ユーの勝利
「ハッ!」
気合いを入れて剣を振るう。相手の鎧はミスリル製。強度はダマスカマスには劣るものの、切れ味が鈍いことで有名なダマスカマス製の剣では、半ばまで叩き斬るのが精一杯だろう。
と、思っていたのだが、少し引っ掛かった感じはしたものの、リビングアーマーを両断していた。
「何ぃ!?」
悪魔の男も驚いているが、ワタシも驚いた。手に持つそれが、本当にダマスカマス製なのかどうかを疑いたくなるぐらいに。
「アハハハッ、スゴい! スゴいぞこれは!」
ミスリルがなんだ。邪神の配下というのも、大したことないらしい。
剣を振るう度に、鎧の残骸が蓄積されていく。剣を、楯を、鎧を切り裂き、葬っていく。
「クソ、クソ、クソ、何故だ、何故だァァ!? 何故ミスリルが斬れる!? 何故数で押しきれない!? 邪神軍四天王、ヤバール様の配下のこの俺が! 何故小娘一人に勝てないんだよォォォ!」
「簡単なことだ。ワタシにはあるからだ。お姉さまへの果てしなく大きい愛が!」
最後のリビングアーマーを切り捨て、魔族の男に斬りかかる。
「何が愛だ! 調子に乗るなよ小娘風情が!」
剣での一撃は、杖によって防がれた。魔力で強化したか。
こちらも魔力を流す。
何度も打ち合い、剣を振るい、杖が振るわれる。やはり杖術スキルが高いようで、大剣スキルを入手したばかりのワタシでは攻めきれない。
一体どうしたものか……。
*
スコープを覗いて状況を確認しつつ、私は思考する。
魔族の男は、ユーの手には少し余るようだ。かといって魔族の男を撃とうものなら、グレイブでは威力が高過ぎて、ユーを巻き込んでしまう。困った。
それよりもゴーレムだ。騎士、冒険者、プレイヤーでは相手にならないし、私が殺ろうか。魔核の位置は分かってるし、あとは狙いを定めて引き金を引くだけ。
私はグレイブをゴーレムに向け、照準を合わせる。銃身が帯電し、バチバチと音を立てる。
そして、引き金を引く。音を置き去りにした弾丸は、一直線にプラズマの尾を残し、ゴーレムの魔核を貫いた。
*
何かがゴーレムを貫いた。多分お姉さまの仕業だろう。胸に大穴を空けたゴーレムが、後方に倒れた。
「何事だ!?」
魔族の男が余所見をする。
ワタシはそれを見逃さず、首を跳ねた。
「馬鹿め。余所見をするからこうなる」
ゴーレムを見た驚愕の表情のまま転がる生首の髪を掴み、持ち上げる。
リビングアーマーの残骸もちゃんとアイテムボックスに回収し、街に向かって歩き始めた。
*
ゴーレムから数km離れた森の中、魔族の男にかなりの肥満体型の男が怒鳴っていた。
「何が絶対に成功するだ! 嘘をつきやがって!」
「それは奴が勝手に言ったことよ。ククッ、それに奴は我が部下の中では最弱。なんなら次を寄越すが」
「その心配はいらないよ。お休み、豚野郎」
豚野郎は眠って、顔面から倒れた。鼻血が出ているが、寝たままだ。
「誰だ?」
「んー? 名乗る必要ある? もう二度と会わないのに」
「それはどういウゴッ!?」
少女、リアは魔族の男、ヤバールをアッパーで空中に打ち上げた。
「さようなら。『聖焔十字』!」
火と聖属性の十字架が、ヤバールを跡形もなく消し飛ばした。
「汚い花火だね」
ただ単に言いたかっただけである。
「はぁ。邪神軍四天王とか言うぐらいだからどれほどのもんかと思ったけど、たかがレベル600の雑魚だったとは。早く帰らないと、ユー達に心配されちゃうな」
豚を魔法で持ち上げて、バラセクトの街に転移した。
レベル600は中級の竜ぐらいです。街の一つや二つ、簡単に破壊出来ます。ただ単に相手が悪かっただけです。
そのうち、掲示板とかもやってみたい。




