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追われる拓馬と追う一花

隆と名波がイチャラブしてたときの拓馬サイドです。


「木下君の家ってこのへんなのー?」

「違うよ! 全然違うよ! 微塵も違うよ!」

「ふーん。このへんなのねー」

「えぇー・・・会話がかみ合わないんですけど・・・」

「大丈夫よー。私と木下君って心が通じ合ってるからー」

「おかしいな。俺の知っている木下君はどこにいるんだろう・・・」


拓馬は一花に追われていた。それも全速力で。

隆達と別れた拓馬は、必死になって迫り来る恐怖(一花)から逃げていたのだが、結局捕まってしまった。見た目通りなのだが、拓馬は軽く平均越えするような運動神経の持ち主である。超人的な運動能力を持っている遥と比べると劣って見えてしまうが、それなりに動けますというやつである。

そんな拓馬が懸命に走っていたのに対して、拓馬に質問しながらもそのスピードに追いついてくる一花。普段はそこまで運動神経が良い方ではないのだが、そこは愛の力でカバーできてしまっていました。さすが一花さん。愛の力半端ないです。

そしてついに化け物じみた一花に観念するかのように捕まってしまった拓馬であった。


「なんでこんなところにいるんだよ」

「木下君を追いかけていたらいつの間にかここにいたのよ」

「テレパシーつかえるの?」

「木下君が受信してくれればね」

「それはよかった」


意味の無い冗談を混ぜながら会話をして、精神と呼吸を整える拓馬。

落ち着きながらも膝に手を当ててかがんだ状態で話していると、目の前に立っている一花の黒タイツが視界いっぱいに広がっていて、ちょっとした楽園のようでした。

ニヤけそうになる顔を必死に抑えようとしていると、一花の足がちょっと動き、またちょっと動き、とそのたびに目が離せないので困って・・・


「ホントに黒タイツ好きなのね」

「・・・・・・」


・・・一花は狙ってやってました。さすが一花さん。あざとい。

拓馬が顔を上げると、複雑そうな表情をした一花が拓馬を見下ろしていた。


「はぁ。この調子で私のことも好きになってくれないかしら?」

「それは無理なお願いだ」

「知ってるわよ。これだけお願いしても黒タイツ以外見てくれないんだもん」

「俺は黒タイツ以外興味ないからな」

「そうじゃなくて。きっとこのまま付き合っても黒タイツ脱いだらわからなくなるんじゃないの?」

「まぁ・・・そうだろうな」


いろいろと前例があるので、きちんと肯定する拓馬。

そんな拓馬を見てため息をはく一花。


「そういえば木下君が言ってたあの子はどうなったの?」

「あの子?」

「あれだけ教室で騒いでたのに今はそんな感じじゃないから」

「あー・・・実はな・・・」


話さないとめんどくさいと判断した拓馬は、一花にそのいきさつを話した。

そして聴き終わった一花は一つの疑問を投げかける。


「木下君。もしかして私が黒タイツ脱いでもわかるんじゃないかしら?」


首をかしげて頭にハテナを浮かべる拓馬。


「だから。言い方は変だけど、木下君はその子の黒タイツの残り香を感知したわけでしょ? だったら私が履いていなくてももうわかるんじゃないかしら?」

「じゃあ脱いでみろよ」

「さすがに木下君の頼みでもここでは脱げないわ。どんな羞恥プレイよ。私はMじゃないのよ」

「じゃあ明日履かないで来てくれよ」

「それは・・・ダメよ」

「なんでだよ」

「だって、その、もし気づいてくれなかったら、私が辛いもの・・・」


モジモジして恥ずかしそうに言う一花。一花的には、拓馬に覚えてもらう努力をしていた期間を『魔の期間』と呼んでいる。その魔の期間の再来を自分から招くわけにはいかないのだ。

そんなことを考えている一花をよそに、クネクネして擦りあっている黒タイツを見ていた拓馬であった。

一花の冷めた視線に気がつくと、ハッとして天国へと向かっていた思考をこの世に呼び戻した。

そして使われていないダメな頭で考えた。

『もしかして黒タイツを履いてこなければ、俺が気づかずに市原は寄ってこなくなるのではないか』と考えた。

そのことを実行すべくさりげなく行動に移す拓馬。


「ほ、ほら! もしかしたら気づくかもよ? 試してみろよ!」




なんとか一花を言いくるめることができた次の日。

黒タイツを履かずに登校してきた一花が拓馬にあいさつをする。


「木下君、おはよう。どう?」

「うわぁ・・・おはよう」

「わかるのね? わかるのね!?」


少し興奮気味に喜ぶ一花。拓馬は一花が黒タイツを履いていなくても判別できるようになっていたのである。

そして拓馬は頭を抱えた。


「これで私も黒タイツ無しで木下君にアタックできるわ!」

「こんな自分がイヤだ・・・」

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


どうしても一花に「さん」をつけたくなってしまいます。


次回もお楽しみに!

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