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お宅訪問前日

家に帰ってきた隆。

名波のストーカー騒動が解決したと思ったら、次はまさかのお宅訪問が決まってしまったことに頭を悩ませていた。

玄関で靴を脱いだ時に、相沢家の双子が帰宅済みであることは確認済みだ。

夕食の時間なので隆は二階の自分の部屋にカバンを置いて、リビングへと降りる。

リビングのドアを開けると、ソファーに肩を寄せ合いながら座ってテレビを見ている希と望。そこから見えるキッチンで夕食の準備をしている母親。どちらに行くかと少し迷った結果、母親の手伝いを選んだ隆。


「手伝うよ」

「あら珍しい。なんかあるの?」

「毎回下心があるから手伝ってるわけじゃないよ。・・・と言いたいところだけど、明日友達が来るんだけど大丈夫?」


こんなことをちゃんと確認している隆は意外と律儀な男ですね。


「お友達? 拓馬じゃないの?」


隆の家族は拓馬のことを呼び捨てで呼んでいる。年下の希と望ですら呼び捨てで呼んでいる。それに関して拓馬は『フレンドリーな家族だ』程度にしか思っていないので問題ありません。


「まぁ拓馬もいるけど・・・」

「まぁ! ついに隆にも拓馬以外のお友達が出来たのねっ? お母さん嬉しい!」

「なになにっ? タカ兄の友達来るの? だれだれ? 拓馬?」


テレビを見ていた希がソファーの背もたれから身を乗り出して聞いてくる。

キッチンにいる二人からは見えていない望は、希の下敷きなっているので動けない。


「拓馬以外の人が来るんだってさ! どうしたらいい? 赤飯とか炊く?」

「どんだけだよ。普通にしててくれたらいいよ。どうせ明日も仕事だろ?」

「まぁそうだけど・・・。隆の友達が来るなら早退も考えてるわ」

「私熱だそうか!?」


とても元気に希が病気宣言をする。相沢家では、母親が早退、又は遅刻をするときには『子どもが病気になってしまいまして』という言い訳を使っている。その標的になっているのが、元気いっぱいの希である。

実際に希が熱を出したりでもしたら、望がつきっきりで看病している。隆はその状況を見るたびに、ちゃんと働け母親よ、と思っている。


「いや、母さんはまだ有給残ってるからそれ使って休むわ」

「だからいつも通りでいいってば」

「いいなぁ。私も有給ほしーなー」

「有給は社会人の特権よ。子どもにはまだ早いわ」


隆の話を無視して女二人の会話はサクサクと進んでいく。隆はこれ以上の会話は困難と考えてリビングに居るはずの望の元へと向かった。

しかし望が見当たらない。キョロキョロとしているとソファーのほうから望の声がした。


「タカ兄。僕のこと探してたりする?」

「ん? ってなんでそんなところに?」


希の下敷きになっているのに希を退けようともしない望に聞いた。

ここでやっと希の下から出てきた望。

希と違って、かなりマイペースな望は少しゆったりとしたペースで話すのだが、隆は望の考えていることがわからないでいた。

前に聞いたことがあったが、『僕はたいてい希ちゃんのこと考えてるよ』とノロケ発言を口にしたために、真相は闇の中だった。というよりも隆がその言葉を信じたくなかったから、闇の中に葬ったともいえる。


「んしょ・・・っと。で、友達来るんだって?」

「あぁ。って聞いてたのか。実は望達に会いたいって言ってるんだけど、明日はなんか用事とかあったりするか?」

「明日かぁ。明日は委員会があるから遅くなるかもしれないかな」

「希もか?」

「希ちゃんは僕が終わるまで待ってるって言ってたから、多分何も無いと思うよ」

「委員会って何時ぐらいに終わるかわかるか?」

「さぁそこまでは・・・あ。でも先生が、冬休み前にクリスマス会するとか言ってたからもしかしたらその話し合いがあるかもしれないかも」


望は文化委員会に入ってます。希は帰宅部のエースですが、望を待ってることが多いので最近は補欠で我慢してるとかなんとか。


「じゃあ何時になるかわからんか」

「ごめんね。せっかく友達が来るのに」

「まぁ仕方ないさ。拓馬達にも言っとくよ」

「そもそもなんで放課後なのさ。休みの日にすればもっとゆっくり来れるのに」

「言われてみればそうだな」

「なんかタカ兄らしくないね。なんかあった?」

「いや、まぁちょっと押しの強い女子にやられて押されるがままに決まっちゃってさ」

「女の子来るのっ?」


完全に『女子』の単語だけを聞き取った希がソファーの上で勢い良く振り返った。また下敷きにされるのを避けるために望は希が振り返る直前に椅子から立ち上がった。変なところで双子のシンクロ技術を垣間見た瞬間だった。

その後、希と母親の二人を説得して、明日ではなく今度の土曜日に来てもらうことに決めたということを伝えた。

夕食を食べている最中も友達とは誰なのか攻撃が止むことはなかった。結局当日までのお楽しみということで落ち着き、隆は部屋に戻った。

そのことを拓馬と名波の二人にメールで伝えて、今日の授業で出た宿題をサクサクと終わらせて就寝した。


その日の隆が見た夢は、黒木家の双子と相沢家の希が隆の妹達になっていて、その三人が隆のことを質問攻めにしてくるという夢だったとかなんとか。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると大変感謝感激します。


双子の愛が素晴らしい。


次回もお楽しみに!

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