スノーボード
俊哉が去ったあとの居間はとても穏やかな空間と化していた。
隆と名波がソファーに座り、拓馬が絨毯の上に座っている。
「よし。何するか」
相変わらず予定もへったくれもない三人ですね。
「私は特に何がしたかったわけでもないんだけどねー」
「だから暇なんだけどな」
「じゃあ拓馬達って二人のとき何話してるの?」
「何話してるんだろうな?」
「その時その時じゃね?」
「えーつまんなーい」
「つまんなーいって言われてもなぁ・・・」
「じゃあ私が来る前って何話してたの?」
「さっき? 年明け前にボード行こうぜって話してたな」
「あぁ。で、明日行くことになった」
「えーっ! なんで誘ってくれないのさ!」
思わず隣に座っていた隆のほうに身を乗り出す名波。
その名波の迫力に押されたのか、肘掛に背中をあずけてからだをそらす隆。
「だ、だってお前、ボード持ってないじゃん」
「買ったし! 誘ってくれるって言うから、お小遣いで買ったし!」
「「マジで!?」」
実はすでにスノーボード一式を揃えていた名波。
「だっていつ連れていってくれるかわかんなかったから、いつでも行けるようにクリスマスにお父さんにボードだけ買ってもらって、手袋とかゴーグルとかウェアとか自分で買ったもん」
「ホントに行くのか・・・」
「冗談だと思ってた」
「ガビーン!」
相当ショックだったのか、変な声を出してうなだれた。
「そんなに私って信頼されてないの?」
「いや、そーゆーわけじゃないけどさ。まさかホントに行くとは思ってなかったからさ」
「私だって隆と拓馬と一緒に遊びたいもん」
拓馬と隆は顔を見合わせた。
名波がそんなに自分たちと遊びたがっているとは露知らず、二人だけで行く予定を立てていたことを少し反省した。
「悪かったよ。じゃあ明日なんだけど、一緒にボード行かないか?」
「教えてくれる?」
「そこまで準備されてちゃ教えないわけにはいかないよな。隆」
「あぁ。拓馬がみっちりガッツリ教えてくれるぞ」
「え? 隆は教えないの?」
「だって俺より拓馬のほうが上手いじゃん」
「いやいや、ここは二人で教えようよ」
「私、二人に手取り足取り教わりたいなー」
どっちが教えるかで言い争っている二人に向かって、二人に教えてもらいたいという希望を突きつけた。
二人は顔を見合わせて肩をすくめる。
「俺たちの教え方は厳しいぞ?」
「だいじょぶ。勉強会で慣れてるから」
「もう感覚で教えるからな?」
「だいじょぶ。頑張って感じ取る」
「朝早いからな?」
「だいじょぶ。早く寝る」
次の日にスノーボードに行く予定を立てた三人。
その後、名波にボードの基本的なことを教えて、明日の滑り収め&名波のボードデビューに備えて、早めに解散した。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
感想とか書いていただけるとトランザムできるかもしれません。
前回は長くて、今回は短くてスミマセン。
次回からスノーボード編に移ります。
なんかコメディ路線から外れてきたような・・・
まぁ僕のは「コメディ(笑)」なので問題ないですね。
では次回もお楽しみに!