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二回目の尾行

隆と名波が拓馬のことを尾行するのは、これで二回目である。

一回目は、一花に呼び出された拓馬が告白される現場に立ち会った時だ。あの時は、最初から見失った状態でのスタートだったので、『尾行』とはちょっと違うかもしれない。

しかし今回は最初からの尾行となるので、隆はとても張り切っていた。


「いいか名波。まず相手に悟られないように少し離れた距離で後ろを歩くのが基本だ」

「うん」

「だから目線は足元を見るんだ。膝の辺りでも見ておけ。頭とか上半身を見てると、『あれ? 視線を感じるなぁ』なんて思ってしまうから気をつけろ」

「うん。わかった」


前を歩く拓馬を見失わないようにしながら、名波に尾行の注意点を話していく隆。とても生き生きとしています。

名波も心のメモ帳に書き留めながら真剣に聞いています。

拓馬を追いかけ始めてかれこれ10分。

特に用事が無いのかただ街中をブラブラとほっつき歩いているだけの拓馬。しかし、拓馬が用事も無いのにこんなところまで出てくるはずがないのは、長年親友を務めている隆が一番よくわかっている。


「それにしてもどこに行くんだろうね?」

「さぁな。でも多分誰かと会うはずなんだ」

「なんかワクワクしてきた」


そして尾行を続けることさらに10分。

札幌駅の近くへと戻ってきた拓馬がちらちらと時計を気にし始めた。それに気づいた隆が、ケータイを開いて時間を確認する。

午後12時ちょっと過ぎ。


「思えば遠くへ来たもんだ」

「へ? いきなりどうしたの?」

「もうこんな時間だな」

「うわっ。どうりでお腹が空くわけだ」


時間を見た途端、急に空腹感を感じるようになった。

11時過ぎに待ち合わせをしてから、かれこれ1時間が経っていた。


「どうする? どっか入る?」

「バカ野郎。尾行中と言えばあんぱんに決まっているだろう」


さっきの信号待ちの間に、大急ぎでコンビニで飲み物を買った隆と名波。隆はその時にあんぱんも買っていたようで、コンビニの袋の中からあんぱんを一つ取り出す。


「えーっ! ホントにあんぱん食べるのーっ?」

「あんぱん好きだろ?」

「好きだけどさっ! こしあんのあんぱん好きだけどさっ!」

「わかってるって。ちゃんとこしあんも買ってあるからさ」


そう言って持っていたつぶあんのあんぱんを袋に戻し、こしあんのあんぱんを取り出して名波に渡す。


「わーい! こしあんだー! ってちがーう!!」

「わかってるよ。さすがの俺もデートであんぱんは嫌だからな。尾行はこのへんにしてどっか食べに行くか」

「いいの?」

「今日のメインはデートだからな。拓馬の尾行はおまけだ。良いひまつぶしになっただろ?」

「・・・デート中にひまつぶしってゆーのもどうかと思うけどね」

「細かいことは気にするな。さて、じゃあどこに行く・・・」

「ん? なしたの?」

「拓馬が動いた」


さっきまで『尾行は中止だ』とか言っていたくせに、拓馬が動いて建物の中に入っていくのを確認したあと、さっそく尾行を再開しようとする隆。

そしてふと尾行しようとしている自分に気づいた隆が足を止めて選択を迫られる。


「くそっ・・・」

「じゃあ尾行しよっか」

「でも一応これデート中だぞ?」

「だって気になるんでしょ? 私も気になるもん。それにこのままデートされても拓馬のこと気にしてそうだもん」

「名波・・・。お前イイ女だな」

「そんな女を捕まえたのは隆だからね」

「よし。今度埋め合わせするから今日は付き合ってもらうぞ」

「クレープ食べたいなー」

「任せとけ!」


美少女からイイ女へと進化を遂げた名波に許可をもらった隆は、意気揚々と拓馬が入っていった建物の中へと入っていった。

その建物とは、札幌駅のすぐ隣にある大型書店の紀伊国屋書店だった。

一階は小説やマンガ、雑誌が販売しており、一角ではCDやDVD商品なんかも販売している。

二階に上がると、専門書が大量に販売しており、様々なジャンルの本が販売されている。

北海道最大規模を誇るコーチャンフォーには及ばないが、市内ではかなりの大きさを誇る書店である。

そんな書店になぜ拓馬が?、と隆は思ったが、今は先に入った拓馬を探すのが先決と判断し思考を止めた。


「隆。あれじゃない?」


名波が隆の上着の袖をくいっと引っ張って引き止める。

名波が見ている方向には、小説の棚の間で女の人と話している拓馬の姿があった。

棚の高さは頭が見えるぐらいしかない。女の人は隆と名波に背中を向けているため誰なのかはわからないが、後ろ姿だけで女の人だとわかった。


「どうしますか。隊長」

「とりあえずは様子見だな」

「本屋さんで様子見って何してれば・・・あっ」


どうやって時間を潰そうかと考えていると、ただ待ち合わせをしていただけらしく、拓馬達はすぐに移動を開始した。

そしてその時に女の人の横顔が見えた。


「委員長かよ・・・」「委員長・・・」


まさかの相手に驚いてしまい絶句する隆と名波。

拓馬と一花はそのまま書店をあとにして、街中へと歩いていった。


「・・・ど、どうしよっか?」

「どうするか」

「そこは隆が決めてよー」

「だよな。なんかあの二人がそーゆー関係だったなんて知らなかったから、ちょっとショックがでかいな」

「隆も聞いてなかったんだ。拓馬ってなんで教えてくれなかったんだろ?」

「もしかして俺たちが付き合ってるのに反対してるとか?」

「えーっ。それはないでしょ」

「じゃあなんであの二人が・・・」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


中途半端で終わってしまってすみません。

続きは次回となっております。


ては次回もお楽しみに!

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