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腐女子な名波?

「委員長って腐女子なの?」


隆と名波の講習が無く、珍しく4人で帰っていたときに、名波が言いました。


「腐女子?」

「貴婦人なのか?」

「その婦女子じゃなくて、腐ってる腐女子のほう」

「・・・いきなりどうしたの?」

「昨日テレビでオタクの女の人は腐女子と呼ばれていますーってやってたから、委員長もそうなのかなーって思って」


そう言われた一花は、小さくため息をついた。


「急に言われたからびっくりしたわよ。そんなに腐女子めいた行動してたかと思ったわ」

「じゃあ委員長は腐女子じゃないの?」

「違うわ」


そうきっぱりと言い放つ一花。

一花以外の3人は頭にハテナを浮かべています。

あまり意味が分かっていないような3人に向かって一花が説明をした。


「腐女子って呼ばれてる人たちっていうのは、オタクっていうカテゴリのうちの一つなのよ。オタクでもアニメオタクとかロボットオタクとか、ちょっと違うかもしれないけど電車オタクとか、それこそ木下君の弟さんみたいなアイドルオタクって呼ばれてる人たちもいるのよ」

「なんで拓馬は腐女子って知らねぇんだよ」

「俊哉は自分の世界に入っちゃってるからなぁ」

「じゃあ腐女子ってなんなの?」


一花は拓馬の顔を見ると、『言っていいの?』というような表情を作った。

そのアイコンタクトを受け取った拓馬は首を縦に振った。


「えーとね・・・腐女子っていうのは、男同士の同性愛を好む女の人のことよ」

「「えっ・・・」」


拓馬と名波が絶句した。

隆は『ふーん』とだけ言った。


「え、ちょっと待って。じゃあ委員長も男同士の」

「違うわよ。私は腐女子じゃないって言ってるじゃない」

「そっか。じゃ、じゃあさ、もしもさ、あ、もしもだよ? その、隆と拓馬が両思いだったとするじゃない?」

「しねーよ」

「ないないないない!」

「だから例えばだって!」


何故か焦っている拓馬と名波。


「両想いだったとしてさ、それを見てるのが好きなの? それともそれに混ざりたいの?」

「混ざりたいっていうのは多分無いわね。勝手にこの人とこの人を付き合わせて妄想したりしてるって感じかしらね」

「うそっ! 妄想だけでそんなに出来ちゃうの!?」


一花の発言にとても驚いている名波。

一花は一花で、拓馬の反応を見てちょっと笑っていた。何かがツボに入ったようです。


「でもそれもほとんどが二次元での話よ。三次元でそーゆーのが好きな人はよっぽどね」

「じゃあ委員長は隆のことを拓馬が好きだって言ったらどうするの?」


そう言った名波のほうを驚いた様子で見る拓馬と隆。

まさか自分たちが餌になるとは思わなかったようです。


「別にどうも思わないわ。私は同性愛は悪くはないと思っているもの。もしもそういう展開になったとしても、私は木下君を相沢君には渡さないわ」

「じゃあ拓馬が委員長と別れてまで隆と付き合いたいって言ったら?」

「えっ!?」


さらに驚く拓馬。


「それは・・・仕方ないわ。さすがの私も諦めざるを得ないわ。それが木下君の幸せなら別れるわ」

「じゃあさ」

「ちょっと待ったー!」


名波の言葉を遮るように拓馬が叫んだ。


「それ以上はやめてくれ! 俺のイメージがドンドン壊れていく気がする!」

「だから例え話だって」

「例え話でもだ!」

「もしかして木下君・・・本当は相沢君のことが・・・」

「ちがーう! 好きじゃなーい!」

「じゃあ俺って拓馬に嫌われてたんだな・・・今までゴメンな」

「隆まで乗っかってくるのっ!?」


いつの間にか3対1の状況が出来上がっており、周りが敵だらけになってしまった拓馬だった。


「俺、拓馬のこと好きだったのになぁ。友達としてだけど」


このセリフに、少し後ろで聞き耳を立てていたそっち系の女子の何人かが倒れました。


「紛らわしいから悪ノリするのやめろー」

「でも隆と拓馬なら付き合っててもおかしくはないよねー。いっつも一緒に居るし、家近いし」

「あら、黒木さんってば、腐女子の素質あるんじゃないの?」

「えっ? ホント?」

「なんで喜んでるんだよ」

「喜ぶところじゃないの?」

「頭が腐ってるって言われてるようなもんだぞ。男同士の友情を恋愛としてみてしまうような穿った見方をするんだぞ」

「あら。別にそれはそれでいいじゃないの。頭の中だけで収めるんだから誰にも迷惑かけてないはずよ?」

「うっ・・・」


正論を言われて思わず口を閉ざしてしまった隆。

しかし横から援護射撃が飛んできた。


「でも俺はそーゆー見方は良くないと思います!」

「どうして?」

「俺が隆と付き合うなんて気持ち悪いからだ!」

「まだ言ってるのかよ」

「え?」


その援護射撃に容赦なくツッコミを入れる隆。

勢いを失った拓馬に名波の追撃が迫る。


「じゃあ拓馬は隆のこと好きになったことないの?」

「ないってゆーか・・・もとからそーゆー目で見ないし。隆は一番だ大切な友達だ」

「えー! じゃあ私はー?」


自分から聞いておいて駄々をこね始める名波。


「名波も大切な友達だ。隆の次に大事だ」

「やったー!」

「じゃあ私は?」


ラスボスの一花が拓馬に問いかけた。


「一花は彼女だから特別枠だな。友達以上ってやつだな」

「もう木下君ったら・・・」


急にデレ始める一花。

そんな一花を見て隆は呟いた。


「これだけ拓馬好きなやつが腐女子だったら変だわな」

「確かに」


隆の呟きに名波が力強く頷いて賛同した。

今日も4人は平和だった。


ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


一花さんは何オタクなんですかねぇ?


次回もお楽しみに!

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