隆と拓馬
最終回です
合格発表も無事に終え、春からは二人揃ってキャンパスライフのスタートとなった。
そんな二人だが、毎年恒例となっていたスノーボードをするためにスキー場にやってきていた。
前に名波と来たところとは違うところです。
昼ぐらいから滑り始めて、そろそろ日が落ちようとしていて、辺りの雪はオレンジ色になりつつありました。
その中で、拓馬と隆はコース脇に座り込んで、世間話をしていました。
「多分今年はこれで滑り納めだろうな」
「来週から大学だけど、準備とか課題とかあるもんな」
「課題なんてあんの?」
「えっ? 隆のとこ無いの?」
「一応あるっちゃあるけど、読書しておきなさいとかだし、あとは自主的に資料に目を通しておきなさいって感じかな。課題らしい課題は特にないかな」
「うらやましー」
仰向けに寝転がる拓馬。
「それでもこうやってボードとか来る機会は減るんだろうなー」
「俺たちの冬のメインイベントだったのにな」
「そうそう。来年はどうなってるんだろうなー」
「来年ってゆーか、来月の心配しないといけないけどな」
「今だけは忘れさせてください!」
違う大学に進む二人が、同じ日に休んでボードに行くというのは、あまり考えられなかった。
というよりも考えることができなかった。
楽しみだけど、若干怖くもある大学生活にどちらも一人で飛び込んでいくわけで、不安で胸が一杯だった。
「お前は芳恵がいるからいいよな。俺なんか長男だからなんでも一番最初に経験するんだぜ?」
「姉ちゃんは全然教えてくれないもん。『私もノーアドバイスで経験したんだから、拓馬もノーアドバイスで経験しなさい!』ってさ」
「さすが芳恵だな」
アハハハと笑う二人。
「元気で頑張れよ」
「明日死ぬみたいな言い方やめてくんない?」
「隆と違う学校行くの初めてだよな。俺ちょっと心配だわ」
「何言ってんだ。お前はなんやかんやで社交性高いから大丈夫だって」
「違うよ。隆のことだよ」
「俺?」
目をパチクリとさせる隆。
「隆って人見知りするじゃん? 同じ授業とってる人に話しかけるとか無理でしょ」
「たしかに言われてみれば・・・」
「だろ? それが心配だわー」
「ってゆーか名波にも同じこと言われたぞ」
「おんなじようなイメージなんだな」
「失礼なやつらだ」
また笑って起き上がる拓馬。
「・・・時々は名波に会ってやれよ」
「・・・機会があればな」
「そんなこと言って飽きられてもしらないからな」
「余計なお世話だ」
「せっかく心配してやってるのに」
「それが余計なお世話だって言ってるんだよ。俺も名波も話し合って決めたんだ。後悔はしないさ」
「『後悔』は後で悔やむって書くから『後悔』なんだ。だからあとで悔やむなよ」
「当たり前のこと言うな」
「これは母さんの口癖ですー。うちの家訓でもあります」
「うちの家訓は・・・まぁ『楽しんで生きろ』とかだろうな」
「隆んちっぽいな」
帰る時間が近づいてきたので、残りの距離を滑り降り、ロッジで帰りの仕度をした。
そして今日はバスと電車を乗り継いで帰るため、荷物を持って巡回バス乗り場へと歩く。
日も完全に沈み、辺りは暗くなっていた。
「また来ような」
「あぁ」
「その時は名波も連れてこないと怒りそうだな」
「なら委員長はどうするんだよ。意外と拗ねそうだぞ」
「あー・・・今後聞いとくわ」
「次に4人で集まれる日はいつになるんだろうなぁ」
「集まれるときは集まりたいな」
「また旅行にも行きたいな」
「行くとしたら夏休みとか?」
「夏に北海道出るなんて自殺行為じゃね?」
「それもそうだわな」
アハハと笑う拓馬と隆。
そしてやってきたバスに乗り込んで並んで座る。
「色々あったけど楽しかったな」
「あぁ。いい青春だった」
「大学は青春じゃないの?」
「大学は違うだろ。もう大人だろ」
「そんなもんか」
「そんなもんだ」
バスが動き出した。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・一つ聞いてもいい?」
「ん?」
「結局名波とどこまでイったの?」
「ぶはっ! お前はなんでこんなところでそんなこと聞くんだよ!」
拓馬の発言に吹き出す隆。
「教えてくれたっていいじゃんかよー。隆とこうして話すの最後かもしれないんだしさ」
「そんなわけないだろ。一応近所なんだからいつでも会えるだろうが」
「あ、そっか」
「そうだよ」
「で、名波とはどこまでヤったの?」
「ったく・・・あんまり大きい声出すなよ?」
「うんうん」
そう言って、バスの中でヒソヒソと話す拓馬と隆であった。
春からは違う大学に通う二人も、今はまだお茶目な青春真っ盛りのただの高校生なのでした。
おしまい
ここまで・・・というよりも今まで長々と読んでいただきありがとうございました。
感想とかあれば書いていただけると幸いです。
というわけで、本編の最終回となります。
これで拓馬と隆の物語は一旦終了となりますが、今後は番外編という形で続けていきます。
あの人のあんなシーンやこんなシーンだったり、意外と絡みが少なかったあの二人の話だったりを書いていこうと思っております。
なので本編は終了いたしましたが、おまけということで楽しんでください。
活動報告にて、名伏しがたいあとがきのような何かを書いておりますので、そちらもよければ読んでみてください。
というわけで、次回もお楽しみに!