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番外編・22年後

主人公の秋名くんは、拓馬と一花の子どもです。

「いってくるわ」

「はいよ。いってらっしゃい」


エプロンで手を拭きながら玄関にやってきた父さんが、玄関で靴を履いていた俺の横に立っている母さんにキスをした。

高校の時から付き合って24歳で結婚して、その年に俺が生まれた。

そして結婚してから16年経つけど、そのラブラブっぷりは今も健在のようだ。

うちは父さんが家事全般をして、母さんが働いている。いわゆる主夫というやつだ。

そのことで小さい頃はいじめられたりもしたけど、今となってはいい思い出になっている。

母さんは、公認会計士として働いて、しばらくして同じ会計士仲間と独立をして、そこそこの事務所をかまえているみたい。難しいことはよくわかんない。

そして俺、木下秋名(きのした あきな)は高校1年生。この春に入学をして、今6月。

妹の愛理(あいり)は2つ下で中学二年の14歳。今日もバレー部の朝練で先に家を出ていった。


「ほら、秋名。なにしてるの。置いていくわよ」

「あ、ちょっと待ってよ。父さん! いってきまーす!」

「頑張ってこいよー」


そう言って玄関を出て母さんと並んで歩く。


「そういえば黒木さんは元気?」

「黒木さん?」

「あ、そうよね。えーと・・・名波ちゃん」

「あー名波ちゃん? 元気元気。昨日も元気にアイドルやってたよ」


名波ちゃんというのは、隣のクラスの担任の先生だ。

名波ちゃんは、40歳という年齢のくせに、超絶な美貌を持っていて、生徒からだけではなく、先生たちの中でもアイドル的存在らしい。名波ちゃんとうちの両親は高校の時の親友だ。

前に、その頃の写真を見せてもらったけど、名波ちゃんはすごい可愛かった。これならアイドルと呼ばれてもおかしくはないと思った。

アイドルで思い出したけど、うちの母さんとよくテレビのドラマとかで見るユリちゃんっていう、昔のアイドルグループ『ディスカッション』のメンバーだった人が居るんだけど、その人とも親友らしい。

どうやったらこんな美人2人と親友になれるんだよ。


「ウフフ。黒木さんは相変わらずね」

「あっ。あれ隆兄ちゃんじゃね?」

「あらホント」


曲がり角で近所に住んでいる隆兄ちゃんとばったり会った。

隆兄ちゃんは、父さんの幼馴染の親友で、よくウチにご飯を食べに来ている。お金が無いのかと思っていたけど、実は凄腕弁護士みたいで引っ張りだこなんだとか。

でも隆兄ちゃんは面白そうな件とかばっかり受けるもんだから弁護士界では『変人』の愛称で通ってるんだとか。笑いながら話してくれたからきっと気にしてないんだと思う。


「おっ。秋名。うまい棒食べるか?」

「うん!」


挨拶の代わりにうまい棒を差し出してくる隆兄ちゃん。いつもうまい棒を持っていて、会うたびに俺にうまい棒を差し出してくる。そのたびに母さんか父さんが注意してるのだが、効果があった試しがない。もう俺の中での隆兄ちゃんのイメージは『うまい棒の人』で定着しそうだ。


「ちょっと相沢君。あんまり秋名を甘やかさないでくれる?」

「いいじゃねぇか。委員長だってそんなに気にすると顔のしわ増えるぞ?」

「相沢君っ」

「おーこえーこえー」


うちの両親と名波ちゃんと隆兄ちゃんの4人は、高校時代の親友で、同窓会とか言ってよく遊びに行っている。この間のGWにも4人で温泉旅行に行ってたなぁ。

その時は、俺は置いてけぼりをくらったけど、父さんの姉ちゃんの芳恵さんのところに行ってたから別につまんなくなかったもんね。

芳恵さんは、未だに独身なんだけど、人生吹っ切れたみたいで仕事と酒を愛する能天気なおばさんとして近所では有名だった。芳恵さんに向かって『おばさん』っていうとすごい怒るから気を付けないとダメなんだけど、そこさえ守ればすごい面白い人だ。この間も一緒にラーメン屋巡りに行って、たくさんごちそうしてくれたし、アイドルのライブにも連れてってくれた。そのアイドルのライブのチケットは、アイドル事務所で働いてる、父さんの弟の俊哉さんからもらったんだけどね。

愛理はバスケ部のOGとOBがいる、隆兄ちゃんの弟と妹のところに泊まりに行っていた。隆兄ちゃんの弟と妹は双子で、二人で暮らしている。それでも隆兄ちゃんのところからあまり離れていなくて、時々隆兄ちゃんと一緒にいるところを見たことがある。

そこの双子の家に行くと、バスケのDVDとか面白いものが見れるって言ってて、愛理はよく行ってるけど、俺は芳恵さんの家の方が面白いから、そっち派だ。


「んじゃ、学校頑張れよ」

「おう。隆兄ちゃんも仕事頑張れよ」

「任せとけ。今回もバッチリ稼いでくるからな」

「じゃあ私もこっちだから。秋名。気を付けて学校行ってくるのよ」

「うん。いってらっしゃーい」


手を振って二人と別れると、いつものように駅まで歩いていった。

母さんと隆兄ちゃんはバスで行くんだけど、俺は電車で行くから駅の方へと歩いていく。


「さてと! 今日も学校頑張るかな!」


俺は隆兄ちゃんからもらったうまい棒を食べながら、駅へと向かった。

ここまで読んでいただきましてありがとうございます。

感想とかあれば書いていただけると大変嬉しいです。


前に活動報告で載せた話をちょっとだけ変えたものです。

多分、次で完結となります。

番外編なので、終わり方も微妙な感じで終わるのです。


というわけで、次回もお楽しみに!

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