125 葛葉 毅:「攻撃目標 その2」
少し離れた救護用テントから、忍ケ丘芽衣が出てくる。
芽衣:「他に具合悪いとこ有ったら、遠慮せんと言うてな、」
ミリアム:「ありがとう、芽衣さん。」
ミリアムは戸口まで芽衣を見送って、軽く手を振る、…それからテントの中に戻って、
上半身裸でベッドに俯く、葛葉の隣に、腰を下ろした。
葛葉は、黙ったまま、芽衣に治療してもらった胸の傷の具合を確かめている。
ミリアム:「毅、気にしなくて良いって、アンタは結構ちゃんとやってると思うよ。」
ミリアムは、恐る恐る葛葉に声を掛ける、…葛葉は此処に辿り着いてからコッチ、一言も口を利いていなかった。
ミリアム:「大体、心が疲れている時に頑張れって言うのは間違ってるのよ、だからおばさん達は駄目だって言うの、」
ミリアム、恐る恐る俯いた葛葉の顔を、…覗き込む。
葛葉は、情けなさそうな申し訳なさそうな表情で、…それから、ミリアムから、目を逸らして、…
葛葉:「ミリアム、お前に謝らなきゃならない事が有る、…」
漸く、意を決した様に、息を吐いた。
葛葉:「すまない、私は、本当にお前の事を愛しているのか、正直自分でも、解らないんだ。」
葛葉:「それなのにお前と「輩の契約」を結んだのは、…きっと私は、お前の「聖霊の力」が欲しかっただけなのだと、…思う。」
葛葉:「償えるなら、何でもする。 …赦してくれって言っても、もう手遅れだナ。」
ミリアム、ジト目で葛葉の事を睨み付けて、…
ミリアム:「今更そんな事言うな、…って言うか、解ってたわよ、」
ミリアム:「アンタみたいな格好いい男が、私ミタイナ子供なんか相手にする訳無いって、…」
葛葉:「俺は、そんな大した男じゃない。 少しも格好良くなんかないさ、ふりをしていた、我慢してきただけで、ちょっと仮面を剥がされれば、中身はこんなにも臆病だ、」
ミリアム:「まあ、そうだね、でも、今さら逃がさないわよ、アンタが嫌だって言ったって、私はアンタに取り憑いて行くからね、」
葛葉は、情けなさそうな申し訳なさそうな表情で、…それから、ミリアムの事を、じっと見つめる、…
葛葉:「俺を赦してくれるのか?」
ミリアム:「さあね、これからの行い次第じゃない?」
ミリアム:「言っとくけど、他に女なんか作ったら許さないからね、私は星田翔五の聖霊みたいに甘くないんだから、」
ミリアム、思わず照れ隠しに憎まれ口を言って、プレッシャに耐えきれなくなって、葛葉から目を逸らす、
ミリアム:「その代わり、私がアンタの事を幸せにしてあげる、…アンタが死ぬまで私がアンタを守る、世界中を敵に回しても、絶対に、だから、…毅は大丈夫、」
そう言って、ミリアムは葛葉に凭れ掛かって、体重を預けた。
葛葉:「ありがとう、」
葛葉は、ミリアムの柔らかな身体に腕を回して、包み込む様に抱きしめて、…
ミリアム、真っ赤になりながら、
ミリアム:「意外に甘えん坊だナァ、…まあ、ギャップ萌えって言うのも悪くないかもネ、」
それから、恐る恐る、恥ずかしそうな葛葉の顔を覗き込んで、…
ミリアム:「じゃあ、取り敢えず、…やっとく?」
葛葉:「何を?…だ?」
葛葉、柄にもなく顔を赤らめて、…一寸動揺を隠しきれない。
ミリアム:「その、ほら、お互いに未練を残したまま出撃とかさ、ガチ死亡フラグじゃん、」
ミリアム:「さっきのが偽物の誓いだってんなら、今度こそちゃんと、誓ってよ、…」
ミリアム:「私の事、大切にするって、」
二人は、照れくさくてお互いの顔も見れないまま、…
キスをした。
ミリアム:「もう一回、…」




