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ねぇ知ってる?

全ての花火が打ち上げ終わったらしく、地下鉄へと歩いていく人ごみを川へと続く坂の途中で座りながら、拓馬と一花は話をしていた。

今このまま帰ると、絶対と言っていいほど混んでいるので、それを避けるためです。

拓馬は私服だが、一花は黒地に赤い模様が書かれている浴衣を着ていました。


「いやぁ、夏の花火はやっぱりいいもんだな」

「そうね。どうしてあんなに綺麗なものを夏にしかやらないのかしら?」

「そりゃあ夏の風物詩だからだろ?」

「別に冬の風物詩でもいいじゃないの。どうせ空しか見ないんだから」

「まぁそうだけど。・・・あっ。もしかして雪とか降ってると火薬がつかないかもしれないからとか

!」

「それはありそうね。今度調べてみるわ」

「さすが市原ペディア」


少し視線を坂の上にうつすと、人がたくさん歩いています。

そんな中、拓馬は必死に黒タイツの人を探したりもしましたが、今日はさすがに浴衣人口のほうが多くて見つかりませんでした。たまに見かける黒タイツの人を目で追ったりもしましたが、一花にほっぺたをつかまれてしまい断念しました。


「アレだよな。多分隆達もこの辺にいるんだろうな」

「きっとそうよ。あの二人のことだから、ケンカしてるかもしれないわね」

「へ? ケンカ?」

「ケンカよ。いっつも言い合ってるじゃない」

「あれは別にケンカしてるわけじゃないでしょ」

「え?」


本当に分かっていないようで、不思議そうな顔をした一花が拓馬のほうを向く。


「もしかして、隆と名波が言い合ってるのって、ずっとケンカしてると思ってた?」

「えぇ。あれがケンカじゃないのだとしたらなんなの?」

「あれは仲良しアピールしてるんだよ」

「仲良しアピール?」


ますますわからなくなってきた一花が、頭の上に浮かべているハテナの数をさらに増やした。


「ほらなんか良く言うじゃん。ケンカするほど仲が良いって。あんな感じだよ」

「仲直り前提で言い合ってるていうこと?」

「んー・・・まぁザックリ言うとそんな感じだけど、ちょっと違うかな。あの二人って付き合う前からあんな感じだし、地味に恥ずかしがり屋で口の悪い隆と、真面目で鈍感な名波っていう組み合わせがまずおかしいんだよ」

「たしかにそうよね」

「付き合う前なんか、隆は『俺が名波と? ありえん』とか言ってたくせに、今だと名波にぞっこんだからな」


隆のモノマネをした拓馬を見て、一花がウフフと笑った。


「そんなこと言ったら木下君だって、私と付き合うなんて嫌だーとか言ってたじゃない」

「まぁ・・・それはそれだろ」

「どういう風の吹き回しかと思ったわよ」

「仕方ないじゃん。人生何が起きるかわからないから楽しいんだよ」

「付き合ってって言われて時は、本当にドッキリかと思ったんだからね」

「わーかったって。今が良ければ全て良しだろ」


ふざけた調子でウインクをして、親指と人差し指をくっつけてOKサインを見せる拓馬。

そんな拓馬に呆れたのか、一花が小さくため息をついた。


「本当、どういう風の吹き回しだったのよ。黒木さんに聞いても答えてくれないし、相沢君なんか毎回適当なことばっかり言ってごまかすし」

「アハハ。隆らしいや」


ケラケラと笑う拓馬を見て、もう答えてくれる気はないのだと判断した一花は、その話題を諦めて違う話題を振った。


「今日は私と二人で良かったの?」

「どういうこと?」

「ほら、相沢君とか黒木さんとかと一緒じゃなくてよかったの?」

「あの二人だってたまには二人でデートしたいだろ。それに俺も一花とデートしたいし」


そう言ってニカッと笑う拓馬。その笑顔に一花はズキューンと撃ち抜かれましたが、表情には出しませんでした。


「そういえば一花って黒系統の服多いよな。こないだの水着も黒だったし、浴衣も黒だし」

「へ、変かしら?」

「いや、全然似合ってるから問題ないよ」

「それはよかったわ」

「ただなんでかなぁって思っただけ」

「なんでって聞かれても・・・私、そんなに明るい色って似合わないと思うのよ。そーゆーのは黒木さんみたいな子が着るべきだわ」

「ふーん。でもまぁその服を見せる対象の隆が服に全然興味ないんだよねー」

「あらま」

「クリスマスの時に名波がオシャレしてきてたんだけど、巻いた髪見て『なんかウネウネしてるな』みたいなこと言ってた」

「気の毒ね」


ここでふと気づいた拓馬が一花に問いかける。


「・・・あのさ、さっきから隆達の話しかしてなくね?」

「そういえばそうね」

「俺たち、保護者みたいだな」

「なんかほっとけないのよ」

「だよなー。しかも見てて面白いから話のネタにもなるからそれもあるんだけどな」

「ひどい親友ね」

「昔からそんなもんだよ」


後ろを通る人たちが少なくなるまで、二人は笑いながら隆と名波のことを飽きることなく話しましたとさ。

ここまえ読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけるととても嬉しいです。


最近、タイピングが早くなりましたが、ブラインドタッチはできません。

見えるんだもの。見てしまうじゃないですか。


次回もお楽しみに!

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