死者の洞.02
自分の中でもスニィの喋り方が安定しない。
ワタシとスニィは第二層に来ていた。引き続き遺跡タイプだが、出現する魔物が少しパワーアップしている。と、いってもゴーストが魔法を使うようになったり、リビングアーマーが出てくるようになったくらいだ。
「っと、そらっ!」
リビングアーマーを盾ごと切り捨てる。お姉さまから貰ったこの武器なら、並の装備なら少し引っ掛かる程度にしか感じずに斬り捨てることができる。
「ライトブリット!」
スニィの魔法の弾丸がワタシの側を通り抜け、魔物を撃ち抜いていく。
スニィに撃ち抜かれた最後のリビングアーマーが、最後の悪足掻きか、ワタシに斬りかかってくる。
「甘いな。そう、お姉さまが作るスイーツよりも甘い!」
リビングアーマーの剣はワタシの剣を滑るように流れていき、ワタシは返す刀で袈裟懸けに両断した。
「ふぅ。雑魚だが、数が多いな」
「お疲れさまですー。恐らく、入る人が少ないからじゃないかな?」
「そうかもな」
剣を背中の鞘に納め、スニィも杖を背中に戻した。
地図を取り出し、マッピングを再開する。
「なぁ、この階層、前の階層より広いよな」
「比率は1.5倍ってところかなー?」
「ワタシはその辺りは分からない。計算はお手上げだ」
「……ユーちゃんも立派な脳筋だよね」
「なっ!? ワタシのどこが脳筋なのだ!?」
「えー? だって、戦うことしかできないところとか?」
「グハッ!? ひ、ひどい……だって、誰も教えてくれないんだもん……戦うこと以外、教えてくれなかったんだもん……ぐすっ」
「(あぁ、涙目のユーちゃん可愛い……! もっとイジメたくなる……! ハァ、ハァ)」
いいもん。お姉さまに慰めてもらうもん。一杯シてもらうもん。
「あ、ユーちゃん敵だよ」
「ぐずっ、じぇんいんぶっころしてやりゅ!」
「あらあら」
さぁ、ワタシとお姉さまのイチャイチャライフのために消えてなくなれぇぇぇっ!
*
あらあら。ユーちゃんが一人で行ってしまった。とりあえず、援護はしておこう。
「戦場の高揚!」
集団強化の魔法。その肉体強化系の最上位。メリットは持続時間と効果範囲。大隊全てに行き渡らせることができるほどの広範囲に作用する。まぁ、二人しかいないこの状況では他の魔法の方が節約になるが、気分的な問題だ。
「さて、わたしも参加しようかなー」
わたしも杖を握り直し、敵に突っ込んでいった。
*
よし、フロアボスだ。
ん? 時間が跳んだ?
気にしたら敗けだ。
今回のボスはデュラハンだ。
「先手必勝、シャドウダンス!」
剣を抜き、魔法で影を操りながら全方向から攻撃をする。
「思ったより堅いな……!」
両断できない。剣は悪くない。筋力値も低くない。足りないのは熟練度だ。ワタシの技術がまだ剣に追い付いていない。
それにシャドウダンス、燃費が悪い。スニィが離れたところで魔法の詠唱をしている。
「穿て炎槍、フレイムランス!」
咄嗟に後退した直後、デュラハンに炎の槍が突き刺さった。なんとも言えない叫び声がする中、スニィがさらに紡ぐ。
「内包術式、解放!」
デュラハンが火柱に包まれる。ワタシも距離が近かったようで、服の端が少し焦げてしまった。
火柱が散り、デュラハンは既に満身創痍の状態だ。
「止めだ!」
ワタシは剣を構えて肉薄する。
「闇を纏え、光を喰らえ、我が剣よ!」
流れるような動作で斬り下ろしからの斬り上げ、回転しながら相手の背後に回り剣を振り抜く。デュラハンの胴を両断した。
「漆喰之型、剛連三舞!」
フッ、決まった。完璧だ。
*
うわぁ、よくあんな技名言えるよねー。ある意味尊敬するよ。
「ふぅ。なぁ、スニィ。どうだった? ワタシの技はどうだった?」
「え、えーっと……」
ドヤ顔で訊いてくるユーちゃんに、わたしはどう返していいのか分からない。正直に返して傷付けてしまうのも今後のダンジョン攻略に支障を来しそうで怖いし、かといってあんな技名を使っているのを他人に聞かれるのもわたしが恥ずかしい。
どうするべきか……。
「い、いいんじゃないかなー? でも、わざわざ叫んでたら技名盗まれちゃうかもしれないよ!」
「何ッ!? それは……嫌だ! よし、これからは心の中で叫ぶことにするぞ!」
「うん、それがいいよー」
主にわたしの精神的に。
現在、攻略開始から三日目。
*
「……よし、出来た! ユーの出来たから、次はスニィの服の縫いに……」
この小説、考えてることイベント全部やると百話越えそうです。まぁ、全部やりますけど。




