035鴫野瑞穂「メール・イン・ザ・ルーブル その1」
藤沢:「やっぱり、結婚、してたんですか? お二人!」
鴫野:「まさか、そんな訳ないじゃない、ああ言う手合いが来た時の常套手段よ。」
すっかり信じ込んで、あからさまに驚く顔の藤沢明里に、…私は苦笑い。
星田:「瑞穂はしょっちゅうナンパされてるからなぁ、」
鴫野:「何? 私がいけないの? それとも男の方が悪いの?」
そうよ、もろもろ男の方がいけないのだ、何時だって絶対そうに決まっている!
そう、男なんて、どいつもこいつも!……?
鴫野:「……!」
星田:「なんで今日はそんなに絡むんだよ?」
鴫野:「アンタ、妙にトイレ長かったけど、…何してたの?」
ウチの残念男が、一瞬身構えて、瞬間狼狽える!…やっぱり!怪しい!
星田:「トイレでする事は一つだろ?」
鴫野:「生憎と女はそういう訳でもないのよね、…ちょっと、携帯見せてみなさい。」
私は、三白眼で残念男に、にじり寄る。
星田:「何で、…携帯?」
鴫野:「アンタ、前科有る癖に、逆らう気?」
星田:「ちょっと、勘ぐりすぎじゃないか?」
鴫野:「やましい事が無いなら見せてみなさいよ。」
結局、蛇に睨まれた蛙よろしく、身じろぎ一つできない残念男のズボンのポケットから、私はスマホを取り上げる。
鴫野:「パスコード変えたの?」
星田:「普通変えるじゃん、ほら定期的に変えろって聞いてくるから、」
藤沢:「ふわぁあ…、浮気は、いけませんよ。」
星田:「浮気じゃないって! だいたい僕と瑞穂はそういう関係じゃないから!」
何だか、初心な藤沢明里が、軽くオドオドしている?
設定>メールから、隠しアカウントを発見、アクティベートさせて、「受信ボックス」、いや、…「領収書」と書かれたフォルダーを開く。
数件の受信メール発見、確かに「こいつ」がトイレに籠っていた時刻と、…一致する。




