目覚め
空が見える。快晴の空は、蒼く清んでいて綺麗だ。
「あれ、ここは……?」
体を起こす。
「ようやく起きたか」
背後から掛けられた声に振り向くと、そこにはなんと。
ドラゴンがいました。
「……ひぅう!?」
情けない声が漏れたが、仕方ない。むしろ失禁しなかったことを誉めてほしいくらいだ。
だが、相手はドラゴン。戦えばひとたまりもないし、逃げてもすぐに追い付かれるだろう。いや、ブレスで丸焦げにされてさようならだ。
「あ、あのっ! 食べるならもっと大きい生物の方がーー」
「待て、何か勘違いしていないか? もしやこの姿に怯えておるのか」
ザッツライト。むしろ怯えない人はいないと思います。
とにかく全力で頷き倒す
「ふむ。ならばこれでどうだ」
光に包まれたかと思えば、どんどん小さくなっていき、老人になった。
歴戦のナイスシルバーな仙人。それが目の前の老人に抱いた第一印象だ。
「さて、何から話せばよいものか……。まずはステータスを確認してみるといい。頭の中で思い浮かべれば見れるハズだ」
とにかく言われた通りにしてみると、目の前に半透明のウィンドウが現れた。
◆◇◆◇
名前:ーーーー
性別:女
種族:人間
Lv.1
HP:19
MP:8
Str:4
Vit:2
Agi:3
Int:50
Min:13
Luc:31
称号
【才能の塊】
【努力の天才】
【転生者】
スキル
・なし
◆◇◆◇
何これ。でもその前に一つ。
「『性別:女』ってなんだよ!? てか何異世界転生!? それなら神様がチートとか与えてくれるのがテンプレでヘァウ!?」
痛い! デコピンされた、超痛い!
「うぅ~、痛いじゃないか! アウッ!?」
まただ、またデコピンされた! てか威力が洒落にならねぇ! 頭割れそう。
「まずは言葉使いや仕草から指導(矯正)する必要がありそうだな」
う、なんだろう寒気がする。それよりもこの爺さん誰だ?
「おっと自己紹介が遅れたな。我はローザンハビラ・ウルカヌ・アルヴレイム」
すると目の前にウィンドウが現れた。どうやらローザンハビラさんのステータスのようだ。
◆◇◆◇
名前:ローザンハビラ・U・アルヴレイム
性別:男
種族:神竜(中級神)
◆◇◆◇
ファ!? 神!?
「もももも、申し訳ありませんでしたー!」
見よ、これが日本人のDO☆GE☆ZAだ!
「気にするでない。五年後にはお前が後を継ぐのだからな」
……はて、何やら不穏な言葉が聞こえたような……。
「言葉の通りだ。五年で我を越えてもらう」
「無理無理無理、絶対無理だってば! そもそも俺は痛ぁ!?」
デコピンがトラウマになりそうです。マジで。
「一人称は『私』、言葉使いも女の子意識しろ!」
「は、はい師匠!」
こうして丸一日、言葉使いと仕草、ついでに女の子の生理現象やそれの対処方などを叩き込まれた。
というより師匠、男なのにどうしてそんなに詳しいんですか……。