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久しぶりの学校

「ひさしぶりー!」


始業式が終わり、帰りのホームルームも終了した教室で、帰る仕度をしていた拓馬と隆の元に、元気いっぱいの名波がやってきた。


「って言っても3日ぶりとかだろ? しかももう帰るだけだし。学校来た直後に言えよ」

「俺なんか昨日ぶりだぞ?」

「学校で会うのは久しぶりなんだからいいじゃん!」

「お前テンション高すぎ」


久しぶりの学校にテンションあげあげの名波。

そんな名波の足を、少しうっとりとした表情で見つめる拓馬。


「やっぱり名波の黒タイツが一番だ」

「なんかそのセリフ、久しぶりに聞いたかも」

「そうか? まぁ冬休みって言っても、ほとんどボードだったから黒タイツに飢えてたのかもしれないな」

「あれ? そういえばお前の姉ちゃんが黒タイツ履いてるとこ見たぞ?」

「バカ! 隆のバカ! 姉ちゃんの黒タイツなんて見たっていいことないじゃん! 目に毒だよ!」

「そこまで言わなくても・・・ん? そういえばまだ私、拓馬のお姉さんに会ってない」

「別に会っても何もないぞ」

「私だけ見たことないなんてズルイ!」

「いや、意味わかんねぇし」

「なんか写真とか無いの?」

「持ち歩いてるわけないだろ。何が悲しくて姉ちゃんの写真なんか・・・あっ。あるわ」

「あるのかよ」

「見せて見せて!」

「昨日、姉ちゃんの居酒屋行ったときに、俊哉とふざけて撮りまくった写真がケータイに・・・ほれ」


やったー、と拓馬がカバンから出したケータイを名波が受け取る。


「どれどれ・・・うわー。すごい可愛いじゃん!」

「見た目だけだぞ。中身はぐーたら女だからな」


名波の褒め言葉も、軽くゴミ箱に投げ入れるように否定する拓馬。

拓馬も芳恵が嫌いというわけではないのだが、芳恵の本性を知らない人間に褒められても、即座に否定したくなるのです。恥ずかしさが3割、現実を突きつけたい意味合いが7割といった具合です。


「私もお姉ちゃん欲しかったなぁ」

「姉ちゃんなんて居たっていいことないぞ? 買出しに行かされるわ、洗濯物は脱ぎっぱなしだわで、俺に対してひどい扱いだよ」

「まるでお世話係という名のパシリだな」

「えー。そこがいいんじゃん! 拓馬はわかってないなぁ」

「お前だって姉なんだから、うちの姉ちゃんみたいにしてみろよ。あの双子だって簡単に離れていくぞ?」

「うちはうち。よそはよそ。私は桜と遥に尊敬されるようなお姉ちゃんで居たいのっ」

「遠まわしに『尊敬できません』って言ってるけどな。そんなに尊敬されたいなら勉強しろよ」

「それはそれよ」

「使い勝手のいい言葉だこと」


隆のツッコミを華麗にかわした名波。


「そんなんだったらうちの姉ちゃんも楽なんだけどなぁ・・・」

「拓馬がお姉さんのことぞんざいに扱ってるからじゃない? うちは桜も遥も私のこと大好きだもん」

「普通自分で言うか?」

「だって昨日も三人でお風呂入ったし、冬休み最後だからって、三人で布団並べて川の字で寝たりしたもん」

「そりゃ相当仲良しだな」

「拓馬もやってみたらいいじゃん」

「無理無理。いくつだと思ってるんだよ。下手したら犯罪だぞ?」

「お前の姉ちゃんならOKしてくれそうだけどな」

「もしも姉ちゃんがOKだとしても、俺がNOだ」


下手したら近親相姦ですね。


「確かに私もお父さんに一緒にお風呂入ろうとか言われたら、ちょっと軽蔑するかもしれない」

「お父さん、かわいそうだな」

「あ、俺も今同じこと思った」

「なんで!? お父さんだよ!? お母さんならまだしも、お父さんと一緒に入ったらそれこそ犯罪でしょ!」

「お父さんだって、こんなに可愛く育った娘なんだから、さぞ可愛がってることだろうよ」

「そうそう」


男として、将来娘に『一緒にお風呂入ろう』と言って断られた時を想像しながら話している拓馬と隆。

子どもはいつまで経っても子どもなんです。いくつになっても親から見ればまだまだ小さい子どもなんです。

そんな風に思っていた子どもから、傷つけられたらたまったもんじゃありません。

皆さんも気を付けましょう。

ちなみに『お父さんの洗濯物と分けて洗ってね』は禁句です。お父さんは家を出ていってしまうかもしれません。


「でも俺は父さん居ないからわかんないんだけど、父さんと風呂って入るもんなの?」

「俺はあんまり入らないかな。父さんも仕事してるし、時間が合わない事の方が多いし。たまに入ったりするけど、話すことが無いのか知らないけど会話が続かねぇんだよ。で、話が尽きたと思ったらすぐに恋愛について話してくるんだ。まだそんな歳じゃねぇっての」

「「いや、真っ盛りでしょ」」


思わず同じ発言をする拓馬と名波。


「は? いや、まだ早いだろ。今はまだ遊んでる段階だろ?」

「あー・・・隆くんはまだお子ちゃまだから恋愛とかわかんないのかなぁ?」

「隆くんはまだ恋とか経験してないのかなぁ? ってことは初恋なんて無縁だったかなぁ?」

「拓馬まで・・・じゃあお前らは初恋とかしたことあるのかよ」

「それは・・・ねぇ?」

「そうそう・・・アレだよ。ほら、あの幼稚園とか!」


意外にピュアボーイの隆からの攻撃にしどろもどろになりながら返答する拓馬と名波。

そんな二人を見て、隆はため息をついた。


「とにかく。俺はまだ恋愛よりも遊んでいたいの。誰か一人のために尽くすなんて今は考えられん。・・・そろそろ帰ろうぜ。腹減ってきた」

「お、おう。そうだな。俺も腹減ってきた」

「えー。せっかくの放課後ライフだったのにー」


ブーブー言っている名波を無視して拓馬と隆が歩き出すと、名波は慌ててリュックを背負って追いかけた。

今年も仲良しな三人組であった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


また学校生活が始まります。

ごゆるりとお楽しみください。


次回もお楽しみに!

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