決意
今日三回目の投稿です。
また時間が飛びます。
カン、カン、カン、とリズムよく鎚を降り下ろす。使っている金属は特殊な合金で、世界一の強度を誇るものだ。熱にも強く、擬似太陽を使ってようやく赤熱するので、加工はかなり難しい。
もう何千回と鎚を振り続けている。ようやく形になり、それを精霊魔法で作った水で冷やす。
「うん、いい出来」
作っていたのは日本刀だ。ただし、その刀身は漆塗りのような光沢をもっている。それに柄や装飾、鞘などを用意して、完成だ。
この合金は特殊で、他の素材を混ぜると色が変わったりする。例えば、ユニコーンの心臓を混ぜた剣『スター・ブレイバー』は、聖属性を内包した魔剣、いわば聖剣となっている。魔力を込めれば、某騎手王の対城宝具みたいな極太ビーム兵器としても使える。
そして現在、その合金を使って全ての武器を鍛え直しているのだ。
「銘は……ヤタガラスで」
基本こんな感じで、しかも思い付きで銘を決めている。厨二臭いのも混ざっているが、今は関係無いので放置しておく。
服も例の合金を錬金術で糸にして、それを布にして作った。真っ黒だ。半袖とホットパンツ、ニーソでワンセットである。これは機動力を重視して服にしたが、下手な全身鎧よりもよっぽど物理、魔力耐性共に高い。
靴は膝下まである編み上げのロングブーツ。軽量かつ頑丈な素材を使っている。
腕には魔合金製の手甲。脚にはブーツ前面と靴底に取り付けるタイプの装甲。
耳にはレイさんから貰った戦乙女のピアス。
直剣や刀、槍、斧、大剣、弓、鎌など古代武芸スキルで使う武器たち。
さらに前世の知識と魔法や錬金術などを応用して作った魔導銃の数々。
装備は完璧だ。
スキルも知識も、師匠から教わることはもうない。後継者として誇りに思うと同時に、どこか寂しくもある。
師匠との出会いから、もうすぐ五年がたつ。それはつまり、別れが近いことを示している。
つい先日告げられた最終試験。それは、師匠を殺し、その神格を手に入れることだった。試験まであと一週間。次に会うときは、正真正銘の殺し合い。
正直、師匠を殺すなんて、したくない。でも、それが最後の試験なら。それが最期の試験なら。私は師匠に応えなければならない。師匠に魅せなければならない。私の強さを。私は一人でも大丈夫だということを。
住みかにしている洞窟から出て、伸びをする。
最後の一年はサバイバルだった。師匠とはほとんど会わず、ただ己のスキルを、魔法を、技術を、レベルを、高め続けた。
本当に色んなことをした。
黒竜と空中戦を繰り広げ、最終的には友達になったり。
地下水脈では友達になった海底人と水中戦の訓練をしたり。
フェンリルの長と契約し、背に乗って一日中駆け回ったり。
思い返せばまだまだ浮かんでくる。
それこそ、星の数ほど。夜空を見上げながら、なんとなく思った。
武器や防具のメンテも完璧。新しい魔法も開発済み。ポーションの類いも山ほど作った。
月が雲に隠れたのを期に、洞窟に戻り寝ることにした。
決戦の日は近い。
◆◇◆◇
名前:リアーシュ
性別:女
種族:ハイヒューマン
Lv.1403
HP:3724140
MP:3569320
Str:345674
Vit:330126
Agi:362651
Int:374119
Min:354762
称号
【才能の塊】
【努力の天才】
【神竜の後継者】
etc…
スキル
・古代武芸
・基本魔法
・魔導科学
etc…
◆◇◆◇
ローザンハビラの最後の試練に挑むリアーシュ。その戦いはまさしく、神話を彷彿させるものであったーーー
次回、「リアたん、ししょーをたおす」をお楽しみに!(タイトルは嘘)