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望の歩む道

今日は絶好のお出かけ日和。

そんな中、いつものように登校している拓馬と隆。


「あーあ。どう考えても今日はお出かけって感じだよなー。学校めんどくさー」

「別にいいじゃん。黒木の黒タイツ見に学校行ってるようなもんだろ?」

「なんで学校に行く理由がそこなんだよ。お前と一緒にするな」

「まだ目的があったほうが楽しめるじゃん。そうやって言ってたの隆じゃん」

「うーん・・・」


最近の隆は不調だった。テストが終わってからというもの、変に気が抜けてしまったせいかイタズラを思いついても行動に移すまでには至らないことが多かった。

この間の放課後も、黒板一面をピンクのチョークで塗りつぶそうかと考えていたが、めんどくさくてやめてしまった。

やる気が起きないのだ。


「せっかくの学校なのに元気無いなー。どうした? 悩み事か? お兄さんに言ってご覧? 昨日のお返しに聞いてあげるよ?」

「別に悩みなんてねーよ。ただやる気が起きないだけだ」

「うーむ。それは重症ですなー」


腕を組んで考え込む拓馬。考えているように見えるが、頭の中では何も考えていない。年中有休お疲れ様です。

今日は一段と暖かかった。冬なのにも関わらず、今は気温5度を超えていた。本州では寒いが、北海道では暖いほうなんです。


「はぁ・・・」

「むむっ? ため息ですな。これはますます難病の疑いが・・・」

「うるせーなー。少し落ち着けよ」

「俺はいつだって落ち着いてるさ。なんかイライラしてない?」

「まぁ・・・少しイライラしてるのかもな」

「どうしたのさ。らしくない」

「実はな、今日の朝・・・」




「はぁ? 胸の大きさ?」


相沢家の長男と次男が隆の部屋で顔を寄せて話していた。


「うん。名波さんがいるからなんとかなるでしょ?」

「いや、なんとかなるってお前、何考えてんだよ」

「僕はいつだって希ちゃんのことを」

「あーわかったわかった。で、またなんで?」

「最近、希ちゃんの胸が膨らんできたんだ。で、あの発達レベルはどのくらい進んでるのかなぁって気になってさ。タカ兄なら、名波さんから胸の大きさくらい聞けるでしょ?」

「そこでなんで黒木が出てくるんだよっ。自分で聞けよ」

「え? だって彼女なんでしょ? そこはさりげなく聞いてみてよ」

「だから彼女じゃないって言ってるだろ」


望は、名波と隆が付き合ってるもんだと思っています。5年生の目線から見れば二人は付き合ってるようにしか見えないんです。

隆が否定しても否定してもまったく聞く耳を持ってくれません。


「そこまで言うなら希に直接聞いたらいいだろ」

「・・・ほら」

「うわぁ・・・」


望が顔を左に向けると、右の頬に季節外れの紅葉の葉が広がっていた。

希に直接聞いた時、『望くんがそんなこと聞くなんて・・・サイテー!』と言ってひっぱたかれたのだ。確かにデリカシーのデの字もない行動ですが、希の全てを知りたい望は気にせずにはいられないのです。

そこで望の中で白羽の矢がたったのが、お姉さん的存在の名波だった。

希の胸を名波に見てもらうことで、どのくらいの成長具合かを確認しようと考えたのだ。

そして今に至る。


「お前拓馬といい勝負出来そうだぞ」

「拓馬はただの変態じゃん。僕は希ちゃんのことを心配して・・・」

「それが変態なんだよ」

「もういいよ! とにかく! 名波さんに話しておいてねっ! 行ってきます!」

「はぁ!? ちょっと待て望!!」




「・・・ってことがあってさ」

「望も変態ロードを歩み出したな。そんなの無視すりゃいいじゃん」

「今日の放課後に駅で待ってるってメールきてたんだよ」

「もう警察に通報しておいたほうがいいんじゃないか?」

「実の兄弟にそんなことできるかよ。はぁ・・・どうすりゃいいんだ・・・」


さすがの変態上級者の拓馬でも、この問題には即答できなかった。

何もいい案が出ないまま、二人でうーんと唸ったまま学校に着いてしまった。

そして教室の自分たちの席に座っても考え込んでいた。


「おはよー。二人で考え込んじゃってどうしたの?」


今回の主役の登場である。


「あぁ。おはよう」

「あ、相沢が挨拶した!? 熱でもあるの?」

「・・・どういう意味だよ」

「だって相沢ってば、いっつも『あぁ。お前か』とか『ん』とかでまともに挨拶してくれないじゃん」

「そうだっけか?」

「そうだよ! 毎日そう言われてる私が言うんだから間違いない!」

「そうか。悪かったな」

「今度は謝った!? この天気が吹雪になるなんて信じられないよー!!」

「・・・うぜぇ」


名波のテンションに反比例するかのように、隆のテンションはだだ下がりだった。だんだんイライラしてきた隆は、今日の餌食に名波を選ぶことを決意した。


「黒木」

「なに?」

「今日の放課後空いてるか?」

「放課後? 空いてるけど、何かあるの?」

「ちょっと会いたいって言ってる奴がいるんだ」


そのセリフを隣の席で聞いていた拓馬は、隆の機嫌が悪いときには余計なことを言わないようにしようと心に誓ったのであった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるとトランザムできるかもしれません。


ついに望の変態部分をだせました。


次回もお楽しみに!

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