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ゆうやけこやけ

「いやぁ楽しかったなー!」

「また来ようね!」

「もちろん!」


帰る支度を済ませた4人は、海から最寄り駅まで歩いていた。


「今日は楽しかったわ」

「委員長、ずっとはしゃいでたもんな」

「一花があんなにはっちゃけてるところ初めて見たかもしれん」

「そんなにはしゃいでたかしら?」

「「うん」」


声をそろえて頷く男子2人に、少し照れた様子でうつむく一花。


「まぁ委員長がそれだけはしゃぐってことは、よっぽど楽しかったってことだよ。良かった良かった」

「ウフフ」


名波の言葉に笑顔になる4人。よっぽど楽しかったんでしょうね。

そして駅に到着して、切符を買って改札を通り、ホームへと出る。

ほとんど無人駅のようなところだが、海の近くということもあって、拓馬達以外にもそれなりに乗車する人間がいた。

空いていたベンチに座ると、近くにあった時刻表に拓馬が駆け寄っていった。


「えーと次は・・・うおっ。次の電車来るまで、30分もあるぞ」

「さすが郊外」

「郊外か?」

「えっ? 違う?」


拓馬の見当違いな発言に、隆がちゃんとつっこんだ。

札幌市内からは離れていて、どっちかというと小樽寄りなのだが、非常に中途半端な位置にある駅である。

郊外というよりも、大きな市と市を繋ぐ道の真ん中らへんに位置している海沿いの地域という感じです。まぁいうなれば『田舎』ですね。


「まぁどっちでもいいや。こんなに時間あるならもうちょっとのんびり帰る仕度しててもよかったかもなー」

「別に急いでる訳じゃないんだし、ゆっくりしてようよ」

「そうよ。相沢君は人生、生き急ぎ過ぎよ」

「そんなに俺生き急いでるか?」

「さぁ? 適当に言ってみただけ」


そう言ってフフフと笑う一花。そんな一花を見た隆は拓馬を見た。そして拓馬に小声で話しかけた。


「・・・委員長、だいぶご機嫌だな」

「みたいだな」


ベンチに4人で並んで座ると、ホームから見える山をボケーっと見た。

背後から吹いてくる穏やかな潮風と、目の前に広がる若干夕日でオレンジに染まりつつある緑色の山。そしてすこし寂れた駅のホーム。4人は、ゆっくりとした時間の中をだらーっとすごした。

そして何かに気づいた名波がベンチから立ち上がらずに首だけで後ろを向いた。

そしてほとんど叫んでいるかのような声で、隣の隆を叩きながら3人を呼んだ。


「うわぁ! ちょっと見て見てっ!」

「いてっ、いてっ。なんだよ」


隆が名波の視線の先を追うように振り向いた。拓馬と一花も何事かと思って振り返る。

するとそこに広がっていたのは、今まさに海に沈んでいこうとしている綺麗な夕日だった。


「おー」

「すげー!」

「あら」

「すごいでしょ!」

「綺麗だなー」

「あれね。私たちへのプレゼントってやつね」

「委員長が壊れてきたぞー」

「失礼ね。私はこう見えてロマンチストなのよ」

「はいはい」


沈んでいく夕日を4人で並んで見ていた。

ゆっくりゆっくりとオレンジの太陽が海へと溶け込んでいくように沈んでいく。

それを誰も何も言わずに黙って見ていた。

そして太陽のほとんどが沈んで、あと少しで沈みきるというところで、拓馬が口を開いた。


「また来ような」

「あぁ」

「もちろんよ」

「・・・エヘヘ」

「エヘヘってなんだよ」

「だって拓馬っぽくないんだもん」


そう言った名波だったが、エヘヘの本当の意味を理解している隆は小さくフッと笑った。

そして後ろを見た隆が声をあげた。


「おいっ! 電車来てんじゃねぇか!」


4人で黄昏(たそがれ)ている間にホームに電車が到着していたようで、他の人間は電車の中へと乗り込み始めていた。


「やべっ! 急げ急げ!」


慌てて荷物を手にもって、ほとんど駆け込み乗車のようなタイミングで乗り込む4人。

無事忘れ物もなく電車に乗ることが出来た4人は、ウトウトしながら帰りの電車に揺られていった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

感想とか書いていただけると嬉しいです。


なんやかんやでみんな仲良しですねー


次回もお楽しみに!

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