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3人の友情

「・・・というわけなんだけど、二人とも何か知ってる?」


ファンクラブの緊急集会のあと、廊下に拓馬と隆を呼び出した有紀は、ファンクラブのことを伏せながら名波のことについてたずねた。


「黒木? あぁそういえばなんか悩んでるみたいだったな」

「そういえば今日は一回も俺たちのところ来てないな」


『そういえば』と名波のことを今思い出したかのように話す二人に、有紀は本当にこの二人が適役だったのかと、自分の提示した意見を疑ってしまった。


「そうか。そういえば様子が変だったな」

「だな」

「ちょっと、そういえばそういえばって二人とも名波姫のことが心配じゃないのっ?」

「そんなこと言ってもいつもは向こうからつっかかってくるから、今日は来ないなぁってぐらいで・・・」

「・・・姫?」

「あ・・・」


質問に答えた拓馬の後に、見事に聞き逃していなかった隆が聞き返した言葉に思わず固まる有紀。

しかし隆からしてみれば、やっと本性をさらけ出してきたわけで、それはそれで思わぬ収穫だった。


「いや、その・・・」

「まぁ気にするな。今は黒木だろ?」

「そうだよ。たとえ竹中が影で黒木のことを『名波姫』って呼んでたとしても、俺と隆はなんとも思わないって」


ニヤニヤと話す二人の顔を見て、自分が『名波姫』と呼んでいることがバレていたと知った有紀。


「あの、名波ちゃんには、その、内緒にしててね?」


念を押して拓馬と隆に言う有紀。

しかし・・・


「え? それが人に物を頼む態度なんですか? それに名波姫なんじゃなかったけ?」


意地悪く言う隆。拓馬は横でケケケと笑っている。これでファンクラブの敵にならないほうがおかしいですね。


「くっ! ・・・名波姫には内緒にしておいていただけますでしょうか?」

「誰に言ってるのかな?」

「相沢くんと木下くんです」

「まぁもとから言うつもりないし」


ケロッと何事もなかったように、表情を変える隆と拓馬に有紀は戦慄した。


「そんなことよりも今日は黒木だ」

「一応友達だからな」

「ん? 隆と黒木って友達だったの?」

「この間、黒木に友達認定された」

「じゃあ俺も友達だな。隆の友達は俺の友達だ」

「・・・なにそのジャイアニズム」


有紀のツッコミを完全に無視して、二人はずかずかと名波の元へと歩いていった。

いきなり行動を始めた拓馬と隆を慌てて有紀が制止しようとしたときには、二人はもう手の届かない位置まで歩いていた。

そして二人が名波の席を挟むように立つと、いきなり本題を叩きつけた。


「お前なんか隠してるだろ」

「あ、べ、別に何も隠してないよ? なんで相沢にそんなことわかるのさ」

「黒木。いつもよりも黒タイツがくすんで見える。この黒タイツソムリエの目は誤魔化せないぞ」

「どういう理屈さ!」


いつもの3割減の勢いで拓馬につっこむ名波。そんな名波に最初と変わらず、真剣な表情で二人は続ける。


「なぁ黒木。俺も拓馬もお前のこと心配してるんだ」

「友達に相談しないで何が友達だ。こーゆー時のために友達がいるんだろ?」

「木下・・・相沢・・・」

「ここで話しにくいなら場所変えるか?」

「ありがたいけど、もう少しで授業始まっちゃうし・・・」

「じゃあ放課後なら話してくれるか?」


拓馬の言葉にこくんと頷く名波。そんな3人を見ていた有紀は、やはり自分の提案は間違っていなかったと再度改めた。

二人が席に戻るのを見てから、有紀も自分の席に戻った。




そして放課後。


密かに行われたファンクラブの会員達による人払いによって、教室には名波、拓馬、隆の3人。そして教卓の中に有紀、掃除用具が入っているロッカーに会員一名、会員の席に仕掛けられた集音マイクを通して春樹と会員の数名が近くの空き教室で耳を傾けていた。

表面上で3人しか残っていない教室で名波が拓馬と隆に事情を説明した。金曜日の帰り道から変な視線を感じること、家でも視線を感じること、どこにいても視線を感じること、誰にも相談できなかったこと、ストーカーだと思うこと。簡潔かつ丁寧に話した。

二人はいつもの様子とうって変わって、真剣な表情で聞いていた。

この時の隆から見た拓馬は『自分好みの黒タイツの足か微妙なラインの足をランク付けしている時』と同じくらい真剣な表情だった。

この時の拓馬から見た隆は『何か悪いことを考えている最中』と同じくらい真剣な表情だった。


「・・・というわけです」

「つまりストーカーに見張られているかもしれないと」

「はい」

「俺の黒タイツに手を出すとはいい度胸だな」

「あぁ。俺の遊び相手に手を出すとはいい度胸だ」

「えっ? そんなこと考えてたの? ってゆーか私そんな扱いだったの?」


まさかの発言に驚いて二人を見る名波。二人は業火の炎を目に宿している。


「さて冗談はこのくらいにしてと」

「冗談だよねー。冗談だよねー」

「まぁ本当でもいいじゃないか」

「よくないよ!」


二人に話して少し軽くなったのか、名波はいつもの調子を取り戻しつつあった。

そんな名波を見て二人は本題に戻った。


「確認するが、実際になんかやられたとかは無いんだな?」

「うん」

「勘違いとかは?」

「うーん・・・勘違いじゃないと思うんだけどなぁ・・・」

「なら黒木を信じよう」

「だな。信じないことには話は進まないしな。まずは犯人をおびき出そう」

「で、姿を見つけ次第確保ってことで」

「え? そんなに簡単に捕まえられるもんなの?」

「俺を誰だと思ってるんだ」

「そうだぞ、黒木。作戦を練らせたら隆の右に出るものは居ないんだぞ」

「そうなんだ・・・」


ふふ~んと、少し鼻高々に胸を張る隆。それにしても今日の隆はノリノリである。それに呼応するかのように拓馬のテンションも高い。

名波はそんな二人をとても頼もしく思えた。



一方別室でマイクに耳を向けていた春樹は、近くで一緒に聞いていた会員を名波が通るであろう道にスタンバイさせていた。


これで準備は整った。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると踊り狂います。


なんか意外とシリアスな展開になりつつありますが、気にしないでください。

作者はコメディ(笑)を書いてるつもりなんです。


次回もお楽しみに!

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