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女子高生とドS王

「タカ兄ぃ~」

「希ちゃんがぁ~」

「エヘヘヘヘェ~」

「・・・なんだこれ」


女子高生を追いかけに行った希と望が戻ってきた。ちゃんと標的の女子高生と3人で戻ってきた。

しかし・・・


「希ちゃんが捕まっちゃったよぉ~」

「望く~ん。たすけてぇ~」

「そんなこと言わないでおねぇさんと遊ぼうよぉ~」


隆が見たところ、どう見ても希が捕まえられている。

女子高生が希を後ろから抱きしめる形で捕まえており、希から差し出された手を望が掴んで引きずっている。

まるで蟻地獄(女子高生)に捕まった人間(希)から差し伸べられた手を必死につかんでいる人(望)といった関係に見える。


「えっと・・・」


隆と名波が並んで困り果てていると、女子高生がこちらの視線に気づいたようで、希から手をパッと離した。

開放された希は半ば泣きながら望に抱きつき、グスングスンと泣いている。


「あっ! 別に私は怪しいものじゃ・・・」

「いや、十分怪しいですよ」

「ですよねぇ・・・アハハ」


隆は怒ればいいのかドン引きすればいいのかわからず、非常に微妙な口調で話しかける。


「うちの双子がなにかしましたか?」

「あら! あの双子ちゃんはお兄さんの子どもだったのか! お若いのに!」

「名波。こいつ殴ってもいいか?」

「えっ! ぼ、暴力はダメだよ!」


隆が日本語が通じない人間が大嫌いなのだ。

隆の嫌いなことの第1位にぶっちぎりで君臨している。ちなみに2位は『無視されること』で、3位は『膝カックン』です。


「そうだよ。暴力はダメだぞ」

「なんだこいつ・・・ホントに拓馬が惚れたのはコイツで合ってるのか?」

「あれだけ騒いでて違ったらそれはそれで・・・って拓馬は?」


いつのまにか姿が消えていた拓馬をキョロキョロと探してみると、少し離れた電信柱の影から怪しい人影がはみ出ているのが見えた。どう見ても拓馬です。


「おいっ! 拓馬っ! こっち来いっ!」

「無理っ!」

「無理ってなんだよ! お前がこいつ探してたんじゃねぇか!」

「無理無理っ! だって恥ずかしすぎる!」

「どこぞのシャイボーイか・・・いいからちょっと来い!」

「もう少しだけ精神統一させてくださいっ!」

「ったく・・・」


断固として電信柱から出てこようとしない拓馬を諦めて、女子高生に視線を戻した。そこでふと気づいた。


『あれ? こいつ・・・黒タイツ履いてるじゃん』


そう。拓馬がさんざん言っていた『黒タイツを履いていない女子高生』を拓馬が発見して、希と望が連れてきたのだが、この女子高生は黒タイツを履いているのだ。

首をかしげながら足をジロジロと見ていると、足をもじもじとさせて内股になった。


「あんまり見ないでくれ。いくらさっきまで変態行為まがいのことをしていたとしても、君にそこまで見られる筋合いは無いな」

「あ、スマン。ちょっとタイム」


女子高生に背を向けた隆は、名波にも後ろを向かせて顔を寄せ合って作戦会議を始める。


「おい、見たか?」

「見てたのは隆でしょ?」

「何言ってんだ? 黒タイツだよ。黒タイツ」

「あ、そっちか。拓馬の話だと黒タイツ履いてないって話だったもんね。もしかして人違い?」

「でも拓馬の言ってた特徴とは合ってるし・・・もし人違いだったとしたら、俺たちはとんでもないものを捕まえてしまったみたいだ」

「希ちゃんも泣いてたもんね。よっぽどだよ」


話し合いの結果、本人に確認してみるのが一番となり、二人揃って半回転した。

そこで衝撃の光景が広がっていた。


「タカ兄ぃ~」

「希ちゃ~ん!」

「ウヘヘヘヘ~」


ほんの数分前と同じ光景が広がっていた。


「おい」


怒り爆発寸前の隆がものすごい怒気を含んだ声で話しかけ・・・いや、言葉をぶつけた。まるで言葉のドッジボールだった。


「ひっ! な、何?」

「うちの妹と弟に何してんだよ」

「だってあまりにも可愛いからいけないんだぞ!」

「・・・・・・」

「あ・・・すみませんでした・・・」


隆の殺人的な眼力に大人しくなった女子高生。開放された希は、再び望の胸で泣いた。

ついに穏やかな望も沸点にたっしたらしく、隆に耳打ちをする。


「タカ兄」

「あぁ。わかってる。任せておけ。俺の得意分野だ」





電柱で精神統一をしていた拓馬。


「うわぁ・・・緊張するなぁ・・・よし。いける。いまならいける。頑張れ拓馬。頑張れ木下。いけるぞ拓馬。拓馬拓馬拓馬ああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」


意を決して電柱から飛び出していくと、そこには想いを馳せている女子高生が隆の手によって土下座させられていた。しかも今回は固くなった路面ではなく、道路脇のふわふわと積もった雪の上でからだを半分ぐらい沈めながらの土下座である。もう体罰とかドSとか鬼畜とかそんなレベルじゃないです。


「あ、あれ? これ何してんの?」


やっとの思いで声を出すことができた拓馬は、ドS王と化した隆に話しかける。


「拓馬か。お前が余計なことをしなければこうはならなかったんだ。全部お前の責任だ」

「説明もしてくれないのかよ!」


必死になってドS王の魔の手から開放しようと女子高生に接触を図るも、完全にドS王の魔力にとらわれた女子高生が動くことはなかった。

そんな様子を『ざまぁみろ』という顔で見ている希と望。

そして土下座に若干のトラウマがある名波は顔を両手で隠して耐え忍んでいた。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


隆がたのしそうで何よりです。


次回もお楽しみに!

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