004星田翔五「堕天使の契約 その2」
山猫:「喜多見(=監禁されている女)がノミネートした人間の中で当てになりそうなのはアンタだけだったのよ、好きで頼んでんじゃないわ、」
山猫:「それに「その力」が手に入れば「神の戦争」を生き延びられるかも知れないのよ、…ちょっと、アンタも何か言ってやんなさいよ!」
ピンク髪のオネエは、今度は制御盤の上に素足を放り出して座っている行儀の悪い美女に向かって八つ当たりする。
美女:「興味無いわ、翔五が決めたんなら、私は従うだけだもの。」
瑠璃色がかった濡烏の髪、芯の強そうな眼差し、華奢で黄金比なスタイル。 身長は160cm位だろうか。 神の贔屓としか思えない美貌。 そしてこの美女、人の心を惹き付けて離さない不思議な匂いがする。
翔五(=ヒラメ顔):「アイツは一体何者なんだ?」
山猫:「未だ解らないわ、でも、アノ女が「祖師谷」に「進化促進薬」を与えたのは、確かだわ。」(注、メタモルフォーゼ(妖改)参照)
高速リフトで地上に還る、ヒラメ顔と濡烏の二人。
濡烏:「本当に良かったの?「その力」が本当なら、オリジナルの鴫野瑞穂に、もう一度会えるかも知れないのよ。ちゃんと気付いてた?」
瑞穂(=濡烏)は顔を逸らした侭で、本当は今にも泣き出しそうで、
瑞穂:「所詮、私は鴫野瑞穂の格好をして鴫野瑞穂の言いそうな事を言うコピーに過ぎないわ。アンタの本当の寂しさを癒してあげる事は出来ないよ。」
翔五は、ちょっと困った顔で、
翔五:「お前は誰かの代わりなんかじゃ無いよ。三千数百回の転生を一緒に戦ってきたのは誰でもないお前じゃないか。…だからコピーとか言うなよ。」
濡れ烏の美女が、少し頬を赤らめながら俯く、
翔五:「それにさ、死んだ人間と会う事は、やっぱり駄目だと思うんだ。 小説の前の方のお気に入りのページを、脈絡も無く後ろのページにくっ付けたって、…きっと混沌なだけだよ。」