112 願いを叶えるモノ:「奇襲 その2」
楓が、人間には発音できない言葉を発して、「悪魔」を、…召喚する。
涼子が振り返るよりも早く、…涼子の手足には、亜空間?から出現した鉤爪の付いた長い触手が、巻き付き!食い込んで、身動きを縛る!
翔五達が異変に気付いた時には、…
楓の皮膚は、ばっくりと後頭部から背中にかけて裂けて、まるで、蛹から蝶が脱皮する様に、すっかりと、ずるりと真皮までを脱ぎ去った、剥き出しの内臓の、楓が、…姿を現す。
茜:「…!」
骨と筋肉と内臓を剥き出しにして、全身を血管に覆われた異様な姿の楓が、…楓だったモノが、立ち上がり、三条茜を、見下ろす、…
バチバチと、霜が降りる様に、楓の全身を真っ白な皮膚が包み込み、
やがてその姿は、美しい少年!?の姿をした、「願いを叶えるモノ」と言う名の、悪魔へと、…結晶化する。(注、イーヴィル・アイ、エピソード049)
悪魔:「チェックメイトだ、…星田翔五、」
翔五:「なあ、知ってるか? 「リーチ」は何回叫んでも、上がんなきゃ「ハズレ」と同じなんだぜ。」
翔五は、元「楓」だった「願いを叶えるモノ」を観察しながら、ビールをもう一口、…
悪魔:「取り敢えず、危険物は、排除させてもらう。」
と、無数の触手が亜空間から出現して、涼子に、朋花に、芽衣に絡みつく。
朋花:「何此れ、や!…変な所、…触るなぁ!」
芽衣:「嘘、あかんて、そんなん!したら、…気持ち、悪い!」
涼子:「……!」
触手は、ジュルジュルと肌に絡みつき、無遠慮にその胎内にまで、…入り込む!
悪魔:「下手に動けば、この女の命は無い、」
そして悪魔は、ナイフのような鋭い爪の付いた触手を、…茜の、柔らかな唇から、滑らかな舌の上を通って、喉の奥深くへと、…侵入させる。
茜:「うごぉぅ…、」
茜は、全身の身動きを封じられた侭、無理矢理に喉を犯されて、…次第に意識を、遠のかせて、…
翔五:「お前が、喜多見の本体か?」
悪魔:「YesでありNoだ、…この女の身体を使って復活した此の私は、喜多見と同じく「本体の一欠片」に過ぎないが、…既に本体の召喚呪文の詠唱は完了している。…直ぐに相見えて、今度こそお前の息の根を止めてやるよ。」
翔五:「それでお前、何時から茜ちゃんを狙っていたんだ?」
悪魔:「三年前、お前の聖霊に計画を邪魔された時から、ずっと、逆転の機会を狙っていた訳だ。」(注、イーヴィル・アイ、エピソード040)
翔五:「それにしては、最悪のタイミングなんじゃないのか? …お前、クトゥルフを落とされて、焦っているんだろう?」
翔五は、ビール瓶の飲み口に指を突っ込んで、ぷらぷら揺らしながら、にやりと笑う。




