表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
78/187

歩道橋と希望

電車に乗って拓馬と隆の家の最寄り駅へと到着した三人は、コンビニで色々買ってから目的地である歩道橋へと向かった。


「で。どこで見張るんだ?」

「えっ? そこまで考えてないけど・・・」

「もしかして外で待つつもりだったの?」

「あー、言われてみればそうだよな。恋は盲目とはよく言ったもんだ! アハハハ!」

「お前の場合は無計画でバカなだけだろ」

「でも外で待つのって張り込みしてるみたいで楽しそう」

「だろ? 俺もそう考えてたんだよ」

「揃いも揃ってバカばっかり・・・」

「ここまで来たら隆もバカになるんだろ?」

「隠れるなら本格的に隠れてやるからな」

「そうこなくっちゃ!」


こうしてバカ3人組の張り込みがスタートした。

しかし2月ということもあって、冬の寒さもかっとびんぐしているこの時期、外で待つのは自殺行為である。

開始20分で隆と名波が根を上げ始めたので、3人で近くのコンビニへと駆け込んだ。


「ちょっと早くない?」

「仕方ねぇだろ。寒いもんは寒いんだよ」

「俺のために頑張ってくれるんじゃなかったのかよ!」

「言ったけどさ。言ったけども、俺も名波もそいつの顔知らねぇんだよ。どうやって探せと言うのかね」

「そこは愛の力でしょ」

「無理言うな」


そう言って雑誌を手にとってパラパラとめくる。

すると、目の前のガラスがドンドンドンと叩かれた。何事かと思って雑誌から顔を上げると、外に希と望が手を振って立っていた。

外に出た隆が希と望に話しかける。


「おう。今帰りか?」

「うん。タカ兄は?」

「拓馬の人探しに付き合ってるんだ」

「「人探し?」」


仲良く首を傾ける双子。そこに拓馬と名波も合流する。


「拓馬の探してる人って誰ー?」

「もう隆から聞いたのかよ。口軽すぎるだろ」

「どうせバレるんだからいいじゃねぇか」

「ねーだれー?」

「聞いて驚くなよ? 俺の好きな人を探しているのだ!」

「「へー」」


なんとも冷めた視線を拓馬に向ける双子。別にバカにしているわけではなくて、いつものことなのだ。条件反射でこーゆーリアクションをとっているのです。しかし言葉の意味を理解しているわけではないので、遅れて本物のリアクションがやってきます。


「「好きな人ー!?」」

「うん。素晴らしいノリツッコミだ」

「あれもノリツッコミなの?」


腕を組んで頷く隆に名波のささやかなツッコミが決まったー。

驚いた双子の片割れの希が拓馬に聞き返す。


「え、拓馬に好きな人が出来たってこと!?」

「そうだ。驚いただろー」

「だって変態の拓馬が好きになるってことは、相手の人もかなりの変態だってことでしょ?」

「どうしてそういう発想になってしまうのかね?」

「お前の日頃の行いが悪いからだろ」

「拓馬。名波さんはいいの?」


拓馬の顔をジッと見ていた望が言った。

名波は、なんで私?という顔をしていた。


「名波はな、今隆と付き合ってるんだ」

「「えぇーーー!!!」」

「なんか俺のときよりもリアクション大きくないか?」


ほぼ絶叫に近い声を上げて驚く希と望。

そりゃ友達が居ないことで有名な兄である隆が、双子から見ても美少女である名波をゲットしたとなれば、それはもう嬉しさ100倍である。喜ばずにはいられませんね。


「えっ、いつからいつから!?」

「今日からだ」

「どんな感じ?」

「別にいつもと変わらねぇよ」

「名波さんは、どうしてタカ兄と付き合ったの!?」

「そりゃー・・・好きになってしまったからではないですかね?」

「タカ兄は?」

「俺は・・・一緒にいて楽しいからかな」


双子に攻められて、照れまくりな隆と名波。こーゆーのを体験するとお互いのことを思っているんだなと実感する二人なのでした。

そんな激甘なムードを切り裂くような絶叫が響いた。


「あぁぁぁああああああああああああああっ!!!」

「うるせっ! なんだよ!」

「た、隆! あの子! あの子だよ!」

「マジでかっ」


拓馬が必死になって指を指している方向を見ると、歩道橋の階段を一人の女子高生が登っていた。

微妙に距離があるので顔までは見えないが、それなりに整った顔立ちということは雰囲気でわかった。


「お、俺どうしたらいいんだ!」

「はぁ? 声かけるって言ってただろ」

「まさか見つかるとは思ってなかったから、何も考えてないぞ!」

「ウザイ! 離れろ! 希! 望!」


テンパってしまい全く使い物にならない拓馬を無視すると、隆は希と望に素早く指示を出した。


「あの歩道橋登ってる女子高生を捕まえろ!」

「えー、嫌だよー」

「わかった! カツゲン3リットルでどうだ!」

「3リットルだけ?」

「あーもうわかったよ! カツゲンにチョコチップクッキーもつけてやる!!」

「よし任せてくれーい!!」


隆との交渉が終わった希は、靴の裏についている滑り止めのスパイクをむき出しにすると、全速力で駆け出した。そして望も同様に走り出す。

希は、50Mを7秒台で走りきる俊足の持ち主です。そしてそれについていく望も同じくらい早く走れます。双子パワーはすごいです。

ちなみにチョコチップクッキーは希の大好物のおやつです。

そんな二人の背中を見送った隆は、テンパっている拓馬から財布を取り出して、そこから千円札を抜き出すことだけは忘れなかった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


久々の双子の登場です。

可愛いですね。わかります。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ