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番外編・ちびっ子と女王

「こんにちわ!」

「あら、美緒ちゃん。こんにちわ」

「あれ!? 一花先輩だけですか!」


昼休み。

いつものメンバーでは一花しか居なかった教室に、お弁当袋を持った美緒がやってきました。


「そうよ。木下君は相沢君と一緒に飲み物を買いに行ったわ。黒木さんは職員室」

「一花先輩は一緒に行かなかったんですか!」

「たまには男二人で行かせてあげるのもいいでしょ?」

「さすが一花先輩ですね!」

「まぁね。ほら来なさい」


一花が膝を叩いて乗るように合図すると、タタタタッとやってきて膝の上に乗る。

その行動が可愛いのか、かすかに笑みを作る一花。

周りから見るとまるで親子のようです。


「美緒ちゃんは何か用事があったの?」

「いえ! 特にこれと言って用事は無いんですが、先輩たちの受験勉強が忙しくなるとなかなかお邪魔できないので、今のうちに来ておこうかと思ったんです!」

「そうなのね。でも受験勉強のシーズンでも来てもいいのよ? 休み時間まで勉強してるのは、多分相沢君ぐらいだろうから、思いっきり邪魔してやりなさい」

「一花先輩って意外と腹黒いんですね!」


相変わらずの直球勝負の美緒の言葉だったが、一花は気にも留めずに美緒の頭を撫でながら言った。


「人はみんな腹黒い生き物なのよ。美緒ちゃんももう少ししたら腹黒くなってくるわよ」

「ウチもですか! ウチはいつでも中立な立場に立っていたいです!」

「その心は?」

「心ですか!? んーと・・・ウチはいろんな人のことを知るのが好きなんです! だからその知りたいことを知るためにはいつでも中立な位置にいないとダメだと思うんです! って、これじゃダメですか!?」

「案外ちゃんと考えているのね。でもそれって情報屋みたいね」

「ウチは、小さいときに見たスパイ映画の情報屋が大好きなんです! 将来はその人みたいにカッコよく生きたいと思うんですけど、所詮は映画の世界なんですよねー」


足をブラブラさせながら話す美緒。


「映画の世界だからってできないことは無いのよ。だって人間が撮ってるんだもの。美緒ちゃんだって情報屋になれるはずよ」

「ホントですか!? だったらウチ頑張ります!」

「そうよ。その意気よ」


顔を上げて一花を見て、元気よく返事をする美緒。

その姿にまたきゅんをなる一花。

そしてちょっとだけ気になっていたことを聞いてみた。


「情報屋志望の美緒ちゃんに質問なんだけど、私って『氷の女王』って呼ばれてるの?」

「はい! 一花先輩はそう呼ばれてますね!」

「えーっと・・・なんでかしら?」

「たしか無表情でクールでお綺麗だからだったと思います!」

「そんなに無表情かしら?」

「あとは『銀世界の女王』とか『女王様』とかって呼ばれてますね!」

「どのへんが女王なのよ」

「多分、そういった性癖の人たちが名付け親なんじゃないかと思います!」

「・・・Mな人たちってこと?」

「はい!」


元気に答える美緒。

それを聞いてこめかみを抑える一花。


「私ってそういうイメージだったのね」

「そうみたいです!」

「・・・私はSじゃないわよ」

「知ってます! 木下先輩と一花先輩を見ているとそう思います!」

「あら」

「私が知っていることは噂なので、現実を見て考え直すことは一番重要なんです!」

「しっかりものね」

「えへん!」


膝の上で胸を張る美緒の頭を撫でる一花。

兄弟姉妹がいない一花にとって美緒は妹のような存在でした。

時々拓馬や隆や名波の兄弟姉妹の話を聞くたびに羨ましいと感じている一花ですが、美緒をこうして膝の上に乗せている時だけは、まるで妹が出来たかのような感覚があって、ちょっと嬉しいのです。


「おっ! ちびっ子。来てたのか」

「ホントそこはお前の特等席だな」

「おかえりなさい」

「お邪魔してます!」


飲み物を買った拓馬と隆が帰ってきました。


「なんの話してたんだ?」

「それは私と美緒ちゃんの秘密よ」

「そうです! 女の子は秘密をたくさん持ってるんです!」

「ふーん。ま、いいや。そんなことより腹減ったわ」

「そうだな。食べるとしますかー」

「まだ名波戻ってきてないじゃん」

「別に待ってる必要はねぇだろ」

「あ、多分そろそろ戻ってきますよ!」

「おまたせー!」


そう言った直後に名波が戻ってきたので、3人の視線が美緒に集まった。

美緒は一花の膝の上でお弁当を広げながらいつものように笑顔全開でした。

そんな美緒の頭を一花がナデナデした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


親子にしか見えないです。


次回もお楽しみに!

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