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黒タイツ

「どうしてよっ!!」


朝の教室内に、一花の叫び声が響いた。


「どうしてって言われても・・・」

「ホント木下君の脳みそってどうなってるの!?」

「いや、それが解明できたら苦労しないんですけどね」


昨日の一件でついに黒タイツの呪いから開放されたと思い、普通の紺のハイソックスで登校してきた一花だったのだが、いざ登校して拓馬に挨拶をしてみると全然一花のことを認識していないのであった。


「昨日は大丈夫だったじゃない!」

「朝っぱらからそんなに大きい声出すなよ」


何事かと思った隆が近くに寄ってきた。名波はまだ登校してきてません。


「委員長なんだからちょっとは落ち着いて話せよ」

「委員長とか関係ないでしょ? 今は市原一花が話しているのよ?」

「だから・・・なんかもういいや。拓馬。頑張れよ」

「ちょっと待って! 見捨てないで助けて!」


途中でめんどくさくなった隆が拓馬を見捨てて離れようとしたところを、拓馬が腕にしがみついて必死に引き止めた。


「朝っぱらからなんなんだよ・・・」

「相沢君も考えてよ」

「知るか。これはお前と拓馬の問題だろうが」

「隆! 俺と隆は親友だろ?」

「じゃあ10分だけ絶交するか」

「器用すぎるだろ!」


そして三人でこの状況を打破するために話し合いを始める。

仕切るのは一花です。


「さて、木下君は黒タイツが無いと私のことがわからないわけですが、どうしたらいいと思いますか?」

「「黒タイツを履いてくる」」

「二人してそんなこと言わなくても・・・」

「そんなことってなんだよ。俺にとっては最善の策だと思うぞ。黒タイツを履いてくれば俺も喜ぶし、市原も俺に覚えてもらえる。まさに一石二鳥じゃないか」

「俺にも迷惑がかからないから一石三鳥だな」

「でも昨日は黒タイツを履かなくても木下君にわかってもらえたのよ?」

「それは拓馬が黒タイツの残り香をだな」

「それって仲良くなったから覚えてもらえたんじゃなかったの?」


思いっきり勘違いしている一花に、拓馬と隆が哀れみの意を込めた視線を送る。


「ちょっとそんなに可哀想な目で見ないでもらえます?」

「もう委員長は黒タイツを履いてくる以外選ぶ道はないんだ。諦めろ」

「さりげなく相沢君って冷たいわよね」


一花がこの言葉を言った瞬間に、周りにいた例の女子たちが一花に殺気を放った。殺気というものは、感じ取れる人しか感じ取れないので一花は気付かなかった。


「俺は平常運転だ。別に委員長にだけ冷たいわけじゃない」


直後に隆が言ったこの言葉で殺気が消えた。ほんとツボがよくわからない女子たちです。


「とにかくまた黒タイツを履いてこないといけないようね」

「そういうことだな」

「はぁ・・・」


結果、一花がまた黒タイツを履いてくるということに落ち着いて、小さく息を吐く一花。

そんな時に、わが校の美少女が登校してきた。


「みんなおはよー。集まって何してるの」

「何って言われても・・・黒タイツ談義?」

「全然ちげーよ。委員長の黒タイツについて話してたん」

「えぇぇええええええええ!!!」


隆の声を遮るように一花が叫んだ。

それもそのはず。本日の名波は黒タイツではなく、一花と同じ紺のハイソックスだったのです。

それでいつもどおりの会話をしている拓馬と隆に驚いて奇声を発したのです。

冬休み中にも何度か黒タイツじゃない名波を見ていた拓馬と隆は、全く違和感なく話していました。


「どうしてよっ!!」

「今日は黒タイツを洗濯しておくの忘れちゃって」

「ごめんなさい。黒木さんに言ったんじゃないわ。木下君に言ったのよ」

「どうしてって言われてもなぁ・・・。名波は友達だし」

「私と木下君は友達じゃないって言うの?」

「えっ? うん」

「じゃあ友達になってください!」

「覚えられるかどうかわからないけど、それでいいならいいぞ」

「毎日黒タイツ履いてきますからー!」

「ならば友達になろう」


一花と友達になった拓馬だが、実のところ一花の黒タイツ姿を見たかっただけというのは内緒である。

こうして一花と拓馬はめでたく友達になりました。


「え? これどういう流れ?」

「来年教えてやる」


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


黒タイツ回でした。


次回もお楽しみに!


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