036鴫野瑞穂「メール・イン・ザ・ルーブル その2」
鴫野:「ふーん、アカネちゃんて言うんだ。」
あくまでも優しい私の眼差しに、残念男は益々キョドり始める、…
星田:「ほら、涼子が世話になってる高校の、三条さん所の、御嬢さん、だよ。」
鴫野:「へー、何でアンタがその御嬢さんとお知り合いなのかなぁ?これ凄く親しそうな文面よねぇ、」
星田:「別に、悪い事は何もしてないって! 当たり障りのない社交辞令的だよ。」
鴫野:「ふーん、なんで当たり障りのない社交辞令を、こんな騙しフォルダーに隠すのかなぁ?」
星田:「今メールフォルダを整理してて、一時的にだって。」
何時の間にか、半泣きになってる残念男を見て、何で、私が…!
鴫野:「アンタ、一体何考えてんの? 自分の立場を弁えなさいよね、アンタ結婚してんでしょ? ニヤニヤ女子高生とメール交換なんかして、恥ずかしくないの? 一体この子と、どうなりたかった訳? まさか本気で付き合えるとか夢見てたんじゃないでしょうね?」
何で、私がこんなにムカついているのか、自分でも、解らない、…
星田:「なんで瑞穂が、そんなに怒るんだよ~、」
鴫野:「アリアがアンタに甘いからって、何やっても許されると思ったら大間違いよ!」
星田:「してないって、ちょっと、メールしただけだってば。」
鴫野:「どうだか、何しろアンタ前科あるからね、まさか忘れた訳じゃないわよね? お蔭で世界が滅びかけたの!」
藤沢:「うわぁ、…星田さんって、…駄目な人なんだぁ。」
星田:「はは、…」
そして、一番困った表情をしてる藤沢明里の顔を見て、私は、ぎゅっと、…身を竦ませる。
って、私、こんな所で、何やってるのだろう?
何で、私、コイツ苛めて、問い詰めて、かえって自分の方が、…惨めになってる?
鴫野:「アンタとは当分口きかないから、…話しかけないで。」
って、私、テーブルを立って、行く宛ても無く歩き出す。
何で、私、こんな所で、…泣きそうになってるんだろう?




