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合格発表と話し合い

拓馬、隆、名波、一花の4人は、それぞれの大学に合否の結果を見に行っていた。

そしてまた前回と同じファミレスに集合となった。

今日は隆と名波が早く到着して席についていた。


「で、どうだった?」

「俺はもちろん合格だ」

「さっすがぁ!」

「名波は?」

「私も合格できました!」

「おめでとう」

「ありがと。ってゆーか落ちてたらこんなところ来れないよね」

「たしかにな」

「「ハハハハ」」


そして他愛もない話を続けること30分。

ここから一番遠い大学の名波が来ているのに、ここから一番近い大学の拓馬とその次に近い大学の一花がなかなかやってこない。

だんだんと心配になってくる二人。


「遅いね」

「遅いな」

「もしかして落ちてるんじゃない?」

「いや、委員長は落ちないだろ」

「じゃあ拓馬が落ちたから委員長が慰めてる・・・とか?」

「それは・・・ありえるな」


嫌な空気が流れた。

そしてその嫌な空気を振り払うように、隆が提案した。


「連絡してみるか」

「そうだね。じゃあ私、委員長にかけるね」

「じゃあ俺は拓馬な」


そう言ってケータイを取り出して、電話をかけ始める隆と名波。

しばらくコール音が鳴って、拓馬が電話に出た。


『もしもーし』

「もしかして落ちたのか?」

『縁起悪いこと言うなよ。俺も一花もちゃんと受かりました』

「そっか・・・ってなら早く来いよ。俺も名波も腹減ってきてんだよ」

『じゃあ二人とも受かってるんだな。よかったよかった』

「よかったじゃねぇよ。今どこにいるんだ?」

『あー、そのことなんだけど・・・』

「・・・なんだよ」


どうも歯切れの悪い拓馬に違和感を抱く隆。

拓馬が歯切れが悪い時は、たいていが何か考えながら話している時だった。

なので、そのことを踏まえた上で隆は考えた。

そして一つの答えを導き出した。


「お前ら・・・名波と二人っきりにしようとしてるんだろ」

『げっ。なんでわかった?』

「お前なぁ・・・」

『違うよ? 俺が考えたんじゃないからね? 一花がやったんだからね? 首謀者は一花さんですよ?』

「自分の彼女に罪をかぶせるってどうなのよ」

『それはそれだ! とにかく! 名波とちゃんと話し合いなさい! って一花が言ってた。そーゆーことだから! バイビー!』


そう言って電話は切れてしまった。

名波のほうも電話は終わっていたようで、ケータイを閉じて、ドリンクバーで持ってきたジュースをストローでちびちびと飲んでいた。

隆もケータイを閉じて、テーブルの上に置いて、とりあえずジュースを飲んだ。


「拓馬、なんだって?」

「お前とちゃんと話し合えってさ」

「やっぱり? 委員長に電話したらほとんど同じこと言われた」

「今さら話し合うことなんか無いだろ」

「そう・・・だよねぇ」

「なんかあるのか?」


これまた拓馬同様、歯切れの悪い名波に違和感を感じて名波の顔を見る。

でも考えてもあまりわからなかった。


「・・・なんかあるのか?」

「なんかってゆーか・・・」

「なんだよ。言いたいことがあるなら言っちゃえよ」

「じゃあ言うけど・・・私ね、やっぱり隆のこと好きなんだ」

「なんだ、そんなことかよ。俺だってお前が好きだよ」

「だからホントに別れちゃってよかったのかなぁって思って」

「お前が付き合いたいって言うなら俺はいつでも大歓迎だ。でも会えないからって泣かれるのは困る。名波の泣き顔は見たくないからな」

「わ、私だって泣きたくて泣くわけじゃないもん」

「わかってるよ。お互いに夢があるんだからそれを目指すための準備期間だと思ったらいいじゃねぇか」

「・・・隆って意外とポジティブだよね」

「こう思ってないとやってられないだけだ」

「フフフ」


小さく名波が笑う。それにつられて隆も笑みがこぼれる。


「ほら見ろ。結局こーゆー結果になるんだから話し合いなんて必要なかったんだ」

「だよねー。はぁ、緊張した」

「何にだよ」

「だって隆の気持ちが変わってたらどうしようかと思って」

「変わらないって言ったろ。俺は立派になって名波を迎えに行くんだ」

「おぉ。かっちょいー」

「だからそれまで待ってろよ?」

「もちろん。他の男に取られる前に迎えに来てよね」

「そこはお前が頑張って断り続けろよ」


そう言うと、目を合わせて笑顔を見せる隆。

その笑顔にホッとしたのか照れたのか、ストローに口をつけてジュースを飲む名波。


「ってゆーか拓馬も委員長も来ないつもりなのか?」

「なんか終わったら連絡してって言ってたよ」

「あっという間に終わったな」

「というわけで連絡しまーす」


ケータイを開いて連絡する名波。


「あ、委員長? 終わったよー。・・・・・・えっ?」

「ん? どうした?」

「なんかもう近くにいるって」

「近く?・・・あっ!」


そう言って辺りを見回すと、少し離れた席に座ってニヤニヤとしてこちらを見ている拓馬と一花の姿があった。

むこうから身を乗り出さないといけないような場所に座っており、隆達の席からは完全に見えないような場所だった。


「あんなところに隠れてやがったのか」

「めっちゃいい笑顔だよ。なんかむかつくー」

「委員長にまんまとやられたな」


席を移動して隆達と合流した拓馬と一花は、ニヤニヤと気持ち悪い笑顔を貼り付けながら席に座った。


「で、お二人さん。どうでしたか?」

「二人とも合格したよ」

「そうじゃないわよ。話し合いの結果よ」

「俺が名波を迎えに行くことに決まりました」

「「おぉ~!」」


そう言って感嘆の声をもらす拓馬と一花。

その後、一花と拓馬から根掘り葉掘り聞かれたが、結果以外はほとんど答えずに、互いに目を合わせて小さく笑う隆と名波であった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


次回で最終回となります。

番外編をいくつか書く予定です。

リクエストを受けてますので興味があれば活動報告をば。


次回もお楽しみに!

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