街の中
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を越えてました。ありがとうございます。
「身分証明を」
門番の男が簡潔に言った。
「っ! これはアーガメント家の……! すぐ使いの者を出すから、あなたはここで待っていて下さい」
近くにいた男に指示を出し、最後に私のところに来た。
私はペンダントを見せる。
「こ、これは祝福……!?」
やっぱり、自由と創造の祝福を持ってる人は少ないのだろう。門番だけでなく周囲の人まで驚いている。
「私達もこの子と一緒に待つけどいいよね?」
「どうぞ!」
ビシッと敬礼してくる。綺麗な敬礼だ。
邪魔にならない位置に移動し、待つ。
二十分ほどたってからだろうか。貴族っぽい馬車がやってきた。それを見て、アミリーが走り出す。危なっかしいので私とユーも後に続く。
「アミリー!」
馬車がまだ止まっていないのに扉を開けて17、8歳ほどの男が飛び降り、走ってきた。
たぶんアミリーの言っていた兄(変態)だろう。抱きついて胸に頬擦りし始めた。アミリーに殴られている。
止まった馬車から父、母、使用人の爺、メイドといった人々が降りてきて、父と母はアミリーに抱きつき、使用人の方々は後ろで待機している。
爺と目が合い、相手が驚愕したのが分かる。アミリー達はまだ時間がかかりそうなので、軽く遮音結界を張った上で話しかける。
「どうかしましたか?」
「いえ、何もございません」
「そうですか。てっきり、ステータスが見れなくて焦ってるのかと思いました」
「なっ……!?」
私は相手に鑑定スキル(高熟練度)があるのを見たので、からかってみることにしたのだ。
「あぁ、別に敵対しなければ何もしません。私としては、仲良くしたいのですから」
締めに微笑む。爺は難しい顔で唸っている。
「了解した。私からは何かを追求しないと誓いましょう。規律と破壊の神の名にかけて」
オリナーさんが言っていたもう一人の上級神だろう。てか規律と破壊って性質が矛盾してるし。
「ありがとうございます」
簡潔に告げて、ユーの隣に戻る。
「何をしていたのだ?」
「少しお話をね」
そう言うとユーはそれ以上追求してこなかった。
それか数分たって、アーガメント家の四人がお礼を言ってきた。
「アミリーを助けてくれたこと、代表して礼を言う。俺はアーガメント家当主、ウィルソンだ。公国に仕える公爵家でもある」
公爵……確か、貴族の位の中では一番高かったハズ。
「いえ、たまたまですから」
実際、ゴブリンに襲われている盗賊を見に行かなければ、こうなることはなかっただろうし。ユーに血を吸われて干からびるか眷族になるかしてただろうし。
「それでも構わない。だが、相応の礼はさせてくれ。言うならば我が儘だ。ぜひ我が家でもてなしたいのだが……」
「えっと、首都ですか?」
「首都だな」
「私達の目的地も首都なので、同乗させていただいても?」
「それくらいは問題ない。席も空いているし、食料は多目に積めばいい」
「では、お言葉に甘えて」
そこからは自己紹介タイムに近いものになった。
「テルミーナです。この子らの母をしています」
「アルフレッドだ。アルフお兄ちゃんと呼んでくれ」
「リアーシュ・アルヴレイムです。リアと呼んで下さい。よろしくお願いしますね、ウィルソンさん、テルミーナさん、変態さん」
「あれ、俺の評価酷くね? さてはアミリー、何か吹き込みやがったな!?」
「自業自得」
「アルフ、言葉遣い」
「いや、お袋、今のは口が滑ったと言うかな……」
うん、アルフの弱点は母親だな。覚えとこう。
「ユームェルエント・シザス・ナバーラだ。ワタシはお姉さまの恋の奴隷なのだ!」
「余計なこと言わないの」
頭に拳骨を落とす。
「う~、痛い~」
涙目で見上げてきても許してあげ……あげ……あげ……る! 可愛いは正義。
……はっ!
しまった、私としたことがいつの間にかユーの頭を撫でていた。いや、可愛いからいいか……。
「この子、一応吸血鬼だから、それだけは知っておいて下さい」
少し驚いているようだが、すぐに頷いてくれた。
「改めて、アミリアーナだよ。この人が使用人のまとめ役のラーグ。爺って呼んであげて。で、残りがメイド戦隊の五人。右からレッド、ブルー、グリーン、ブラウン、ブラック」
呼ばれたタイミングで一人ずつ頭を下げていく。
「……えー、なんで戦隊?」
「なんでも、戦うメイドシリーズらしいよ」
うん、分からん。ただ、全員暗器使いなんだろうな。
「さて、自己紹介が終わったところでなんだけど、三人とも疲れただろうし、出発は二日後にしようか」
ウィルソンさんの提案に同意する。もうすぐ日も暮れそうで、馬車で宿に移動した。
街で最も高い宿のようで、食事も部屋もかなり上質だった。ちなみかに部屋はユーとの二人部屋。
余談だが、夜中にユーに襲われて、散々いじりいじられたせいで若干寝不足になってしまった。
*
夜の十一時頃。
「報告をします。アミリアーナ様を誘拐、監禁させていた盗賊達が全滅していました」
「やはりか……」
「やはり、とは?」
「今日この街に入ってきたからだ」
「その件に関してなのですが、アミリアーナ様と同行していたのは二人の少女で、一人は銀髪金眼、もう一人が金髪紅眼だそうです。なお、銀髪の少女は自由と創造の祝福を持っているとの情報も上がっています」
「祝福だと!? ……クックック、娘を餌に公爵家から金をむしり取ろうと思っていたが、丁度いい。ターゲットを変更する」
「では、銀髪の少女から祝福を奪うということで?」
「当然だ。祝福は金を積んでも手に入らん。ならば奪えばいいのだ! もし拒否されても、こちらには『アレ』があるからな。……クックック、クァーッハッハッハッハ!」
リアとユーの淫らな関係は今後とも継続するよどこまでも。




