖しちゃうと、その「悪霊さん」が、出てきちゃいませんか?」
茜は、人差し指を突き立てて、ちょっと唇をトンガらがらせながら、…御得意のポーズ?
背広女:「そんな、仮定の入り混じった最適を討論をしている余裕はないの、少しでもましな状況で今を凌ぐしかないのよ。」
背広女、あからさまにイラついて、…此の侭だと、私、問答無用でバッサリいかれちゃうかも??
三条:「でもそれって、後でもっと大変な事になるかも知れないけど、今は考えがまとまらないから気づかなかった事にするか、…って言っているのと同じですよね、だったら、皆の意見を聞いてみるのが良いと思うんです。」
そうよ! 茜、貴方は出来る子だった! 言い負かし合いなら、貴方に勝てる人なんていない! 貴方なら、私を窮地から救ってくれると、信じてる!
関目:「そうだな、確かに、その「牝」の中に居るのは「願いを叶えるモノ」と名乗る悪魔だ。一時的に弱っているとは言え、その危険度は「聖霊」や「悪霊」の比ではない。それを世に解き放つリスクは避けるべきだ。」
国際電話のスピーカーフォンから、しかし、よりによってコイツかよ、…コイツ、今私の事「牝」って言った? 言ったよね!
背広女:「だったら、どうすれば良いのよ!」
関目:「蜂蜜だ。」
関目:「できれば、ニュージーランド産のクローバーの蜂蜜が良い。」
背広女:「どういう意味なの?」
関目:「アメミットは、理由は解らんが蜂蜜を好んで食するのだ、だから蜂蜜を使えば、或いはおびき出す事が出来るかも知れん。 実際過去に、ツボの中から出て来なくなったアメミットを、この方法で取り出した事が有る。」
そういう事はもっと早く言いなさいよ! 全く役立たずの男なんだから!
背広女:「誰か近くのレストランに行って蜂蜜をもらって来て!急いで! ニュージーランド産のクローバーの蜂蜜よ!」
キャサリンが、血相を変えてすっ飛んで行く!
背広女:「あなたは、早く服を脱いで。…下だけで良いわ。」
藤森:「え? あれ、なんか、…どういう意味ですか?」
背広女:「分からないの? あなたの「股間」に蜂蜜を縫って、奥に入ったアメミットをおびきだすのよ! 早くパンツを脱いで脚を広げなさい! 恥ずかしがっている場合じゃないの!」
私は、一瞬で、頭の中で状況を整理する、…その結果、
藤森:「え?…えええええええっ!…はあ?此処で? もう一寸隠れた所とか、トイレとか、個室とか?」
背広女:「大和さんは、今「此処」で戦ってるのよ! どだい人間が聖霊にかなう訳なんてないの。一刻を争うの! 四の五の言ってる余裕はないのよ!」
いやいやいや、…いくら非常事態だとはいえ、パリ・ガルニエの煌びやかな階段下で、パンツを脱いで「あそこ」をおっぴろげるなんて? …それにほら、ここ、一体何が起こってるんだって様子を見ようと、全包囲から、野次馬な視線?!がいっぱい、どんどん集まって来てるじゃん!
藤森:「無理、無理無理無理無理無理、それならいっその事、殺して下さい。」
三条:「御姉様、御姉様が死んだら、茜、悲しい!」
藤森:「だからって、女子が、こんな大勢の前で、…「あそこ」を丸出しにして、…この先生きていける訳無いじゃない!」
三条:「御姉様、旅の「恥」はかき捨てって諺があります!」




