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えっ?

「やっと受験が終わって一安心ですなー。名波殿」

「いやー合格するまでが受験ですぞ? 拓馬殿?」

「いやいや。あとは神頼みしかないゆえ、我々に出来ることはなにもないぞよ」

「確かにそうですな」

「「アッハッハッハ」」


大学受験が終わり、そのまま家には帰らずに、近くのファミレスに集合した4人だった。

一番最後にやってきた隆がそこで見たのは、なにやら悪代官ごっこらしきトークを繰り広げている拓馬と名波だった。一花は拓馬の横で大人しく紅茶を飲んでいました。


「委員長。なんだこれ」

「さぁ? 私が来たときにはもうコレだったわよ」

「おやおや。隆殿ではないか」

「誰が隆殿だ」

「まぁまぁ。私の横に座ることを許してやろう」

「「アッハッハッハ」」

「許すも何もそこしか空いてねぇじゃねぇか・・・」


名波が自分の横をバンバンと叩いて隆をそこに座らせました。


「なんか食べたのか?」

「別に何も食べてないぞよ?」

「うぜぇ。いい加減にその喋り方やめろ」

「隆殿はノリ悪いのぅ」

「おい」

「わかったって。隆来てから食べようってことになったんだけど、なんか食べる?」


そう言ってメニューを隆に渡す拓馬。


「お前らはなんか決めたのか?」

「何も決めてないゆえ」

「まだドリンクバーしか頼んでないゆえ」

「「アッハッハッハ」」

「こいつらもうダメだ・・・委員長は?」

「私はここよく来るもの。もう決まってるわ」

「メニュー暗記とかさすが委員長だな」

「覚えてないわよ。自分が興味があるものだけよ」

「あ、私も決まってるよー」

「嘘だっ! 名波は『とりあえずドリンクバー』って言っただけでメニュー見てないじゃん!」

「え?」


驚いたような表情をする名波。

そして合点がいったようで手をポンと叩いた。


「そっかそっか。言ってなかったっけ?」

「何が?」

「ここ、お父さんのお店なんだ」

「「「・・・えっ?」」」


拓馬、隆、一花の3人は揃って驚いた。ポカンと口を開けて惚けた顔をしていた。

無理もありません。よく見ると、幼き頃の名波を抱きかかえて素晴らしい笑顔の父親が、入口に飾ってある写真に写っているではありませんか。

そんな名波の父親が経営しているチェーン店のファミレスなので、メニューを知っていてもおかしくは無いのです。

今回は意図せずしてここに決まったわけで、名波が計画したわけではありません。計画を立てて連絡を回したのは拓馬です。


「うちのお父さんってここのチェーン店を経営してる会社の社長なんだー」

「いやいやいやいや! 『なんだー』じゃなくて、俺たちかなり驚いてるよ!?」

「そんなこと言われても、実際にそうなんだもん」

「黒木さんってリアルお嬢様だったのね・・・3次元でリアルお嬢様に会えるなんて思ってもみなかったわ」

「リアルお嬢様って・・・」

「じゃあ隆がもしも名波と付き合ったままだったら、跡取りは隆だったのか?」

「いや、それはないだろ」


隆、即答。


「なんで?」

「だって弁護士とチェーン店経営って両立できないし。俺、経営学はあんまし得意になれそうにないし」

「隆だったら儲けのこと最優先で動きそうだけどなぁ」

「跡取りは大丈夫だよ。だって桜がいるもん」

「「「は?」」」


またわけのわからない発言を聞いて、口が開く一同。


「この間の授業参観で、将来の夢についての授業だったらしいんだけど、桜が『お父さんの会社を継ぎます』って言ったらしいよ」

「えっ、じゃあ遥は?」


全員を代表して隆が聞いた。


「遥は桜の秘書をやるんだって。それでお父さんが喜んじゃって喜んじゃって。それで私もお父さんの会社継ぐのに誘われたけど、丁重に断りました」

「3姉妹で会社経営ってすごいわね」

「だから私はやらないってば。できる妹達がいるのに、私が参加しちゃったら私はどこの役職につけばいいのさ」

「そりゃ看板娘でしょ」

「そんな役職ありませんー」

「じゃあ社長は?」

「社長って柄じゃないもん。あんなお父さんみたいに北海道中のチェーン店回ってビシバシ言うなんて私できないもん」

「はぁ・・・社長も大変なんだなぁ・・・」


会社経営の大変さを知った拓馬がしみじみと呟いた。


「拓馬には会社経営の話は来ないから大丈夫だろ。頭良くないし」

「こう見えても経営学部に行くんですけどー」

「行くのは大変でも、出るのは簡単なのが大学だからな」

「それはどういう意味ですかー? 隆君?」

「さてと。そろそろ頼むか。腹減ってきた」

「無視かよっ!」


そう言って、名波に店員を呼ぶためのピンポンを押させる隆。

すぐに店員が来て、メニューを聞いて戻っていった。

店員が居なくなったのを確認して、拓馬が口を開いた。


「俺、『あっ! 社長のお嬢様じゃないですか!?』ってなるかと思った」

「あ、俺も思った」

「私もいつ言うのかと思って少しドキドキしたわ」

「そんなの言われるわけないじゃーん。店員さんが私の顔知ってたらすごいよ」


食べ物が運ばれてくるまで、名波がお嬢様だということをいじったりいじらなかったりしながら楽しく喋りながら待ったのでした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


やっとこの話を書けました。

待ち合わせと言えば、ロッテリアでしたからね。


次回もお楽しみに!

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