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竜の軌跡  作者: 糸田シエン
修行編
11/81

越えるべき壁

 火、光、重力の複合魔法、『スターフォール』。

 ただ単に火と光を混ぜるとビームになる。それを重力魔法で密度を上げ、さらに上空から重力魔法で落とす。もちろん落とす重力魔法は全力だ。

 つまり、重圧により逃げられず、さらに骨まで蒸発させるような光に焼かれるという凶悪な魔法なのだ。

 創っておきながら、とんでもない魔法だ。魔力も半分以上持っていかれるし。


 魔力を回復させるためにポーションを飲み干す。


「グガァァァァァァァァッ!」


 降り注ぐ光を裂いて、堅牢な鱗に覆われた竜が現れる。

 初めて会った時に一度だけ見た師匠の本来の姿。神々しさと、生物としての圧倒的な威圧感が私を襲う。


 勝てるのか……?


「……否ッ!」

 弱気になってはならない。イメージするのは勝者である自分の姿。

「私は勝たなきゃならない。皆の期待のためにも」

 師匠やレイさん、霊峰で出会った友人達のためにも。


「負けられないッ!」

 武器を剣から銃へと持ち換える。近代的な二挺拳銃、レル・コルに。


 右手の銃を師匠に向ける。狙いは腕だ。

 銃が雷を纏う。狙いを定め、引き金を引く。轟音とともに、直径18mmの徹甲弾がレールガン機構から発射される。

 威力重視のレールガンモードと、消音重視のコイルガンモードがあり、状況に応じて切り換える機能がついている。


 音速の十数倍で飛翔した弾丸は、師匠の鱗にヒビをつけただけだった。

 クロード相手ならこの距離でも貫通出来たのに。いや、貫通したのはアンチマテリアルライフル風のやつだったっけ。そんなこと、今はどうでもいい。


 効かないのなら、効かせられるように工夫すればいい。狙うはゼロ距離射撃か、鱗の薄い部分か。


 その時、師匠が僅かに首を上げる。竜に見られるブレスの予備動作だ。

 私はすぐに防御のための策を考える。属性が分からない以上、魔法での防御はしないほうがいい気がする。

 なら物理的に防ぐか。念のため、剣や楯も止めておこう。なら……。


 私はスナイパーライフル型の銃へと持ち換え、狙いを定める。

 ブレスが吐き出される。かなり大きい。

 引き金を引く。音を置き去りにした弾丸は衝撃波を撒き散らし、ブレスの大部分を吹き飛ばした。


「いない……ッ!?」

 銃を投げ捨て、頭上で両手をクロスする。直後、師匠の腕が振り下ろされた。


 腕が、肩が、背骨が、足が、全身が軋み、悲鳴を上げる。

 さっきのブレスは罠。本命はこちら。そこまで理解して、今度は側面からの衝撃。横凪ぎでの一撃は、骨を砕き、鋭い爪が左腕を切り飛ばし、さらに胴に深い裂傷を残す。

 吹っ飛ぶ前に左腕を掴むことに成功。辛うじて無事な右足で着地し、左腕を元の位置にくっつける。


「『リザレクション』」


 最上位回復魔法で傷とダメージを全て癒す。


 やはり、どこか気後れしてしまっていたのかもしれない。師匠は、この世界に来たばかりの私を今までずっと育ててくれた親代わり……いや、親だ。そんな人を殺すことに、どこか躊躇っていたらしい。

「駄目だなぁ、私。気付かない間に手を抜いてたなんて」

 それは、師匠を馬鹿にしているようなものだ。

 もう迷わない。もう躊躇わない。 

 改めて具現化させた武器を握りながら、雄叫びを上げ師匠に立ち向かう。


 その戦いは、嵐のように激しさを増していく。


 決着がついたのは、それから二日後のことだった。

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