131 葛葉 毅:「大逆転 その4」
そして、輸送ヘリに乗って到着した、一人の「青い目の男」が現れた、…
胸に「銀の鍵」をあしらった、ネクタイピンを留めている、
少佐:「時間通り、全て問題無しだ。」
青い目=ジェームス・アンドリュー:「素晴らしい手際ですね、」(注、メタモルフォーゼ、エピソード025章「委員会」〜登場)
兵士:「御連れしました。」
そして、子供の姿をした「山猫」が、少佐の前に引き摺り出されて、…今や脳漿を垂れ流す星田翔五の憐れな姿を、じっと見下ろす。
山猫:「なんだ、お前達、革命でも起こすつもりか?」
少佐:「まさか、そんな大それた事は考えていませんよ。 それに「そいつ」は「人類の代表」でも「大統領」でもない、只の不確定要因、テロ予備軍の一つに過ぎない、そしてそんな物を何時迄も放置しておく事の方が、権能あるモノの責任放棄に他ならない。」
山猫:「万里は生かして置くのか?」
少佐:「トルコ石の蛇とカイトには未だ使い道が有る。 カイトの身体は今や残された最後の「ショゴス」だからな、」(注、メタモルフォーゼ、エピソード035章「エインヘリャル」)
少佐:「そしてカイトを操る為には、どうしても濱平万里は必要だ、…そうだろう?」
衛生兵が、眠らされている濱平万里の後頭部にも、葛葉と同じ化学兵器爆弾のカプセルを、インプラントした。
少佐:「総司令、もっと喜びたまえ、コレこそ、我々の望んでいた形だった筈だ、本来、星田翔五は、我々の敵だった筈、よもや忘れては居ないだろうな。」
兵士:「アリアが、再生します!」
そして、用意した冬眠カプセルの中に、小さな輝きが、出現する。
それは、星の光を集積する夜光虫の様に、朧げに、灯って、…ヒトの形を作って、エクトプラズムを集める。
少佐:「今だ、凍らせろ。」
カプセルに注入された液体窒素が、人の形に似た肉の塊を包み込んで、その侭、不透明に濁った氷の中に、…閉じ込めた。
山猫:「そんな事をしても無駄だ。アリアの力には逆らえないぞ。」
少佐:「心配は無用だ、ちゃんと、…手は打ってある。」
そして、一人の女が、テントを訪れる。
その、一見極普通に見える長身の女には、何処か見覚えが有った。
葛葉:「貴様、…喜多見か!」
女は、自分の名を呼びかける葛葉を見つけて、ニヤリと、…微笑んだ。




