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ひまつぶし

スノーボードばかりしていた冬休みも今日が最終日となった。

今年は去年と違って拓馬だけじゃなくて名波という初心者ボーダーもいたので、また少し違ったボードライフが楽しめた。

そんな短いようで長いようでやっぱり短くてまだまだ楽しみたかった隆の冬休みも今日で終わりを迎える。

明日からはまた学校が始まる。久しぶりの学校と言っても、1ヶ月弱の休みなのでなんとなく懐かしさを感じていた。

忘れ物がないかを確認すると、なんとなくテレビをつける。

家の中は、隆の他にも希と望がいるのだが、二人で仲良く部屋にこもって冬休みの宿題をしている。直前までやっておかない二人が悪いのだ。しかしあの双子は、長期休業の終了ギリギリにやる宿題すらもデートのようにイチャイチャしながらするので、隆はいつものことだと割り切って気にしないようにしていた。


「・・・にしても暇だなぁ」


冬休みといってもただの平日なので、昼のテレビも何も面白いものはやっていない。これが本州ならば、冬休みの特番とか組まれていてもおかしくはないのだが、テレビ局は関東シフトを敷いているので、北海道民としてみれば冬休み後半のテレビがつまらないのも当然である。

あまりにも暇だったので拓馬にメールをしてみたが、今日は母親と俊哉と一緒に祖父母のところに行って、帰りは芳恵の居酒屋に食べに行くから遊べないとのことだった。


「うわー・・・暇だー・・・」


何よりも暇が嫌いな隆。こんなに暇ならば、馬車馬のようにこき使われている方がまだマシと言えた。でも隆の場合、こき使う側を徹底的に痛めつけることでしょう。

その時、ケータイがブルブルと震え出した。誰からかと思って確認してみると、名波ちゃんからでした。


『件名:ひまー 本文:宿題が終わりません』

『件名:なし  本文:頑張ってください』


速攻で返信すると、今度は電話がかかってきた。


「もしもし」

『ちょっとあの返信はひどいんじゃない?』

「最後の最後まで宿題残しとくお前が悪いんだろ」

『そんなこと言わないで手伝ってよー』

「お前ん家遠いし、乗り換えあるからめんどくさい」

『えー! じゃあどっかで待ち合わせしようよ。それならめんどくさくないでしょ?』

「うーん・・・まぁ暇だし付き合ってやるか」

『やった! じゃあ隆も宿題持ってきてね』

「持っていってやってもいいけど、写させないからな」

『・・・じゃあ持ってこなくていいです』

「写す気だったのかよ」




1時間後。

待ち合わせ場所である、名波の家の最寄駅の近くにあるロッテリアに到着した。

どうせ遅れてくるだろうと思い、約束の時間よりも電車一本分遅らせた。


「隆ー。遅いぞー」


トートバックを肩からぶら下げた名波が待ち合わせ場所で手を振っていた。


「いつもいつもお前が遅いから遅れてきたんだよ」

「それはすみません。でも待ってるのも悪くないでしょ?」

「そんなわけあるか。寒いっつーの」

「確かに寒いねー。じゃ、入ろっか」


先に入っていく名波について行く隆。

昼をちょっと過ぎたぐらいなので、二人でそれぞれセットを頼み、奥のボックス席に座る。

名波と隆の他にも人はいるが、2~3組しかいないのであまり気にならない。


「さて宿題やっちゃえよ」

「えぇ? いきなりぃ? ちょっとはゆっくりしようよぉ」

「お前の勉強に付き合ってやってるんだから早く終わらせろよ」


間延びした声で隆に文句を言う名波を軽く蹴散らすと、自分の昼ご飯であるリブサンドのセットを食べ始めた。

仕方なくといった感じで、バッグから宿題セットを取り出して勉強を進める名波。

そんな名波を見ながら、ポテトをつまみにリブサンドを食べる隆。



「まったく・・・お前も宿題ぐらい一人でやれよな」


しばらく黙々と宿題をこなしていた名波と、それを黙ってセットを食べながら見ていた隆。

そんな隆に急に話しかけられた名波は驚いて顔を上げる。


「もしかして怒ってる?」

「なんで?」

「だってさっきからなかなかしゃべらないし・・・」

「あぁ・・・特に話すこと無いなぁって思ってさ。いつもなら拓馬もいるから、名波と話してるのを聴いてるだけでも間はもつけど、二人っきりってあんまりないじゃん? だから何話していいのやら・・・ってなんで笑ってるんだよ」


隆が話してると、目の前の名波がクスクスと笑っていた。


「いや、隆でもそーゆーこと考えるんだなーって思って」

「どーゆー意味だよ」

「会話の間とか全然気にしないタイプかと思ってた」

「何言ってんだ。こう見えて繊細なんだぞ?」

「確かに繊細だよね。酷いこと言って、家ですごい後悔してそう」

「さすがにそれはないけどな」

「そこまで来たら最後まで肯定し続けてよ」

「違うところはちゃんと否定するさ。どうでもいいけど口も動かしながら手と頭も動かせよ」

「わかりましたよ。隆先生」


最初よりはなごやかなムードになった席で、名波の冬休みの宿題を解いていくのであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


久しぶりの名波と隆の話でした。


次回もお楽しみに!

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