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図書委員さんの恋4

 水曜日と木曜日。

 それは図書委員としての仕事がある日、としか予定になかった曜日。

 知識の妖精と名乗る彼が現れてから、紗香の中で“彼と話す事が出来る日”と言う予定が加わった。


 水曜日と木曜日。

 それは紗香にとってドキドキと胸が高鳴る日で、最も待ち遠しい日なのだ。

 紗香が最も幸せと感じる曜日となったのは、鈍感な彼女にもわかった。

 ……でも、それが恋なのかは紗香にはまだ分からない。これが恋なのか、と言う認識がいまいち彼女には理解出来ていない、……元彼との感情の違いがわかっていないようだ。


「……紗香?」


 黙り込む紗香を心配そうに彼女の顔を覗き込む知識の妖精は、お互いの鼻と鼻がもう数センチでくっついてしまうくらいに、彼の顔が紗香の顔に近付いていた。

 知識の妖精の不意打ちな行動に思わず紗香は、ドキンッと胸が高鳴ったと同時に肩を小刻みに揺らした後、頬が熱い……と彼女は考えつつも、どうこの赤い頬を隠して良いか、紗香にはわからなかった。


「……具合悪い?」


 と、知識の妖精は黙ったままの紗香を心配そうな表情をしながら、頬を赤く染めている彼女にそう聞いてきた。そんな彼に対して、紗香は緩やかに横に顔を振ると……。

 知識の妖精は紗香の手首を自分の方へと引き寄せるかのように掴み、彼自身の額と紗香の額とをくっつける。

 数秒間、知識の妖精は額と額をくっつけた後、ゆっくりとした動作で紗香の額から離していき、彼は怒ったように紗香にこう言った。


「やっぱり熱がある、駄目だろ? ……無理をしてはいけないよ、今日は帰ってゆっくりと休みなさい」


 と、知識の妖精は紗香に言い聞かせるようにそう言った。……紗香は自分でも何故だかは分からないが、モヤモヤとした複雑な感情を抱いていた。

 が、紗香は知識の妖精の言う通り、帰り支度をした後、知識の妖精に挨拶をして図書室から出ていく。

 そんな紗香の姿が見えなくなるくらいまで、図書室の入り口を見つめたいた後、知識の妖精はにこやかな、柔らかく優しい微笑みを浮かべながら、彼は慈愛のこもった声でこう独り言を呟いた。


「なあ、紗香。知っているか、……君が抱いている感情は恋患いと言うんだよ。君は自分自身の感情に鈍感なようだが、生憎俺はそう言う感情に気付けない程、鈍感ではないのでね」


 と、彼はそう言い、更に知識の妖精は小さな声でこう呟くのだった。


「……気にならない相手に加護をする程、俺はお人好しじゃないぞ」



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