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嫁と姑

名波と双子と共に我が家の前までやってきた。

前回家に招いた時には感じなかったドキドキを隆は感じていた。

名波の様子を横目で伺おうとしたが、運悪く望と目が合ってしまった。


「何、タカ兄?」

「なんでもねぇよ」


望は、本来隆が見ようとしていたであろう方向に名波がいることに気づくと、意味ありげに隆の顔を見た。


「もしかして緊張してるの?」

「・・・別に」

「タカ兄でも緊張するんだねぇ」

「だからしてないって」

「誤魔化さなくたって僕は何も言わないよ。希ちゃんだってタカ兄の部屋に行かないようにするから安心してよ」

「・・・そうか」


なんだか全てを見透かされているような気がしてならなかったが、なにはともあれ付き合い始めて、初の二人きりの時間なのだ。別に拓馬が邪魔だったとかではないですよ?

隆自身は、今まで女友達としてしか思ってなかった名波が彼女になったわけだが、自分でも驚くぐらいの切り替えが出来てしまっていた。というよりは、彼女として意識するようになってから名波のことが気になり始めたと言っても過言ではない。そしてなりゆきはどうであれ、隆が名波を想う気持ちは本物だった。

しかし名波は隆のことを、友達以上恋人未満という微妙な関係で留まっていそう、と隆は考えている。

だけど昨日の今日・・・じゃなくて、今日の今日でこれだけの展開があったのだ。気持ちが動いていなくても仕方がないのもまた事実であった。


「「ただいまー!」」

「お邪魔します」


そんなことを考えているうちに、双子と名波は家の中へと入っていく。

双子の帰宅に出迎えたのが、先に帰ってきていた母親だった。


「はい、おかえりなさい。あら名波ちゃんじゃないの。いらっしゃい」

「お邪魔します」

「お邪魔だなんてそんなことないわよ! いつも隆と仲良くしてくれてありがとうね」

「いえ、私の方こそ隆にはお世話になってます」


ペコペコと頭を下げ合う名波と相沢母。顔を上げた母親がいつもはいるはずのうるさいボーイが居ないのに気がついた。


「あれ? 拓馬は一緒じゃないの?」

「拓馬は・・・」

「拓馬なら女の人に追いかけられてどっか行ったよ!」

「さすが拓馬ね。モテモテじゃないの」


何を勘違いしたのか、納得した様子で母親は大きく頷いていた。

ちなみに母親は『自分が高校生なら拓馬と付き合ってるわ』と告白している。


「名波。もういいだろ。行くぞ」


玄関で立ち話を続けている名波に向かって隆が催促した。


「おや? 隆?」

「なんだよ」

「もしかして名波ちゃんとそーゆー関係なの?」


いきなり母親に言われてドキッとする隆。前に来たときは『黒木』『相沢』と呼んでいたのに、今回は名前で呼び合っている。そこに気づかないほど母親は甘くありません。


「あっ、その・・・」

「付き合ってますっ!」


それに答えたのは名波だった。頬を赤く染めてまっすぐに母親を見つめて力強く言った。

名波が答えたのに驚いて目を丸くしていた母親だったが、すぐに目を細めて微笑んだ。


「こんな頼りない息子ですがどうぞよろしくお願いします」


嬉しそうに頭を下げる母親に慌てて名波も頭を下げる。


「あ、こ、こちらこそよろしくお願いします」


二人のやりとりに呆気にとられていた隆に、名波が声をかける。


「隆?」

「お、おう!」

「隆の部屋行くんでしょ?」

「そうだったな。じゃあ行くか!」


変にテンパっている隆のあとに続いて階段を登っていく名波。

そんな二人を見送った母親が双子に向かって言う。


「希も望も、隆の邪魔しちゃダメよ?」

「私と望くんがここまで連れてきたのにー?」

「そうだったの?」

「タカ兄ってばシャイだから、僕と希ちゃんが連れてこなかったら絶対あのまま解散してたよ」

「それでも邪魔しちゃダメよ?」

「えー。私も名波さんと遊びたかったなぁ」

「カツゲン買っておいたから向こうで飲みなさい」

「やったー! カツゲンッ! カツゲンッ!」

「手、洗いなさいよー」


カツゲンの魔力に引き寄せられるように、カツゲンコールをしながら玄関をあとにする希。

希が居なくなった玄関で、望が母親に宣言する。


「僕が希ちゃんをタカ兄の部屋に行かせないようにするから大丈夫。タカ兄とも約束したし」

「それは助かるわ。望に任せておけば大丈夫ね」


そう言って母親に頭を撫でてもらって嬉しそうな望であった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


最近希が可愛くて仕方ないです。


次回もお楽しみに!

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