122 ミリアム・マリア・ヴァリ:「真プロメテウス その1」
と、突然、雨?が降って来た、…
こんな、鯨の腹の中で?
雫の跳ねた、ブーツの爪先が、柔らかな煙を上げる?
チリ!…と、頬に落ちた雨粒が、皮膚を焦がす!
葛葉:「これは?」
次第にぽつぽつと、勢いを増し始めた時雨が、肉の大地に繁る苔の様な植物を、…焼いて行く、
葛葉:「しまった、酸だ!」
巨大鯨の、胃液?リンパ液?が、肉壁の天井から垂れて来て、…
プロメテウスで凌ごうにも、…プロメテウスは酸に弱いのだ!
瑞穂:「一旦外に脱出するしかなさそうね、」
ミリアム:「でも外には、いっぱい偽プロメテウスが居るよ、」
葛葉:「仕方ない、強行突破するしかなさそうだな、行ってくれるか、」
ミリアムが召喚したプロメテウスは、幸いな事に、先程付けられた傷は全て修繕されている様だが、何時迄も此処にグズグズしている訳には居られない。
三人は狭いプロメテウスの操縦席に身体を押し込めて、…
ホーミングレールガンで、鯨の腹の壁を打ち抜き!
レールガン:「「……(鈍音!)……」」
バリアで機体を包み込みつつ、…脱出する!
途端に近づいてくる偽プロメテウス、その上、偽ゴーレムまでいる
ミリアム:「おいでなすったわよ!…どうする?」
同等性能をコピーしただけとは言え、多勢に無勢、…勝ち目が見えない!
葛葉:「退却する、最大速度で一気に距離を放すんだ。」
偽プロメテウスが、巨大鯨から何処迄離れて攻撃を仕掛けてくるのかは判らないが、…今は、戦術を選んでいる余裕が無い!
ミリアム:「いっけー!」
ミリアムの操縦は、一気に海中から上空へ、…偽ホーミングレールガンの雨を搔い潜りながら、プロメテウスを一気に地球の1/16回転 (2500km)余り、ぶっ飛ばす!
驚いた事に、20機余りの偽プロメテウスが食らい付いて来た!
しかも、敵は超高速飛行しながら、おかまい無しにホーミングレールガンを撃ってくる!
ミリアム:「なんで?…そんな事出来ない筈なのに!」
葛葉:「奴等は「出来ないって事を知らない」んだ、…ミリアム、つまり今のプロメテウスの性能の限界はお前が決めた設定だと言う事なんだ。 だから「設定」を変えてやれば、プロメテウスは今よりももっと強力になれるって言う事なんじゃないのか?」
と、次の瞬間!…不意を付かれたと言うか、とうとう捌ききれなくなって、敵レールガンが、プロメテウスの胴体に、…直撃した!
敵レールガン:「「……(衝撃!)……」」
ミリアム:「きゃあ!」
操縦席を粉砕される、プロメテウス!
飛び散る破片が、ミリアムを庇った葛葉の脇腹に、直撃!…飛び散る血肉!
そして、更にもう一発!
敵レールガン:「「……(衝撃!)……」」
プロメテウスは胴体を半分千切られた形で、錐揉み回転しながら、墜落?
破損した機体と一緒に、外に放り出される、…瑞穂と葛葉!
ミリアム:「毅!」




