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告白でした。

突然の告白に驚く拓馬。というよりも見ず知らずの女子生徒から告白されたと拓馬は思っているが、相手はもちろん拓馬のことを知っている。


「え、あー・・・ってゆーかどちらさまですか?」

「えっ? いや、その、同じクラスの・・・」

「同じクラス!?」


まさかの同じクラスに驚愕の拓馬。無理もありません。だって黒タイツろ履いていないんですもの。履いていない方が悪い。

しかし拓馬は、根が優しい上に、この前の名波の一件があったので、自分の性癖の異常さを痛感していた。


「もしかして、私のことわからないの?」

「あー・・・うん。ごめんなさい」

「なら、私のこともっと知ってよ! そのために付き合ってください!」


すごい剣幕で拓馬に詰め寄ってくる女子生徒。その凄みに思わず後ずさりする拓馬。


「わかった! わかったから!」

「じゃあ私と付き合ってくれるのっ?」

「いや、そこはわかってません!」

「どっちなのっ? 付き合ってくれるの? 付き合ってくれないの?」


さらに詰め寄られて、押し倒されたように後ろに倒れてしまう拓馬。

拓馬の目の前には、腹にまたがってハァハァと息を荒らげている女子生徒がいる。

その女子生徒に拓馬は恐怖を覚えた。怖かった。テストで疲れきった頭をフル回転させようとするが、隆とは違い元から使っていない脳細胞を使うのは至難の技だった。よって何もいい案が浮かばなかった。


「付き合うとか付き合わないとかじゃなくて、それ以前に君のことどころか名前すら知らないし・・・」

市原一花(いちはらいちか)。17才。ピチピチの高校二年生。好きなものはショートケーキ。嫌いなものはゴーヤとピーマン。趣味は可愛いもの集め。特技はさくらんぼのへたを口の中で結ぶこと。あとは・・・」

「ちょっと待ってくれ! もういい。それ以上聞いても覚えられないから。とりあえず落ち着いてくれ」


依然ハァハァしていた一花が軽く深呼吸をして呼吸を整える。

そして思い出したように、マウントをとっていた拓馬から恥ずかしそうにからだをどけると、立ち上がって身なりを整えた。

一花が居なくなって、やっと自由がきくようになったからだを立ち上がらせると、服のホコリをバシバシと叩いて落とす。


「君が俺のことを好きなのはわかった。でもなんで俺なんだ? ってゆーかどこが好きなの?」

「どこがって言われると難しいけど、時々凄い真剣な表情で集中してる時があって、その時の顔が凄い好きなの!」

「つまり、俺の顔が好きなの?」

「そ、そういうことです」


またモジモジとからだを動かす一花。そんな一花を見て冷静になった拓馬は思った。

『所詮、顔か。』

拓馬は顔だけ見ればそれなりにイケメンなので、告白されることもしばしばあった。

しかしそのほとんどが外見だけを見たのであって、内面を見た上での告白というのは今までなかった。

もちろん内面はただの変態なので、それを踏まえた上での告白はまずないと言えた。


「で、どう? 付き合ってくれる?」

「・・・ごめんなさい」

「・・・理由って聞かせてもらってもいい?」


急にしゅんとした一花が今にも泣き出しそうな声で聞いた。


「多分知ってるかもしれないけど、何回か他の人にも告白されてるんだ。で、みんな顔が好きだからって言ってた」

「でも私はそれだけじゃないよ!」

「じゃあ俺の中身で好きな所ってどこ?」

「それは・・・」

「だって俺と君は全然話したこともないし、俺も君に内面を出すようなことは無かったもん。それで優しいところが好きーとか面白いところーって言われても無理があるよ」

「・・・・・・」

「という理由でした。じゃあ俺はこれで。隆も待ってるし」


うつむいたままの一花を置き去りにして、一人で隆の待っている教室へと戻った。


「お待たせー」

「お、おかえり」

「ハァハァ。おう。遅かったな」


拓馬が教室に戻ると隆だけではなく、名波の姿もあった。何故か二人ともハァハァと息を切らして赤い顔をしている。

拓馬はハッとした。

隆と名波二人だけの教室。息を切らして火照った顔。恥ずかしそうにして目を泳がせている二人。

まさかこの二人、誰もいない教室でいかがわしい行為を・・・と考えていたが、この二人に限ってそんなことはありえないと思った拓馬は、何があったのか聞いた。


「いや、別に何もないぞ?」

「そうそう。さっきちょっと面白いことがあって、抱腹絶倒ーって感じだったのよ!」

「そうだな。確かにちょっと面白かったな」

「相沢のせいで転びそうになったんだからね」

「お前の見たくもないスカートの・・・」

「キャーー! それは恥ずかしいから言わないで!」


拓馬はさっき考えていたことを思い出した。そしていらぬ妄想をした。


「まさかお前ら・・・教室でいかがわしい行為をしていたのではあるまいな?」

「「それはない」」

「あれ? 違うの?」

「まぁいいじゃねぇか。とりあえず帰ろうぜ」

「そうそう。私久しぶりに運動したからお腹減っちゃった」

「じゃあなんか食べて帰ろう!」

「「木下さん。ゴチになりますー」」

「奢らねぇよ!!」


こうして学校をあとにした仲良し三人組でした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


次は裏話です。


次回もお楽しみに!

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