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トリックスター(プロメテウスの火)  作者: ランプライト
第XIV章「セトルメント」
133/135

133 葛葉 毅:「大逆転 その6」

怯える三条茜に迫る喜多見の手には、先程回収された「シュブ=ニグラス」の種が、…握られている。


これは、正しい事なのか?

これは、本当に人類の為なのか?


私は、俺は、…どうすれば良い?


葛葉は、知らぬ間に葛藤していた、


聖霊に、人間如きが太刀打ち出来ない事くらい、判っている、

幾つもの銃口に跪かされて、両の手は後ろ手に縛られていて、


そんな何十何百の弁解に圧し潰された胸の底から、


微かに、誰かの、…声がする。


「俺は、ヒーローに憧れていたんだ、」


俺の、声がする。


「誰かを、何かを、救いたかった、」


でも、仕方が無いじゃないか、そんなのは無理に決まっている、俺が此処で命を捨てたからと言って、三条茜が助かる訳じゃない、何も変わらない。


「つまりお前は、あの子を、助けたいのか?」


「お兄さん、助けて!」


本当に声が聞こえた訳ではない、救いを求める三条茜の目が、確実に葛葉に突き刺さる。


「毅、私の事、見捨てないでよ!…まだ借りを、返してもらってない!」


聞こえる筈も無いのに、ミリアムの責める声が、胸を締め付ける。


「星田さんは、何の為に俺を「携挙」したのですか?」


「今、どんな自分で「いる」か、今、何を自分が「やる」か、…そうしてでしか、自分が「在りたいもので在る」事は出来ないと思うぞ、…つまり、難しく考えないで、今出来る自分らしい最善を尽くせば良いんだよ。」


「俺は、何で、今、此処に居るんだ?」


それは、それらは、一瞬の幻聴の様に頭の中を駆け巡り、…


次の瞬間には、もう、考えるよりも先に、身体が、…


飛び出していた!



後ろ手に手錠を嵌められた侭で、葛葉は、持てる限りの知恵と技と力で、…喜多見の首を、蹴りとばした!


強か、痩せた身体ごと吹っ飛ばされて、喜多見が、シュブ=ニグラスの種を、…床に落とす!



少佐:「貴様、血迷ったか!」

葛葉:「こんなの、間違ってるに決まってる!」


考えるよりも先に、身体が、…叫んでいた!


葛葉が、三条茜の盾になって、…悪意に、自らのみを助けようとする恐怖に、立ち向かう!


恐らく生き残る事は出来ないだろう、それでも少しでも彼らの心に届くなら、気付かせる事が出来るなら、


俺は、俺の想いを、…伝えたい!



葛葉:「奴隷として新世界に生きる事が、嫌がる女に機械の様に命を生産させる事が、…本当に人間の望んでいる生き方なのか!」


ジェームス:「じゃあお前はどうやって抗うつもりなんだ? 他に代案も無いくせに、反論だけを唱えるのは、結局何も出来ない、無責任で他人任せな子供のする事だ。」


少佐が、拳銃の銃口を葛葉に向ける、



少佐:「言いたい事は以上か? ならば、この銃弾に抗ってみせろ。」


避ければ、三条に当たる!


銃声が響いて、…脳内アドレナリンが、駆け巡る!


まるで、スローモーションの様に、銃弾は葛葉の顔面に接近し、…




空中で、…止まった、




葛葉:(何が、…起こっている?)

葛葉:(俺は、…死んだのか?)


これは、人生の最後に見た瞬間の映像が、フリーズした、…そういう状態なのだろうか、…


葛葉は、思わず蹌踉よろけて、…


それなのに、9mmパラベラム弾の弾頭は、空間に張り付いたまま、銃口から立ち昇る硝煙迄もが、ビタリと凍り付いたまま、…微動だにしない。



山猫:「これは、どう言う状況なんだ?」


どうやら、この静止した時空の中で、葛葉と山猫だけが、動いているらしい。




翔五:「さてと山猫、ラッキー・チャーンス・タイム、…だ、」




見ると、いつの間に其処に現れたのか、テントの隅に、星田翔五とアリアが、…



立っていた。

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