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受験前日・拓馬

明日が受験前日ということもあって、若干緊張はしていたが、いつも通りの生活を心がけて緊張しないようにと務めている拓馬は、夕食を作っていた。

いくらいつも通りとは言えども、この扱いはひどいのではないかと思いながらも、キッチンに立つ拓馬。

さっきまでは俊哉が拓馬に向けて問題を出してくれていたのですが、意外にも正解率が高すぎたために途中で飽きてしまい、今はテレビを見ていました。

今日の夕食はクリームシチューとごく普通のサラダです。

仕事から帰ってきた母親が今入っているシャワーから出てきたら夕食開始なので、あと少しで夕食となります。

完成したクリームシチューを弱火で煮込んでいた時に、キッチンに持ってきていたケータイが音を鳴らしました。曲は『ディスカッション/あいらぶ100%』です。

着信画面を見ると、相手は名波でした。


「もしもーし」

『あ、拓馬ー? 名波だよー』

「知ってるよー。なした?」

『今電話しても大丈夫?』

「あー・・・これから夜ごはんなんだよなー。食べ終わってからでいいなら大丈夫だけど」

『そっか。ならいいや』

「どうかしたのか?」

『別にー。ちょっと話し相手になってもらいたかっただけー』

「そーゆーことか」

『じゃあ明日頑張ってねー』

「名波も頑張れよー」

「黒木さんか!?」


俊哉が声を荒らげましたが、拓馬は問答無用で電話を切りました。


「なんで代わってくれなかったんだよ」

「なんで俊哉に代わらないといけないんだよ」

「そりゃ俺だって年頃の男の子だぜ? 黒木さんと話したっていいじゃんかよー」

「ユリちゃんはどこ行ったんだよ」

「それはそれ。これはこれだろ」

「一花に頼んで、絶対俊哉にユリちゃんが会わないようにしてもらうからな」

「すみませんでしたー!!」


素直に土下座をする俊哉。

ついに兄としての威厳が出てきたのか、俊哉を押さえつける方法を学んだ拓馬にとって、俊哉はもう敵ではなかった。

それよりも・・・


「たっだいまー」


たった今帰宅したばかりの芳恵のほうが強敵であった。

隆が別れたことを知るやいなや、『隆』という単語を聞くたびに近況報告を拓馬にさせているのだ。

『隆は名波のこと好きだよー』と言っても聞く耳をもたないのが難点で、話し合いで解決できる相手ではなかった。


「おっ! この臭いはシチューだね?」

「さすが犬並みの鼻を持つ姉ちゃんは違うな」

「犬だと『シチューだ!』って言えないでしょ」

「あ、そっか」

「何納得してるんだよ」


芳恵と俊哉の謎の会話に一応つっこむと、母親がもうそろそろシャワーから出てくると予測して、俊哉の分からシチューをよそりはじめた。


「姉ちゃんも食べる?」

「うん。食べるー。着替えてくるからよそっといて」

「はいよー」


皿にご飯を盛って、その上からシチューをかける。カレーライスならぬシチューライスです。

木下家では、ご飯とシチューを分けて食卓に並ぶなんてことはありませんでした。




そしてシャワーから出てきた母親を含めた4人で、いつものように夕食を食べて、自分の部屋へと戻ってきた拓馬は、寝る前に少しだけ勉強をしようと机変わりのこたつに入り、勉強を始めました。

しかしご飯を食べたあとはいつもなら眠くなるはずなのですが、今日は全く眠くありませんでした。


「やっぱ緊張してんのかなぁ・・・」


心では緊張していないとは思っていても、からだは緊張しているようで、勉強を始めても全然眠くなる気配がありませんでした。

時刻は午後11時。

そろそろ寝ないといけない時間なのですが、困ったものです。


「うーん・・・」


少し悩んだ挙句、ケータイを手にして一花へと電話をすることにしました。


『もしもし?』

「あ、一花? オレオレ」

『オレオレ詐欺ならお断りよ』

「あ、木下です。あなたの愛しの拓馬君です」

『あら、拓馬君だったのね。全然気付かなかったわ』

「画面見てくださいよー」

『それは失礼しました。緊張して寝れないの?』

「なんでわかった!?」


まさかの正解に驚く拓馬。


『私を誰だと思ってるのよ。拓馬君のことならなんでもお見通しよ』

「監視カメラとかついてるんじゃないだろうな?」

『付けてもいいの?』

「ダメです」

『フフフ。本当に緊張してるの?』


拓馬はそう言われて気づいたのだが、全然緊張していなかった。

というよりも、急に眠気が襲ってきた。

そのことを一花に伝えると、笑われた。


「・・・なんで笑うんだよ」

『いいじゃない。だって私の声を聞いて落ち着いたってことでしょ? 彼女冥利に尽きるわ』

「まぁ否定はしないけどさ」

『ウフフ。嬉しいわ。じゃあ明日遅刻すると危ないから早く寝たほうが良いわよ』

「そうするわ。ありがとな」

『いえいえ。おやすみなさい』

「おやすみー。明日頑張れよ」

『もちろんよ。おやすみなさい』

「おう」


そう言って電話を切る拓馬。

こたつを片付けて布団を敷いてアラームをセットすると、嘘みたいに眠気が襲ってきて、布団に入るなり寝てしまった。


受験当日の朝は、慌てて起きたら5時で驚いたんだとか。

寝坊するよりマシですね。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


勉強の成果が出ている拓馬でした。


次回もお楽しみに!

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