024葛葉毅「144000分の1の少女 その6」
葛葉:「…それで、君の想い人には連絡が取れたのか? 悪いが、私もそんなに長くは君に付き合っては居られない。」
三条:「あらら、つれないんですね。 じゃあ、最後にお昼ご飯付き合って下さいよ、それで、無罪放免、解放してあげます。」
少女は、店員に代金を払い、12個入りのカヌレの袋を受け取って、小さなお菓子屋の扉を開ける。
途端に、パタパタと軽快な羽音を立てて、扉の呼び鈴にとまっていた小さな飛蝗が飛び立った。
葛葉:「それじゃあ、ランチを食べたら真直ぐに帰るんだぞ、保護者の所迄送って行く。」
三条:「契約成立ですね、此処から少し歩いた所に、有名なココット料理のレストランが有るんです。」
やがて、葛葉の手を引いて歩く少女の前に、3人の厳つい男が現れて、道を塞いだ。
ちらりと振り返った後ろには、恐らく一味と思われる4人の男、どうやら、既に、囲まれているらしい。
葛葉:『Who are you?(お前達、何者だ?)』(注、『』は英語)
男1:『その娘の知り合いだ、大人しく娘を引き渡して投降しろ、お前に勝ち目はない。』
男1は、ジャケットの下の、目立つ「銀の鍵」のアクセ?タイピン?が付いたホルスターをチラリと見せる。…コルトガバメントM1911A1、
葛葉:『本物か?』/男1:『オリジナルだよ、』
他の連中も、銘々に、得物を懐に抱いているらしい。
こいつらが、この娘のボディガードだと言う事か?
確かに、さっき片付けた連中の中に、見覚えのある顔も居る。…しかし、
葛葉は、俯いて溜息を吐きながら、上目遣いにガバメントの男を値踏みする。
葛葉:「悪いが、お前達ではこの子の護衛には役不足だ。 やはり、私が責任を持って、保護者の所まで送り届ける事にしよう。」




