表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
37/187

バレないように

「行ってこいよ。教室で待ってるからさ」


教室で拓馬を見送った隆は、さっそく尾行の準備を始めた。カバンを置いて手足をブラブラして軽く準備運動する。


「何してるの?」


そんな不思議な行動をする隆に名波が声をかけた。


「何って・・・告白現場を見に行くんだよ。お前も来るか?」


なんと性格の悪い奴!


「なんてことをっ! ってゆーかサラっとっ正確悪い発言しないでよ!」

「なんでだよ。スリルがあって楽しいぞ?」

「そーゆー問題じゃないのっ! 女の子が告白するってことは、すごい勇気がいるんだからねっ!」

「わかったから、そんなに怒んなよ。じゃあお前は来なくていいから大人しく帰れよ」

「そんな言い方しなくてもいいじゃん。で、誰が告白されてるの?」

「なんだかんだでお前も興味津々じゃねぇか。拓馬だよ。なんか知らん女に連れて行かれた」

「木下ってモテるの!?」


名波の魅力に全く興味が無い拓馬と隆もよっぽどですが、二人がモテているということに気付かなかった名波もアレですね。鈍感ですね。

果たして名波に春は訪れるのでしょうか?


「多分俺よりはモテるぞ。今年も何回か告白されてるみたいだからな」

「へー。なんか意外かもー」

「というわけで、じゃあな。俺そろそろ行かないといけないから」

「ちょっと待って!」

「なんなんだよ・・・」

「私もついて行ってもいい?」

「おい。さっきと言ってること違くね?」

「木下に告白するようなのがどんな子なのか気になるだけよ。別に邪魔するわけじゃないもん」

「よくわかんねーやつ・・・じゃあ行くぞ」


ノリノリの隆の後ろに少し緊張した名波がついてくる。

名波のせいで拓馬の姿はすっかり見えなくなってしまったが、告白スポットとして有名な場所を適当に見ていく。

階段裏の掃除用具前。鍵が壊れてる理科室。音楽室のドアの影。

色々見たが姿を見つけることができない。


「お前が話しかけるから見失っちまったじゃねぇか」

「ごめんなさい・・・」

「こんだけ探して見つからないってことは、もうあそこしかないな」


そういって拓馬と一花が戦いを繰り広げているあの階段へと足を向ける二人。

階段を上がっていると、声が聞こえてきた。


「ん? 拓馬の声だな。静かにしてろよ?」

「うん。こんなに楽しそうな相沢初めて見たよ」


ものすごい笑顔で名波に注意する隆。そんな隆を相変わらず緊張した面持ちで見る名波。

二人が階段の影から例の水飲み場を見ると、ちょうど一花が拓馬のマウントを取った瞬間だった。


「ちょっとアレッむぐっ!」

「バカ! 大きな声出すな!」


思わず叫びそうになった名波の口を慌てて隆が抑える。そのまま影から顔を出しつつ、名波を後ろから抱きかかえるように抑える。

拓馬と一花を見ると、誰がどう見ても『一花に襲われている拓馬』という図になっていた。

大興奮の隆はニヤける顔を引き締めることを忘れてニヤニヤとしている。

その隆に抱きかかえられている名波は、猛烈にドキドキしていた。告白現場を見せられて若干感情移入しているところで、この体勢である。兄妹でドラマのキスシーンを見ていて、何故か恥ずかしくなってしまうのと同じ原理です。

しかし、そんな名波の気持ちなど露知らず、隆は告白現場鑑賞に集中していた。

すると一花が慌てて拓馬の上からどいて、二人とも立ち上がってバフバフと身なりを整えていた。


「くそっ。もう少しだったのに・・・」

「あ、あのー、相沢?」

「なんだよ。いいところなんだから静かにしてろよ」

「あ、はい」


抱きかかえられたままの姿勢で大人しくする名波。しかし心臓はバクバクしていた。恥ずかしいのか照れなのかもうわからなくなっていた。とりあえずは心臓の音が隆にバレないようにと願うだけだった。


「やべっ! こっち来るぞ。階段降りろ!」


拘束を解いて小声で言う隆に従って階段を音を立てないように素早くかけ降りた。


「いやー、すごい現場を見たなー」

「そ、そうだねー」

「ん? 黒木にはまだ刺激が強かったか? よし。走るぞ」

「え、ちょっと待って!」


ほぼ全速力で走って教室まで戻っていく隆に置いて行かれないように、全力でついていく名波。

途中、廊下のカーブで滑って派手に転んだ名波が、スカートの中身を隆に見られたのは内緒である。

教室に滑り込むと、誰もいない教室の自分の席へと座る。名波は、隆の前の席に座った。

その直後に拓馬が戻ってきた。


「お待たせー」

「お、おかえり」

「ハァハァ。おう、遅かったな」


このミッションは隆的には、拓馬に気づかれたらアウトであるので、今回は間一髪である。

思わず疲れていることを悟られたくなくて、視線をキョロキョロとしていた。


「まさかお前ら・・・教室でいかがわしい行為をしていたのではあるまいな?」

「「それはない」」


隆は完全に的はずれな拓馬にハッキリと告げた。

名波は拓馬と隆に変なことを考えていたことをバレないようにハッキリと言った。

その後、お腹が減った三人は近くのファミレスに行きましたとさ。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると踊り狂います。


ちなみに名波は恋に落ちたわけではないのであしからず。


次回もお楽しみに!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ