表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
トリックスター(プロメテウスの火)  作者: ランプライト
第XIII章「ナイトメア・オブ・ザ・デビル」
119/135

119 葛葉 毅:「窮極の門 その1」

葛葉:「判った、」


葛葉は、一旦門を閉めて、もう一度「それっぽい穴」に銀の鍵を差し込んで、…回す。


再び、ガラララという鎖を引きずる様な音の後、…扉は再び少しだけ隙間を空けて、


ミリアム:「さっきと変わんないじゃん、」


葛葉:「行って来る。」


葛葉は、一人で、門をくぐった。




昏い門を抜けて、その先の明るい広場に出た所で、葛葉は貧血の様な立ち眩みを覚えて、…膝を付く、


門:「お前は誰だ?」


と、突然前方から、誰かが呼びかける声が聞こえて目を上げるが、辺りには何も見当たらない?



門:「お前は誰だ?」


もう一度、何処からか声が聞こえて、…



葛葉:「葛葉毅、人間だ。」


葛葉は、意を決して名を名乗る。



門:「照会、権限確認、通行登録した、」


門:「お前は何処へ行く?」


何だか事務手続き的だが、先程ミリアム達と一緒に入った時には無かった現象だ。


これが、ヨグ=ソトースに至る為に必要な手続きなのだろうか、



葛葉:「ヨグ=ソトースに会いに行く、」


門:「最終確認、本当に行きたいのか?」


葛葉:「ああ、そうだ、」



門:「それでは先に進むが良い。」


やがて、先ほどと同じ広場を超えて歩くと、今度は一番背の高い建物の前で、何かが、揺れている?


観ると、…建物の前の六角形の台座の上で、何だか得体の知れない気味の悪いモノが、リズムを取ってハミングしながら、身体を揺らしているのが、見えた。



葛葉:「何なんだ、これは、」


これも、確かに先程は存在しなかったものだ、…鴫野瑞穂の言う通り、この絡繰りは「人間」だけにしか反応しないらしい。


やがて見ていると、台座の上の異形のモノのダンスは、次第に緩やかになり、ゆっくりと、動きを止めて、ぴくりとも動かなくなってから、一二回、ビクっと、寝落ちしそうになって、…それから、どうやらとうとう耐えられなくなったらしく、スースーと、寝息を立て始めた。



と、突然地面が180度ひっくり返って、葛葉は、空に、いや巨大鯨の腹の中の天井?に向って、…放り出された!?


ところが、上空?眼下?には、何故だかピンク色の海?が拡がっていて、…


葛葉は、バラの香りに包まれたピンク色の海の底深くへ、…墜とされる!



やがて、渦に撒かれる様に、上も下も判らなくなり、必死に海面を目指して浮かび上がった、…その目の前には、


穏やかに拡がった岸壁の入り江の奥に、ポツンと、…巨大な石のアーチが立っていた。



葛葉:「此処は、一体何処なんだ?」


葛葉は天井を見上げてみるが、底には、まるで現実の様な曇り空が拡がっているだけ、


今の今迄、自分は鯨の腹の中に居た筈なのに?


しかし、戻る術も思いつかず、兎に角次のランドマークらしい、石の門まで、行ってみる事にする。



不思議な事に、海でずぶ濡れになった筈の服は、あっと言う間にすっかり乾いていた。 それどころか、ボロボロだった筈のスーツは、まるで新品同様に、傷一つ無くなっている。



葛葉:「もしかして、これは「夢」なのか?」


男?女?:「ご名答、…「窮極の門」の通行パスワードを確認した、ドウゾ此方へ、」


気がつくと、門の反対側に、全身にベールを被った一人の男?女?が立っていた。



葛葉:「お前は、何者なんだ?」


男?女?:「私は「案内人」です、必要ならタウィルと呼んで下さい。」


タウィル:「どうぞ、」


葛葉は、誘われるままに、海岸の小さな砂浜に用意された小さなテーブルに腰掛ける、


タウィルは葛葉にメニューを手渡して、…同時に、銘柄不明の白ワインの栓を抜いた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ