107 葛葉 毅:「ボーイ・ミーツ・ガール その6」
葛葉は、毒気を抜かれて、構えていたナイフを下ろす、
葛葉:『本当にお前が、アバドンの、本体なのか?』
カティア:『そう、僕がアバドンの本体、…ねえ、お茶でも飲む?』
カティアは、まるで知り合いをもてなす様な気安さで、葛葉に背中を向けたまま、お茶の用意を始めた。
葛葉:『何が狙いなんだ? 何故、私達を助けた?』
カティア:『普通、困ってる人が居たら助けない? 僕はそうするけどな。…お砂糖は要る?』
葛葉:『お前は、敵ではないのか?』
カティア:『本当に失礼な人だナ、君は、…そんなんじゃ友達出来ないぞ。』
カティアはポットにお湯を湧かして、それからテーブルにクロスを展げる。
カティア:『どうぞ、座って、…』
葛葉:『もしも敵意が無いのなら、頼む、直ぐに、街で暴れているアバドンを止めてくれ。』
カティア:『ゴメン、それは僕にも出来ないんだ。やり方わかんない、色々試したんだけど、』
ミリアム:「ねえ、毅、何を話しているの?」
ミリアムは基本日本語と、母国語のクロアチア語、イタリア語しか喋れない、が、この状況をどう伝えればいい?
葛葉:「この女が、アバドンの本体、らしい。」
ミリアム:「え?」
カティア:『クッキー食べる?』
カティアは奥の食器棚から、缶入りのクッキーを持ち出して来て、…
カティア:『本当、お客さんが来たのって何年ぶりだろう?』
葛葉:『このままではパリはおろか、フランス、直ぐに世界中がアバドンの化け物に覆われてしまうんだ、』
カティア:『困ったね、』
葛葉:『つまり君は、こういう事態にならない様に、此処に閉じこもっていたと、…そういう事なのか。』
カティア:『まあ、お蔭で生活には不自由しないしね、働かなくても良いし。』
ミリアム:「ねえ、なんて言ってるの?」
葛葉:「この女は、もともと敵ではないと、いう事だ。」
だからと言って、事態を収拾する為に、やるべき事は、変わらない。
葛葉:『カティア、一つ、頼みたい事が有るんだ。 協力してもらえるか?』
カティア:『まあ、良いけど、何?』
葛葉:『ここに、君を「消滅させる事が出来る武器」が有る、それで君を「消滅」させて欲しい、そうすればバケモノを止められるかも知れない、』
カティア:『本当に君は失礼な客だなあ、久し振りの客じゃなきゃ、とっくに毒ガスまみれの外に追い出してる処だぞ、そんなの嫌に決まってるじゃないか。』
葛葉:『まあ、そうだが、他に人類を救う方法が思いつかない。…なんなら代償に、私の命を差し出しても構わない。』
ミリアム:「ねえ、何話してるのよ!」
葛葉:『君だって、ヒトを傷つけない為に、こんな所に籠っているのだろう?』
カティア:『だからって、死ぬのが怖くない人なんていないよ。そんな、女子に告白するミタイなノリで「死んでくれないか」なんて、君、どっか頭のねじが外れてるんじゃないの?』




