死者の洞.03
久しぶり?
ダンジョンに入って十日ほどたった。現在の階層は五。アンデッド系に変質する前の最終階層だ。
途中の階層は特筆することは特になかった。
「いよいよボス部屋だな。にしても、扉の向こうから不愉快な魔力が駄々漏れだ」
「魔族系統かなー……。それにしては魔力が禍々し過ぎる気もするけどね」
「あぁ。魔族よりも質の悪いナニカがいる」
この魔力は、何やら侵食してきそうな感じがする。それも世界そのものを。
「邪神軍、か」
お姉さまから聞いた名を呟く。この世界を侵略してきた邪神が率いる軍勢。現在はとある最高神の仲介の元、破壊と規律の神が呼び寄せた渡界人によるゲームが行われているとか。
「行くか」
関係ないことを頭から振り払い、ボス部屋の扉を開ける。重厚な石の扉は、鈍い低音を響かせながら開いていく。
「ふむ、ダンジョンを掌握してからの初めての客がこのような小娘達とは、俺も墜ちたものよ。もう少し配置の魔物のレベルを高くしておくべきだったか……。その辺りはどう思うかね? 吸血鬼のお嬢さん?」
「ふん。いささか手温かったよ、死神。だが、ワタシのことを淑女として扱ったことだけは誉めてやろう」
「それはそれは。して、そちらの混ざりもののお嬢さんは?」
「そうだねー、死んで?」
「おやおや手厳しい」
スニィが無詠唱で放った光の槍は男の鎌に払われた。
「我が名はゴゴーラン・ヨフィルス」
「ユームェルエント・シザス・ナバーラ」
「スニィ=イーグ」
それぞれが武器を構える。
「シッ!」
勢いよく地面を飛び出し、斬りかかる。ワタシの攻撃は軽々と防がれる。
「セァァァァッ!」
初めから全開で連撃わ繰り出す。ゴゴーランは器用に鎌を操り、全てを防いでいる。
「次はこちらの番だ!」
連撃の隙間を縫うように刃を振るってくる。横凪ぎの一撃をしゃがんでかわし、剣を斬り上げる。微かな手応えを感じたと同時にワタシは吹き飛ばされていた。
すぐさま体勢を立て直してゴゴーランを見ると、どうやら柄でワタシを殴り飛ばしたらしい。
「ーー焼き尽くせ、"フレイムピラー"!」
「ぐぉお!?」
ゴゴーランを火柱が飲み込んだ。スニィの魔法か。
「ぬぅん!」
強引に火柱を突破したゴゴーランはスニィに向かって走っていく。ゴゴーランの一撃を杖で受けるが、ステータスの差により弾かれ、体勢を崩してしまった。
「チッ!」
スニィを左手で突き飛ばす。鎌の斬り上げによりワタシの左腕が二の腕辺りで断たれて宙を舞うが気にせず残った右手でゴゴーランの太ももに一閃。切断は出来なかったが、かなりの深手を負わせた。これで機動力はかなり削げたハズだ。
影を操りスニィを拾って距離をとる。
「ユーちゃん、わたしが大きいので決める」
「あぁ、時間稼ぎは任されたぞ」
残っている右手だけで扱うには少々重い剣だが、奴も体重を乗せた一撃は放ち辛いハズだから、公平だろう。
「嗚呼、神よ。私の声をお聞きください」
スニィの詠唱に危険を感じたのか、ゴゴーランが突撃してくる。
「蝋台に火を灯し、みなの祈りを届けましょう」
ゴゴーランの猛攻が増す。片では受けきれない。
だが、ナバーラの家で修めてきた技は柔の技。受けずに流すことによりこの猛攻を捌いていく。
「私の信仰は燃え上がる大火の激しさと、煌めく金剛の如く強固なものです」
「そこをどけェ、小娘ェェェェッ!」
「た・れ・が、小娘だボケェェッ!」
「ゴハッ!?」
ついプッツンときたワタシはゴゴーランを剣で貫く。
「嗚呼、神よ。私の声が届いたのなら、今ここに祝福を」
剣を引き抜き、影で拘束してから距離をとる。
「やれ、スニィ!」
「聖なる光よ、魔を、闇を祓いたまへ! "常夜明けし破魔の光を"!」
「ガァァァアアアアッ!?」
ゴゴーランを中心に光の柱が立ち上ぼる。
「アアアアアァァァァ…………」
光が止むと、ゴゴーランは完全に消滅していた。
「ふぅ、終わったか……」
剣をアイテムボックスに仕舞い、仰向けに体を投げ出した。
「ユーちゃん、腕大丈夫?」
「あぁ。これでも純血の吸血鬼だからな、一日もあれば生えてくるさ」
「でも止血はしようねー?」
スニィが回復魔法をかけてくれる。
「……はい、終わり。リアちゃんが待ってるだろうし、帰ろっか」
「そうだな。早く帰ろう!」
起き上がり、ダンジョンのクリア報酬の宝箱を開ける。
「これは……ボロいローブ、か?」
「何か特殊効果があるのかも。でもわたし達鑑定系のスキル持ってないから、リアちゃんに見てもらわないと」
「なら早く帰ろう!」
スニィがボロローブをアイテムボックスに仕舞うのを確認してから、二人そろってダンジョンの入り口に転移した。
ダンジョン編終了!
戦闘シーンが難しす。
次は一話挟んでアサヒがメインのVRMMO編を書くZE☆




