118 ミリアム・マリア・ヴァリ:「偽プロメテウス その3」
クジラの胴体に開いた穴は、直ぐ様!自動修復されるらしく、手負いのプロメテウスは与太付きながらも、完全に塞がる前に何とか、超巨大クジラの腹の中に、潜り込んだ。
 
葛葉:「此処迄は、攻撃して来ないみたいだな、」
ミリアム:「外は、普通の大気みたいね、呼吸可能みたいよ、」
 
キャノピーには便利情報が何でも自動的に投影されるらしい、
 
葛葉:「一旦外に出て、プロメテウスを休ませた方が良いだろうな、」
 
葛葉達は警戒しつつ、操縦席から外へ出て、…ミリアムがプロメテウスを、魔法陣の裏側に帰す。
 
瑞穂:「どうやらあそこが、敵陣みたいね、」
 
クジラの腹の中はうっすらと明るく、巨大な空洞の真ん中にポツンと、何故だか、中世の城?の様な建物が建っていた。
 
葛葉:「行ってみるか、」
 
一行は、暫く、ぐずぐず緩む粘土の様な肉の地面を踏みしめて歩き、予想以上の体力を消耗しつつ、漸く城に辿り着く、
 
城は、中世ヨーロッパの石造りの構え、周囲を取り囲む高い塀には巨大な門が付いていて、頑丈そうな扉が閉まっている。
 
ミリアム:「プロメテウスで壊す?」
 
葛葉:「迂闊に攻撃を仕掛けると、またコピーされて返り討ちに遭う危険も有る、」
 
瑞穂:「門なんだから、入れるんじゃないの?」
 
瑞穂は、持っていた銀の鍵を「それっぽい穴」に差し込んで、捻ってみる。…途端、
 
扉:「ガララララ…」
 
と、鎖の巻き上がる様な音がして、
 
扉が、ほんの少し、開いた。
 
ミリアム:「入れるみたい、」
 
城の中には、幾つかの塔や建物が建っていた。
 
一行は取り敢えず、一番背の高そうな建物に向かい、中に入ってみる。
 
建物の中には、全く人の気配がしない。
 
一通り探索して、他の塔や建物もめぐり、結局何の手がかりも見つからずに、門の前まで戻ってくる。
 
瑞穂:「そもそも、どうして人間の城なの? 彼ら異世界から来たんじゃないの?」
 
ミリアム:「もう、面倒臭いから、プロメテウスで全部ぶっ壊して御終いにしようよー、」
瑞穂:「そうか、多分そういう事ね、」
 
ミリアム:「何おばさん、勿体ぶっちゃってさ、謎でも解けたわけ?」
 
瑞穂、両手の中指の第二関節を尖らせて、ミリアムの米神を、…ギリギリギリ、
葛葉:「何か判ったんですか?」
瑞穂:「翔五がワザワザ「貴方」を此処に寄越したと言う事は、つまり、この鍵は「人間」にしか使えないんじゃないかな。」
瑞穂:「多分、毅クン、この鍵がヨグソトースへ導くものだとすると、これは、人間である貴方にしか使えないと言うのは、有り得るわ。」
 
瑞穂は、銀の鍵を葛葉に手渡し、
 
瑞穂:「じゃあ、後は、任せたわ。」
 
ミリアム:「ああー、責任放棄! 大人はいつもコレだからさ、」
瑞穂、両手の中指の第二関節を尖らせて、ミリアムの米神を、…ギリギリギリ、
葛葉:「でも、どうすれば良い?」
 
瑞穂:「鍵なんだから、差し込む処からやり直しじゃない?」
 
一行は一旦外に出て、
 
ミリアム:「私も一緒に行く!」
 
瑞穂:「駄目よ、聖霊が一緒だと、多分正常に機能しない、毅クンが一人で行きなさい。」
 
ミリアム:「馴れ馴れしく下の名前で呼ばないでくれる!」
瑞穂:「全く、アンタの頭ん中、御花畑とオタクネタしか詰まってないの?」




