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図書委員さんの恋3

 紗香はベッドに倒れ込み、図書室で男子生徒にされた事を思い出していた。

 キスをされた額を撫でながら、ほんの少しだけ温かくなった頬を、自分の部屋を換気するために開けた窓の隙間から入ってくる、少しだけ冷たい風で彼女は自分の頬を冷やしていた。


 この感情は何?

 男子生徒を思う度に、何故自分の頬は少しずつ温かくなっていくの?

 と、紗香は考えながら、男子生徒がキスをした額を彼女は優しい手付きで撫でながら、元彼にでさえも抱いた事のない感情を男子生徒に抱いてしまった事に、紗香は戸惑いを感じながらも、男子生徒を思う事をやめられなかった。


 男子生徒は知識の妖精だと名乗った。

 ここから離れる事が出来ないと、何かの番人もしていると彼は言っていた。

 確かに彼の背中には、まるで水晶のように透き通った羽根が生えていた。

 目の錯覚じゃないかと思う程に美しく、それしか見えなくなってしまいそうな程、見惚れてしまいそうな羽根が彼には生えてた。


 紗香は思えば、彼が妖精だと名乗る前の前の日、彼と初めて会った時から心がほんのりと温かくなるような感覚を感じていた。

 でも、それがどんな感情に当てはまるのか、紗香には分からなかった。

 どんなに恋愛小説を読んでも、その恋愛小説の内容に感動する事だけは出来ていても、どうしても“恋”がどんな気持ちになるのか、紗香には理解する事が出来なかった。

 紗香は元彼が言っていた言葉の意味を知ろうとした、……彼女は元彼が意味もなく何かを言う事はしないと知っているから、実話系の恋愛小説を何冊も何冊も読んでいた。


 頬が温かくなる理由も、

 心がほんのりと温かくなる理由も、

 紗香にはわからない。

 紗香は自覚していた、自分は自分自身の感情に鈍い部分があると言う事を。

 自分の恋愛事になると尚更、自分は鈍くなると言う事を、……彼女はしっかりと自覚していた。


「知識の妖精か……」


 と、彼女は無意識のうちにそう呟いた後、静かに瞼を閉じたのだった。



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