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こうえん

ある日、ご近所さんで繰り広げられることで有名な井戸端会議が、今日も恒例の場所で繰り広げられていた。

参加者の奥様は計4人。うち、子ども連れが2人でそのうちの1人は二人の女の子と男の子を連れてきていた。もう一人は男の子一人だけである。

女の子は小学1年生ぐらいだが、男の子二人はまだ幼稚園に入ったばっかりというような年齢である。

奥様達は話に夢中になっていたが、チラチラと子どもを見ているので、危なっかしさは全くなかった。

話に夢中になっている奥様達をよそに、子ども達は子ども達ですぐ横にある公園で仲良く砂遊びをしていた。

女の子は女の子らしくどこまで掘れるのかを実践していて、男の子二人は仲良く、その掘った砂で大きな山を作っていた。山は男の子達の腰ぐらいまで盛り上がってきていました。

そんな時、男の子の一人がもう一人の男の子に向かって言いました。


「たかし! そろそろぼっこたてよ!」


そう言って近くにあった木の枝をつかむと、答えも聞かずに山のてっぺんにグサリと刺しました。

たかしと呼ばれた男の子は静かにその様子を見ていましたが、静かに質問をしました。


「たくまくんは、どうしてすぐにぼっこたてちゃうの?」

「やまくずしがすきなんだもん!」


たかしくんがたくまと呼ばれた男の子に言うと、間髪いれずに答えが返ってきました。

やはり納得がいかないのか、また静かに質問をします。


「きょうはいっしょに、おっきいやまつくろうねっていったのに」

「うーん・・・わかんないっ! やまくずししよっ!」


とても晴れやかな笑顔を見せるたくまくんに呆れたのか、たかしくんは、『ハァ・・・』と大人顔負けのため息をついてからたくまくんと一緒に山くずしを始めました。

両手を使って山を端から崩していき、棒が倒れると負けで、倒れるまでにどれだけの砂を取ることができたかを競う遊びです。

何回か慎重に砂をかき集めていくたくまくんとたかしくん。

そしてもう指単位で砂を取らないといけないようなぐらいまで、山が細くなりました。

その時、細長い山に向かって正義のキックが横から飛んできました。

その衝撃で砂山はただの砂場の砂へと姿を変えてしまいました。

たくまくんとたかしくんは、いつものように足が飛んできた方向を見ると、さっきまで砂堀りしていた女の子が『私が赤レンジャーだ!』と言わんばかりの仁王立ちを見せていました。


「おねえちゃん、じゃましないでよー」

「わたしはせいぎのヒーローなのだ! そんなよわっちいやまは、けってやったほうがしあわせなのだ!」

「よしえねえちゃんはあっちいっててよ」

「どうしてたかしまでせいぎのヒーローのきもちをわかってくれないんだ!」


なにやら驚いているようで、よしえおねえちゃんと呼ばれた女の子は一歩後ろに後ずさりしました。

そのようすをいつものように静かに見るたかしくんと、とても嫌そうな顔で邪魔者扱いをしているたくまくん。

その二人の視線を、再度腕を組んで仁王立ちをしたよしえちゃんが受け止めていた。


「フフフ。わたしのキックにおそれおのいたか!」


『おののいたか』ですね。


「よしえねえちゃん。やまくずれちゃったから、またつくって」

「ヒーローはそんなことしないのだ! さらば!」


そう言って、すべり台を逆からかけ登っていき、てっぺんでまた仁王立ちをするよしえちゃん。

さすがのたくまくんとたかしくんも意味が分からないようで、よしえちゃんが掘っていた穴を埋める作業に取り掛かっていた。

そこで無視されたと勘違いしたよしえちゃんは、かけ登ったすべり台を軽やかにすべり降り、再び砂場へとかけより、埋められようとしている穴の中へと足をつっこんだ。

その瞬間、今まさにたくまくんとたかしくんの手によって埋められようとしていた穴に砂が入れられた。


「ぐあぁぁぁあああ! バケモノにあしをくわれたー! たすけてくれー! ブルー! グリーン! あ、たくまがグリーンで、たかしがブルーね。ぐぁああ!」


補足を付け加えながら叫ぶと、たくまくんとたかしくんの服をしっかりと掴んで助けを求めた。


「よしえおねえちゃん。いたい」

「おねえちゃんはつよいからそんなのにまけないよ」


いつもどおりのドライな発言を聞いたよしえちゃんは、力がみなぎってきたようで、雄叫びとともに穴から足を抜き出しました。


「うおぉおおおおお!! ホアチャァアア!! わたしはバケモノからいきてかえったぞー!」


パチパチとやる気のない拍手を送るたくまくんとたかしくんに満足したようで、よしえちゃんはお母さんの元へと満面の笑みで駆け寄っていった。


「おかあさん! バケモノたおした!!」

「そう。それはよかったわね。まだバケモノいるみたいだから、もう一匹ぐらい倒してきちゃいなさい」

「わかった!」


『ちょっと冷蔵庫から麦茶取って』的な感覚でよしえちゃんにそう言ったお母さんは、また井戸端会議へと戻った。

そしてよしえちゃんも公園へと戻った。

しかしたくまくんとたかしくんはブランコで遊び始めており、さすがに二つしかないブランコで遊ぶのは無理だと思ったのか、仕方なく、近くにあったアリの巣を壊滅させる任務についたのでした。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


小さい頃の1シーンでした。

よしえちゃんがかわいいです。


次回もお楽しみに!

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