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隆隊長と二人の隊員

月が変わり2月になったが、冬の勢いは収まることを知らない様子で頑張り続けている。

そんな厳しい北海道の冬の寒さを身を持って感じながら、前から隆、拓馬、名波の順で縦一列で後ろ向きに歩いていた。


「私もう帰りたいー!」

「俺も帰りたいー!」

「うるせぇ! 今帰ってるんだから我慢しやがれっ!」


一日の授業が終わり教室から窓の外を見ると、猛吹雪のせいでほぼ視界ゼロとなっていた。嫌な予感がしたものの、部活も何もしていない3人は仕方なく猛吹雪の道を帰ることにしたのだ。

しかしどんどんと吹雪は勢いを増していき、ついには前に進めないほどの突風が押し寄せたりもした。

そんな中を恒例の後ろ向き歩きで突き進んでいく高校生・・・いや、もはや北極探検隊と化した3人が歩いていた。

最初は横一列で歩いていたのだが、あまりの風の強さに名波が拓馬と隆を壁にするように後ろに下がったのだが、拓馬も耐え切れなくなったらしく隆を盾にするように後退を始めたため、今のような一列縦隊になっている。


「隊長! 俺たちはどこに向かっているんですかっ!」

「駅に決まってるだろっ!」

「隊長! 道はこっちで合ってるんですかっ!」

「合ってるよ! お前ら駅に着いたら覚えてろよっ! 先頭ってすごい労力使うんだからなっ!」


拓馬と名波が交互にしてくる馬鹿げた質問に、拓馬と名波の背中に向かって厳しい口調で返事をする隆。後ろ向きで先頭を歩いているので、道を先導する役目と二人の盾の役目を押し付けられてとてもイライラしていた。そのうえ隆が突風で足を止めても、後ろ向きで歩く拓馬がそれに気づかずに隆にぶつかってくるのにも腹が立っていた。


「私、もうダメかもしれませんっ!」

「よしっ! 諦めてここで野宿でもしてろ!」

「名波隊員! 諦めたらダメだ! 俺たちはここで死ぬわけにはいなかいんだ!」

「拓馬隊員! 激励ありがとうございます! 私もう少し頑張ってみます!」



隆隊長の言うことを全然聞いてくれない上に完全無視する隊員達。そんな隊員達のやりとりにもイライラしていた。

そんな中、隆は先頭ならではの遊びを思いついた。

まず後ろを向きながら除雪で積み上がった雪を片手で一掴み握ります。

次に、叫びます。


「拓馬! 危ない!」


そして思いっきり目の前の拓馬の後頭部に向かって握り締めていた雪を投げつけます。


「痛いっ! 何か飛んできた!」

「電線の雪が落ちてきてるんだ! だから危ないって言っただろ!」

「マジでか! 隆が投げてるのかと思った!」

「お前酷いな! 俺がそんなことするわけないだろ! あっ! まただ!」


そう言ってドンドン雪を投げつける隆。拓馬は避けようと首を傾けたり、一瞬だけ横にズレたりしているが、至近距離で投げている雪を避けられるわけもなく、バスバスと背中に雪が連打する。


「隆! いい加減にしてくれ! もう疲れた!」

「うるせぇ! 俺を盾にして進んでるんだからストレスの発散にぐらい付き合え!」

「それは理不尽ってもんだろ!」


拓馬に気づかれたあとも何回も続けていたのだが、飽きてきた隆はついに遠距離射撃から近距離打撃に移行した。

まず拓馬との距離をぶつかるギリギリのところまで狭める。

次にサッと横に移動する。

そして拓馬の足を自分の足で引っ掛けて転ばせる。


「うおっ!!」


後ろ向きで歩いていた時に、突然障害物によって両足を引っ掛けてしまいバランスを崩してしまった拓馬は、そのまま仰向けに倒れた。

倒れた時、横に立っている隆のすごい楽しそうな悪魔の微笑みがあった。


「隆・・・」

「拓馬。楽しいな!」

「はぁ・・・楽しそうでなによりです」

「ねぇー! 何してるのー?」


その時、最後尾を歩いていた名波が後ろ向きのまま転んでいる拓馬の元へとせまってきた。


「あ、バカ! 止まれ!」

「名波! 後ろ後ろ!」

「またそうやって私のこと騙そうと、たっ、イデッ!」


後ろ向きに歩いていた名波が拓馬につっかかって同じく仰向けに倒れました。拓馬の上に。

思った以上に派手に転んだ名波は勢い良く倒れて、仰向けに倒れている拓馬に向かって背面ボディープレスをかましました。

予想外の玉突きコンボに横に立っていた隆隊長はご満悦でした。


「お前らバカだろ」

「隆のほうがバカだよ!」

「イテテテ。拓馬が居なかったら頭ぶつけてたかも。ありがと」

「名波も何お礼言ってるんだよ。お礼じゃなくて謝罪だろ」

「あっそうか。ごめんごめん。わざとじゃないんだから許して?」

「まぁさっきまで素晴らしい黒タイツを眺めてたからそれで許してやるか」

「そんなこと考えながら歩いてたの?」

「お前酷い変態だな」


こんな状態でも変態の鏡のような行動をする拓馬に名波も隆も呆れていた。

そして、立ち上がった二人に隆が話しかける。


「よし。このままだともう場所代われないから、名波が先頭な」

「はぁ?」


いつの間にか最後尾に回って後ろを向いてスタンバイしている隆。そしていつの間にか先頭に立ってしまっていた名波。

イヤイヤ言っていた名波だが、何も聞いてくれない二人を見て、渋々先頭を後ろ向きで歩いた。


しばらく歩くと、さっきのお返しとばかりに拓馬が隆に向かって雪をぶつけているのを見た名波が、一緒になって雪をぶつけながら歩いたのは言うまでもない。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると大変喜びます。


最近ここに書くことが無いです。

押し麦って美味しいですね。


次回もお楽しみに!

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