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一難去ってまた一難

近くのファミレスに移動した5人は席に案内されるなり、ドリンクバーを5個頼んでグラスに飲み物を入れて落ち着いた。

通路側から拓馬、隆の順。向かいに通路側から名波、桜、遥の順でそれぞれ座っている。


「いやーそれにしても、さすが黒木の妹だな。こんなに黒タイツが似合うなんて素晴らしいことだぞ」


席に着くなり、もの凄い笑顔で拓馬が言う。

褒められているのか、ただの変態発言なのかわからない双子は微妙な笑みを浮かべている。


「ちょっと! うちの可愛い妹達をからかわないでくれる?」

「からかってないですー。褒めてるんですー」

「木下が褒めても全部変態発言にしか聞こえないのよ! この変態!」

「なんだと! 恩を仇で返すとはまさにこのことだな!」

「恩はここの代金奢るからそれでいいって言ったじゃない!」

「お前らはなんでケンカしてるんだよ」


テーブル越しに言い合う二人を見かねて、隆が仲裁に入る。


「本題はそこじゃねぇだろ。双子に色々と聞かねばならんことがあるんだろ?」


そう言って名波のほうを見る隆。そうだった、と乱れた襟を正す名波。


「で、どうしてあんなことしたの?」

「それはお姉ちゃんが心配だったから・・・」

「あれだろ? 姉ちゃんが俺たちに取られるとでも思ったんだろ?」

「ちょっと違う」

「違うんかい」


拓馬の推測が見事に外れた瞬間だった。

双子の話によると、名波がいじめられていると思っていた双子は、名波を監視して犯人をとっ捕まえていじめをやめてもらおうと説得しようとしていたらしい。

結局、双子も隆達も両方が両方を捕まえようとしていたらしい。


「じゃあ俺たちがこの双子に捕まるところだったってこと?」

「そういうことになるな」

「でも俺があっさり捕まえちゃったと」

「まぁ中学生なんだから仕方ないだろ。俺には敵わんよ」


何故か胸を張って自慢げにする隆。実のところ、隆が立てた作戦はあのあとも色々と続いていくはずだったのだが、半分もいかないうちに解決してしまったので作戦自体が無意味になってしまったとも言える。それでもここまで自慢げにできるのは、少しテンションが高いせいなのかもしれない。


「それにしても黒木はあんまし怒ってないのな」


双子の横で楽しそうに会話を聞きながら、飲み物を飲んでいた名波に尋ねる。


「んー? だって可愛い妹達だもん。今回だって私のこと心配してやってくれたことなんでしょ? 姉冥利につきるよー」

「お前、ホントに姉バカだよな。うちの双子もこのくらい可愛気があればなー」

「隆のとこの双子だって可愛いじゃん。ちょっと変だけど」

「ちょっと変って何が?」

「なんか平気でキスしたりとか『愛してるよ』とか言い合ってるんだよ。まるで恋人同士みたい」


隆が答えると、思わず3人で双子の方を見てしまった。

その視線に遥が耐え切れなくなって下を向く。代表して桜が答えた。


「わ、私たちはそんなことしてませんっ!」

「「「だよねー」」」

「ってゆーかそれが普通だよな。きっとうちが変なんだ」


そう言って飲み物を飲む隆。そんな隆を物珍しそうな目で見る双子。


「なんだ? どうかしたか?」

「いや、なんでもないです」


双子の視線に気づいた隆が問いかける。

双子は考えていた。もしも自分たちに兄がいたらこんな感じなんだろうか、と。しかし、双子には名波という大好きな姉がいるので、こんなぶっきらぼうな兄はありえないと思っている。でも『姉』はこんなんでも『兄』となるとまた違うものなのだろうか、などと考えているが、口が裂けても名波の前ではそんなことを言えないと思っているらしく、曖昧に返事をしてごまかした。

ちなみに変態拓馬は双子の兄思想の中には入りませんでした。


「私も相沢家の双子見てみたいなぁ」

「あ、俺も久々に見たい!」

「人の家の双子を見せ物みたいに言うな。まぁ見せてやってもいいけど、いつにする? ってゆーかあの二人が大人しく家にいるかどうか・・・」

「じゃあ明日の放課後は?」


なぜか笑顔の名波。自分の家以外の双子を見るのが初めてなので、少し興奮気味です。

そんな姉を見て双子のテレパシーが始まりました。そしてそのテレパシーの結果・・・


「「私たちも行きたいです」」


双子も参戦表明。


「はぁ? お前らも来るのか?」

「ダメですか?」

「いや、断る理由はないけど・・・」

「なら明日の放課後にお姉ちゃん達の学校の前で待ってますね」

「え、あぁ・・・」

「じゃあ私と遥はこれで帰ります」

「えー。なんで先に帰るのさー。お姉ちゃんと一緒に帰ろうよー」


行く手を阻んだ名波がブーブー言っている。しかしそんな名波の扱いに慣れているらしく、桜と場所を代わった遥が少し恥ずかしがりながら名波に言う。


「あのね、私たちはお姉ちゃんのこと大好きだよ・・・」

「うんっ! お姉ちゃんも2人のこと大好きだよっ! 気を付けて帰るんだよー!」


ぺこりと3人におじぎをすると出口のほうへと歩いていった。その2人を席から見送った隆は、はぁ、と息を吐いた。

そんな隆に拓馬が声をかける。


「どうした?」

「・・・俺、年下の女の子ってダメだ」

「嘘っ! 初めて聞いたぞ?」

「俺も今初めて知った。押されると押し切られちゃうことがわかった」

「じゃあさっきの返事も?」

「ホントは断りたかったんだけどなぁ・・・」


思わぬ隆の弱点に驚く拓馬。そんな拓馬とは対照的に、ニヤニヤと笑みを浮かべている名波。


「へぇ~。相沢くんはうちの双子ちゃん達が苦手なんですか~」

「キモイ。こっち見んな」

「よーし! ここは名波ちゃんが相沢くんのために双子ちゃんを連れていってあげちゃうぞ☆」


隆の暴言を華麗にスルーした名波は、いつもの仕返しとばかりに双子を必ず連れていくと心に誓ったのであった。

そんな二人を見ながら、うちも双子が良かったなぁ、と心の中で呟いた拓馬であった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると執筆意欲が高まります。


双子襲来!


次回もお楽しみに!


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